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45.戦士の顔
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『はっ……まさか俺の存在を感じ取っていたなんてな……出会った時から何度も思ってきたが、本当にお前は大した奴だよ』
そこで、ラフードがそんなことを呟いた。
驚いていたため、私は彼の様子を確認していなかった。今の言葉からして、彼も驚いてはいるのだろう。
ただ、それはなんというか、フレイグ様と同じような感情があるような気がする。
もしかしたら、ラフードもフレイグ様がなんとなくわかっているのではないかと、思っていたのではないだろうか。
「……あいつは、生きているのか?」
「えっと……説明が難しいんですけど、ラフードは精霊という精神だけの存在になっているようです」
「精霊……」
「肉体が消滅しても、彼らは生きていられるようです。どうやら、その特別な出自が関係しているらしいんですけど……」
「人工的に作られたということか……」
フレイグ様は、ラフードの事情について詳しく知っているようだ。
それは、当然といえば当然である。彼とラフードは、親友なのだから。
「……待て。ということは、まさかあいつの兄弟達も同じような状態にあるということか?」
「え、ええ、そうです……」
そこで、フレイグ様は表情を変えた。
それは、少し焦っているようにも見える。
少し遅れて、私は理解する。その反応は、恐らく魔族の側についていた彼の兄弟が同じ状態にあるということに対する反応なのだろうと。
「フレイグ様、実はそのことでまずいことが起きているのです」
「まずいこと……そうか、だからお前はここに来たのか?」
「ええ、そうなんです……どうやら、ラフードの兄弟、ラムフェグが蘇ったそうなんです」
「……何?」
フレイグ様の表情は、私の言葉でさらに変わることになった。
その表情は、真剣である。今までの表情とは明らかに違うものだ。差し詰め、戦士の顔といった所だろうか。
「奴が蘇った……それは、どういうことだ?」
「えっと……魔界にいたラフードの同胞、クーリアが教えてくれたんですけど、詳しいことはわからないようです。ただ、ラムフェグが肉体を得たという情報を得たそうです」
「……そうか。色々と言いたいことはあるが、奴が蘇ったという事実が、何よりも大切だな」
フレイグ様は、私の言葉に対してそうまとめた。
ラムフェグが蘇った。それは要するに、ラフードも蘇られる可能性もあるということである。
だが、そのことよりも、蘇ったラムフェグに対応することの方が今は重要であるようだ。それ程に、そのラムフェグという魔族は恐ろしい者ということなのだろう。
そこで、ラフードがそんなことを呟いた。
驚いていたため、私は彼の様子を確認していなかった。今の言葉からして、彼も驚いてはいるのだろう。
ただ、それはなんというか、フレイグ様と同じような感情があるような気がする。
もしかしたら、ラフードもフレイグ様がなんとなくわかっているのではないかと、思っていたのではないだろうか。
「……あいつは、生きているのか?」
「えっと……説明が難しいんですけど、ラフードは精霊という精神だけの存在になっているようです」
「精霊……」
「肉体が消滅しても、彼らは生きていられるようです。どうやら、その特別な出自が関係しているらしいんですけど……」
「人工的に作られたということか……」
フレイグ様は、ラフードの事情について詳しく知っているようだ。
それは、当然といえば当然である。彼とラフードは、親友なのだから。
「……待て。ということは、まさかあいつの兄弟達も同じような状態にあるということか?」
「え、ええ、そうです……」
そこで、フレイグ様は表情を変えた。
それは、少し焦っているようにも見える。
少し遅れて、私は理解する。その反応は、恐らく魔族の側についていた彼の兄弟が同じ状態にあるということに対する反応なのだろうと。
「フレイグ様、実はそのことでまずいことが起きているのです」
「まずいこと……そうか、だからお前はここに来たのか?」
「ええ、そうなんです……どうやら、ラフードの兄弟、ラムフェグが蘇ったそうなんです」
「……何?」
フレイグ様の表情は、私の言葉でさらに変わることになった。
その表情は、真剣である。今までの表情とは明らかに違うものだ。差し詰め、戦士の顔といった所だろうか。
「奴が蘇った……それは、どういうことだ?」
「えっと……魔界にいたラフードの同胞、クーリアが教えてくれたんですけど、詳しいことはわからないようです。ただ、ラムフェグが肉体を得たという情報を得たそうです」
「……そうか。色々と言いたいことはあるが、奴が蘇ったという事実が、何よりも大切だな」
フレイグ様は、私の言葉に対してそうまとめた。
ラムフェグが蘇った。それは要するに、ラフードも蘇られる可能性もあるということである。
だが、そのことよりも、蘇ったラムフェグに対応することの方が今は重要であるようだ。それ程に、そのラムフェグという魔族は恐ろしい者ということなのだろう。
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