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第4話 あまり影響なく
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私は、自室のベッドの上で寝転がっていた。
今日は、第三王子のクリムド様がこの屋敷を訪れることになっている。
しかし、そんなことはあまり関係ないことだ。私は、この部屋から出るつもりがない。部屋から出なければ、クリムド様に会うこともないだろう。
つまり、私の日常に影響はほとんどない。多少緊張しているが、特に問題も起こらないだろう。
「ラルネア? 窓を開けてもいい? 外の空気を入れたいのだけれど」
「うん、いいよ」
そんな私に、お母さんは窓を開けていいか聞いてきた。
今日は、とてもいい天気だ。きっといい風が吹いているだろう。そのため、窓を開けるのは大歓迎だ。
「あれ……?」
「お母さん、どうかしたの?」
「た、大変!」
「大変? 何かあったの?」
のんびりとしていた私は、お母さんの焦ったような声に飛び上がった。
どうやら、お母さんは窓の外に何かを見たようである。
大変といっているので、確実に大変なことが起きているだろう。私は、急いで窓から庭の様子を伺ってみる。
「あれは……」
窓の外には。二人の子供が確認できた。弟のエルヴィルと妹のオルリエである。
当然のことながら、二人は庭で遊んでいる訳ではない。王子が訪問しているのに、そのようなことをする二人ではないことは元々わかっている。
恐らく、二人は木に登って、下りられなくなった子猫を助けようとしているのだ。オルリエが木に登っており、その先に子猫がいるので、この予測は間違いないだろう。
だが、少し雲行きが怪しい気もする。庭の木は、それなりの高さだ。一歩間違えれば、オルリエも只事では済まないだろう。
その高さ故か、オルリエはかなり怯えている。それできちんと登れるとは、到底思えない。
「オルリエ、大丈夫?」
「う、うん……」
エルヴィルは、そんなオルリエの様子に焦っているだけだった。
大人を呼んだりすればいいと思うのだが、それもできない程に焦っているということなのかもしれない。
とにかく、助けに行かないといけないだろう。何か起こる前に、二人の元に行かなければならない。
「あっ……」
「オルリエ!」
「なっ!」
「きゃあ!」
その瞬間、恐れていたことが起こった。
オルリエが、木から手を離してしまったのだ。
あの高さから落ちれば、大変なことになる。そのため、なんとかして、それを止めなければならない。
私は、咄嗟に手を前に出す。この距離からは難しいが、魔法を使うしかないだろう。それなら、オルリエの体を止められる。今は、これに賭けてみるしかない。
「はあ!」
「えっ!?」
「きゃああ……あれっ?」
「ラルネア! 魔法ね!」
私は魔法を使って、オルリエの体を止めた。
距離が離れていたため不安だったが、なんとかなるものだ。
とにかく、二人の元に行こう。この距離で体を止めておくのは骨が折れるし、二人に事情を説明したし、子猫も助けなければならない。
こうして、私は二人の元に行くことにするのだった。
今日は、第三王子のクリムド様がこの屋敷を訪れることになっている。
しかし、そんなことはあまり関係ないことだ。私は、この部屋から出るつもりがない。部屋から出なければ、クリムド様に会うこともないだろう。
つまり、私の日常に影響はほとんどない。多少緊張しているが、特に問題も起こらないだろう。
「ラルネア? 窓を開けてもいい? 外の空気を入れたいのだけれど」
「うん、いいよ」
そんな私に、お母さんは窓を開けていいか聞いてきた。
今日は、とてもいい天気だ。きっといい風が吹いているだろう。そのため、窓を開けるのは大歓迎だ。
「あれ……?」
「お母さん、どうかしたの?」
「た、大変!」
「大変? 何かあったの?」
のんびりとしていた私は、お母さんの焦ったような声に飛び上がった。
どうやら、お母さんは窓の外に何かを見たようである。
大変といっているので、確実に大変なことが起きているだろう。私は、急いで窓から庭の様子を伺ってみる。
「あれは……」
窓の外には。二人の子供が確認できた。弟のエルヴィルと妹のオルリエである。
当然のことながら、二人は庭で遊んでいる訳ではない。王子が訪問しているのに、そのようなことをする二人ではないことは元々わかっている。
恐らく、二人は木に登って、下りられなくなった子猫を助けようとしているのだ。オルリエが木に登っており、その先に子猫がいるので、この予測は間違いないだろう。
だが、少し雲行きが怪しい気もする。庭の木は、それなりの高さだ。一歩間違えれば、オルリエも只事では済まないだろう。
その高さ故か、オルリエはかなり怯えている。それできちんと登れるとは、到底思えない。
「オルリエ、大丈夫?」
「う、うん……」
エルヴィルは、そんなオルリエの様子に焦っているだけだった。
大人を呼んだりすればいいと思うのだが、それもできない程に焦っているということなのかもしれない。
とにかく、助けに行かないといけないだろう。何か起こる前に、二人の元に行かなければならない。
「あっ……」
「オルリエ!」
「なっ!」
「きゃあ!」
その瞬間、恐れていたことが起こった。
オルリエが、木から手を離してしまったのだ。
あの高さから落ちれば、大変なことになる。そのため、なんとかして、それを止めなければならない。
私は、咄嗟に手を前に出す。この距離からは難しいが、魔法を使うしかないだろう。それなら、オルリエの体を止められる。今は、これに賭けてみるしかない。
「はあ!」
「えっ!?」
「きゃああ……あれっ?」
「ラルネア! 魔法ね!」
私は魔法を使って、オルリエの体を止めた。
距離が離れていたため不安だったが、なんとかなるものだ。
とにかく、二人の元に行こう。この距離で体を止めておくのは骨が折れるし、二人に事情を説明したし、子猫も助けなければならない。
こうして、私は二人の元に行くことにするのだった。
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