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10.複雑な想い
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「ところで、ラフィティアの方はどうなのかしら?」
「私の方って?」
「結婚生活に決まっているでしょう? どうなのよ?」
エルドスは、私にそんな質問をしてきた。
それに対して、私は少し言葉に詰まらせてしまう。中々に答えにくい質問であったからだ。
「まあ、そこそこといった所かしらね」
「あなたがそこそこということは、非常に微妙な関係性みたいね」
「……よくわかっているじゃない」
エルドスは、私のことをよく知っている。故に、誤魔化すことなどできなかったようだ。
しかし、これは少し困ったことになった。ただでさえ、サラティナから色々と言われて気にしているのに、エルドスにまで何か言われたら、変にアルフェルグ様を意識してしまいそうだ。
「アルフェルグ様、だったかしらね……どんな人なの?」
「真面目で優秀な人」
「あらやだ。素敵じゃない」
「まあ、そうなのだけれど」
私の言葉に、エルドスは笑顔を浮かべていた。
長い付き合いなので、彼女が今何を考えているかは概ねわかる。恐らく私はこれから、自分の想いを掘り下げられることになるだろう。
「そんな彼とラフィティアは、どういう風な関係なの?」
「……割り切った関係かしら。夫婦として、愛だとかそういうものがある訳ではないわ。でも、よくあることでしょう?」
「本当にそれだけかしら。私には、どうもそう思えないわね」
「……いい人ではあるから、これからも仲良くしたいとは思っているわよ」
「なるほど、中々複雑な関係みたいね」
エルドスは、苦笑いを浮かべていた。
自分でもわかっていることではあるが、私のアルフェルグ様への想いというものは、なんだか複雑になっている。
彼に最初に言われた通りの関係を維持できているかというと、微妙な所だ。アルフェルグ様に対して、私は既に多少の情を抱いてしまっている。
「そういえば、あなたの方はまだ子供ができたりしていないのね?」
「え?」
「ほら、ロナリアはもうお母さんな訳でしょう?」
「それは……」
私とエルドスの友達であるロナリアは、私達よりも早く結婚して、一年前に第一子を出産した。
それは貴族として、とても重要な役割だ。もちろん、私も何れは子供を産むことになるだろう。
「何よ、生娘みたいな反応して」
「……」
「あらまあ……」
しかし正直な所、そんな覚悟はまだできていない。
そう考えていくと、なんだか今後のことが心配になってきた。私は本当に、アルフェルグ様の妻としてやっていけるのだろうか。
そんなことを思っている私を、エルドスは温かい目で見てきている。その視線には、なんだか少しだけ腹が立った。
「私の方って?」
「結婚生活に決まっているでしょう? どうなのよ?」
エルドスは、私にそんな質問をしてきた。
それに対して、私は少し言葉に詰まらせてしまう。中々に答えにくい質問であったからだ。
「まあ、そこそこといった所かしらね」
「あなたがそこそこということは、非常に微妙な関係性みたいね」
「……よくわかっているじゃない」
エルドスは、私のことをよく知っている。故に、誤魔化すことなどできなかったようだ。
しかし、これは少し困ったことになった。ただでさえ、サラティナから色々と言われて気にしているのに、エルドスにまで何か言われたら、変にアルフェルグ様を意識してしまいそうだ。
「アルフェルグ様、だったかしらね……どんな人なの?」
「真面目で優秀な人」
「あらやだ。素敵じゃない」
「まあ、そうなのだけれど」
私の言葉に、エルドスは笑顔を浮かべていた。
長い付き合いなので、彼女が今何を考えているかは概ねわかる。恐らく私はこれから、自分の想いを掘り下げられることになるだろう。
「そんな彼とラフィティアは、どういう風な関係なの?」
「……割り切った関係かしら。夫婦として、愛だとかそういうものがある訳ではないわ。でも、よくあることでしょう?」
「本当にそれだけかしら。私には、どうもそう思えないわね」
「……いい人ではあるから、これからも仲良くしたいとは思っているわよ」
「なるほど、中々複雑な関係みたいね」
エルドスは、苦笑いを浮かべていた。
自分でもわかっていることではあるが、私のアルフェルグ様への想いというものは、なんだか複雑になっている。
彼に最初に言われた通りの関係を維持できているかというと、微妙な所だ。アルフェルグ様に対して、私は既に多少の情を抱いてしまっている。
「そういえば、あなたの方はまだ子供ができたりしていないのね?」
「え?」
「ほら、ロナリアはもうお母さんな訳でしょう?」
「それは……」
私とエルドスの友達であるロナリアは、私達よりも早く結婚して、一年前に第一子を出産した。
それは貴族として、とても重要な役割だ。もちろん、私も何れは子供を産むことになるだろう。
「何よ、生娘みたいな反応して」
「……」
「あらまあ……」
しかし正直な所、そんな覚悟はまだできていない。
そう考えていくと、なんだか今後のことが心配になってきた。私は本当に、アルフェルグ様の妻としてやっていけるのだろうか。
そんなことを思っている私を、エルドスは温かい目で見てきている。その視線には、なんだか少しだけ腹が立った。
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