妾の子である公爵令嬢は、何故か公爵家の人々から溺愛されています。

木山楽斗

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第21話 入学するかどうか

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 私は、アルードお兄様から渡された紙に目を通していた。
 それは、魔法学校に入学を希望する者に宛てられた紙である。これを、私に渡してきたということは、そういうことなのだろう。

「もしかして、私が行くのは……」
「ああ、お前には魔法学校に入学してもらいたい」
「やっぱり……そういうことなのですね」

 私の予想は、当然あたっていた。
 どうやら、私は魔法学校に入学するらしい。
 その話は、前々から出ていた話だ。そのため、特に驚きはない。

「お前には、魔法の才能がある。その才能を伸ばすためにも、魔法学校には入学するべきだ」
「そうなのでしょうね……」
「もちろん、お前の意思は尊重しよう。別の道も、お前には用意されている。どの道を歩むかは、最終的にはお前自身が決めることだ」
「はい……わかっています」

 私は、自身の進むべき道を考えなければならない。
 魔法学校に入学すれば、様々なことが学べる。そこで学んだことは、必ず役に立つだろう。それは、まず間違いない。
 しかし、入学しないという選択肢もとることはできる。この公爵家で学ぶこともできない訳ではないのだ。その道を歩むことも、悪いことではないだろう。

「お前がもし、学費のことなどを心配しているなら、それは無駄なことだと思え。お前は、この公爵家の令嬢だ。お前が学び強くなることは、このルーデイン家の財産になる。そのために投資することは、我々にとっても利益があることだ」
「はい……」

 お兄様は、私が考えるよりも先に学費のことに触れてきた。
 それは、私が前に気にしていたことだ。魔法学校は、それなりの学費がかかる。それを出してもらうことを、私は忍びないと思っていた。
 しかし、そういうことではないのだ。お兄様の言う通り、私は公爵家の一員なのである。それを自覚して、自身の道を選択しなければならないのだ。

「お兄様、私は魔法学校に入学したいと思います。そこで、色々なことを学びたいです」
「そうか、お前ならそう言ってくれると思っていたぞ」
「はい!」

 私の出した答えは、魔法学校に入学することだった。
 そこで、色々なことを学びたいと思った。それが私の成長に繋がり、ルーデイン家の恩返しにも繋がると思ったからだ。

「さて、それでは入学の手続きをしなければならないな……そのための準備はしてある。この書類を仕上げてもらうぞ」
「はい、わかりました」

 お兄様は、私の前にいくつかの紙を出した。それが、手続きの紙であるようだ。
 こうして、私はしばらく書類を作成するのだった。
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