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31.困る反応

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 チャルリオ様が帰って来るのは、明後日の予定であるらしい。
 故に私とリオネル様は、まだデュオーラム伯爵家に留まっている。ご夫妻のご厚意によって、泊まらせてもらえることになったのだ。
 ただ状況としては、奇妙なものである。私は婚約破棄した相手の家に、お世話になっているからだ。これで本当に、良いのだろうか。

「先程も言いましたが、お父様もお母様も、もちろん私だって、そのようなことは気にしていません。むしろ、アルリア嬢には感謝しているくらいです。お兄様のことを、知らせてくれたのですから」
「そう言ってもらえると、私としては助かりますけれど……」

 私は、リオネル様とともにトゥーリア嬢と話すことにした。
 それは、デュオーラム伯爵夫妻から頼まれたことでもある。トゥーリア嬢は明らかに落ち込んでいたため、二人も心配しているようだ。
 もちろん、私もリオネル様も気になってはいた。チャルリオ様の凶行は、実の妹である彼女を深く傷つけているだろうから。

 それは、彼女に言うべきではないことだったのかもしれない。
 だけど、それは後悔しても仕方ないことである。今はとにかく、トゥーリア嬢から話を聞くことにしよう。

「それでトゥーリア嬢、チャルリオ様のことですけれど」
「……ええ、わかっています。お二人が、私のことを心配していることは」
「……私達だけではありません。デュオーラム伯爵も夫人も、心配しています」
「そうなのでしょうね。なんとなく、そうだと思っていました」

 トゥーリア嬢は、私達の心配を見抜いていたようだった。同時に、自分が落ち込んでいるということも自覚しているらしい。
 別にそれに関しては本当に、彼女が気に病む必要はないことである。立場上、彼女は変な形で責任を覚えていることになっているだけだ。全ては、チャルリオ様が原因だ。
 しかしそんなことをトゥーリア嬢に言っても無駄だということは、なんとなくわかっている。こういったことは、本人の感じ方次第なのだから。

「お兄様は、一体何を考えているのか、私にはわからないのです」
「理解できることでは、ありませんよ。まあ、趣味趣向と言うしかないのでしょうけれど、結局の所、それによって色々と支障が出ているのが問題です。まあ、その支障を出したのは私ですけれど、それは置いておいて」
「そうですね。でも、私としてはどう受け止めていいのか……」

 トゥーリア嬢は、ゆっくりと天を仰いだ。
 こんなことをしている兄に対して、どう反応するか、彼女としては難しいことなのだろう。
 なまじ普通の兄だったのが、良くないのかもしれない。元々嫌っていたり、仲が悪くなかったりしていれば、話は違っただろうに。
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