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24.協力者として
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当然のことながら、私がアンデルト伯爵家の屋敷に近づくのは危険なことだ。
ただ、今回の状況を打開するためにはそうせざるを得ない。アンデルト伯爵夫人と交渉するための足掛かりという者が必要なのだ。
という訳で、私はギルーゼ様とともに屋敷の近くに来ていた。私はメイドに扮しているので、早々見つかったりはしないと思うが、やはり緊張してしまう。
「……え?」
「あっ……」
危険を犯してこんな所にいるのは、とある狙いがあったからだ。
変装はしているが、今の私を私だとわかる人はいる。ブレットンさんなど、私に良くしてくれていた人なら、このくらいの変装は見抜けるはずなのだ。
その人物は、私の方に驚いた顔をしながら近づいて来た。私の荷物をまとめてくれた、メイドのメアリーだ。彼女は周囲を気にしている。故に私とギーゼル様は物陰に隠れて待つことにした。
「……アルティリアお嬢様、ですか?」
「メアリー、久し振り……でもありませんね?」
「ええ、まあ、そうかもしれませんが……」
メアリーは、私のことを見て困惑しているようだった。
それは当然のことだろう。私が自分と同じ格好をしている光景なんて、彼女は想像すらしていなかったはずだ。
それから彼女は、ギーゼル様の方を見た。明らかに貴族の身なりをした彼の姿を見て、メアリーは首を傾げている。
「メイドに転身なさったのですか? この数日の間に」
「いいえ、違います。色々とあって、今はこのグライム辺境伯家のギーゼル様と行動しているのです」
「あ、そうでした。ブレットンさんが……」
「わかっています。正にそのことで、メアリーに頼みたいことがあって……」
「頼みたいこと、ですか?」
私は、メアリーに今回起こっていることを伝えていった。
彼女に頼みたいことは、アンデルト伯爵夫人と私達との間の取次ぎだ。
私とギーゼル様が、夫人と話すためには、それが必要なのである。正面から行くのはあり得ない。これは秘密の取引だからだ。
「わ、私がそんなことをやるんですか……」
話を聞きながら、メアリーはどんどんとその表情を歪めていった。
これが重要な役目であることを、よく理解しているからだろう。
とはいえ、彼女にはやってもらうしかない。きちんと伝えられれば、彼女だって安全である訳だし、特に問題などはないはずだ。
「協力してくれたら、グライム辺境伯家の方でも便宜を図ることを約束しよう」
「わかりました……アルティリアお嬢様やブレットンさんのためにも、頑張りたいと思います」
「メアリー……ありがとう」
メアリーの言葉に、私は泣きそうになっていた。
彼女もまた、私にとっては家族のような人だといえるかもしれない。苦しい中でも、私は良き縁に恵まれていたということだろう。
ただ、今回の状況を打開するためにはそうせざるを得ない。アンデルト伯爵夫人と交渉するための足掛かりという者が必要なのだ。
という訳で、私はギルーゼ様とともに屋敷の近くに来ていた。私はメイドに扮しているので、早々見つかったりはしないと思うが、やはり緊張してしまう。
「……え?」
「あっ……」
危険を犯してこんな所にいるのは、とある狙いがあったからだ。
変装はしているが、今の私を私だとわかる人はいる。ブレットンさんなど、私に良くしてくれていた人なら、このくらいの変装は見抜けるはずなのだ。
その人物は、私の方に驚いた顔をしながら近づいて来た。私の荷物をまとめてくれた、メイドのメアリーだ。彼女は周囲を気にしている。故に私とギーゼル様は物陰に隠れて待つことにした。
「……アルティリアお嬢様、ですか?」
「メアリー、久し振り……でもありませんね?」
「ええ、まあ、そうかもしれませんが……」
メアリーは、私のことを見て困惑しているようだった。
それは当然のことだろう。私が自分と同じ格好をしている光景なんて、彼女は想像すらしていなかったはずだ。
それから彼女は、ギーゼル様の方を見た。明らかに貴族の身なりをした彼の姿を見て、メアリーは首を傾げている。
「メイドに転身なさったのですか? この数日の間に」
「いいえ、違います。色々とあって、今はこのグライム辺境伯家のギーゼル様と行動しているのです」
「あ、そうでした。ブレットンさんが……」
「わかっています。正にそのことで、メアリーに頼みたいことがあって……」
「頼みたいこと、ですか?」
私は、メアリーに今回起こっていることを伝えていった。
彼女に頼みたいことは、アンデルト伯爵夫人と私達との間の取次ぎだ。
私とギーゼル様が、夫人と話すためには、それが必要なのである。正面から行くのはあり得ない。これは秘密の取引だからだ。
「わ、私がそんなことをやるんですか……」
話を聞きながら、メアリーはどんどんとその表情を歪めていった。
これが重要な役目であることを、よく理解しているからだろう。
とはいえ、彼女にはやってもらうしかない。きちんと伝えられれば、彼女だって安全である訳だし、特に問題などはないはずだ。
「協力してくれたら、グライム辺境伯家の方でも便宜を図ることを約束しよう」
「わかりました……アルティリアお嬢様やブレットンさんのためにも、頑張りたいと思います」
「メアリー……ありがとう」
メアリーの言葉に、私は泣きそうになっていた。
彼女もまた、私にとっては家族のような人だといえるかもしれない。苦しい中でも、私は良き縁に恵まれていたということだろう。
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