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第16話 弟達の議論
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私は、お父様とともに弟達を呼び出していた。
次の当主を決めるのが、私であることを知らせるためだ。
「なるほど……」
「なんだと……」
「そうなんだね……」
知らせを聞いた弟達は、三人とも驚いていた。
やはり、これは衝撃的な提案であるようだ。
「親父……つまり、姉貴に媚を売れということか? それで、当主が決まるのかよ」
「ウルーグ、そういうことではない」
「そういうことだろうが! 結局、姉貴に好かれているかどうかで判断される訳だろ!」
ウルーグは、お父様に対して少し怒っていた。
確かに、この提案は私の感情で当主を決めるということだ。それに反発したくなるのは、当然のことである。
「落ち着け、ウルーグ。姉上も、そのような個人の感情で決める訳ではないだろう。きちんと当主としての素質を見極めるはずだ」
「はっ……どうだろうな。お前は姉貴に期待しているみたいだが、姉貴は個人の感情で婚約破棄したんだ。つまり、個人的な感情で動くということだろうが」
「ウルーグ、姉上を侮辱するのか?」
「事実を言ったまでだ……」
イルルドとウルーグは、睨み合ってしまった。
最近のこの二人は、噛み合わない。何かと言い争っていることが、多いのである。
今回は、どちらかというとウルーグに分がある気がする。彼の言っていることは正しい。確かに、私は個人の感情を優先するような人間である。スルーガ様の事実を出されたら、反論できることは何もない。
「ウルーグ兄さん、仮に姉さんが個人の感情を優先するとして、それで何か困るの?」
「何?」
「姉さんにとって、僕達は弟だよ。きっと平等にしか見ていないはずじゃないかな? それなら、姉さんが何によって判断するかは、当主としての素質になるはずだよ」
「なっ……」
そこで、エルディンがウルーグに物申した。
その意見に、私は納得してしまった。恐らく、ウルーグも納得しているのではないだろうか。
私にとって、三人は平等に弟だ。三人の中の誰が好きだとか、そういう風に優劣をつけることはできない。
そうなると、個人の素質を見ることになるのだろう。当主に相応しい人間性、能力、それで優劣をつけることになる可能性は高いのかもしれない。
「でも……姉貴の好みとかあるだろう」
「当主に対して、姉さんが何を求めるか変わるということかな? でも、それは父さんが決めるとしても同じだよ」
「それは……そうだが」
ウルーグは、何も言い返せなくなっていた。
意外なことに、彼はエルディンに口論で勝てなかったのだ。
元々、ウルーグは弟にだけは強く言えない所がある。それも、関係あるのだろうか。
「ふむ……とりあえず、アルムナが次の当主を決めることに異論はないということでいいか?」
「くそっ……仕方ないか」
ウルーグは、結局折れるしかなかった。
こうして、私が次の当主を決めることが確定するのだった。
次の当主を決めるのが、私であることを知らせるためだ。
「なるほど……」
「なんだと……」
「そうなんだね……」
知らせを聞いた弟達は、三人とも驚いていた。
やはり、これは衝撃的な提案であるようだ。
「親父……つまり、姉貴に媚を売れということか? それで、当主が決まるのかよ」
「ウルーグ、そういうことではない」
「そういうことだろうが! 結局、姉貴に好かれているかどうかで判断される訳だろ!」
ウルーグは、お父様に対して少し怒っていた。
確かに、この提案は私の感情で当主を決めるということだ。それに反発したくなるのは、当然のことである。
「落ち着け、ウルーグ。姉上も、そのような個人の感情で決める訳ではないだろう。きちんと当主としての素質を見極めるはずだ」
「はっ……どうだろうな。お前は姉貴に期待しているみたいだが、姉貴は個人の感情で婚約破棄したんだ。つまり、個人的な感情で動くということだろうが」
「ウルーグ、姉上を侮辱するのか?」
「事実を言ったまでだ……」
イルルドとウルーグは、睨み合ってしまった。
最近のこの二人は、噛み合わない。何かと言い争っていることが、多いのである。
今回は、どちらかというとウルーグに分がある気がする。彼の言っていることは正しい。確かに、私は個人の感情を優先するような人間である。スルーガ様の事実を出されたら、反論できることは何もない。
「ウルーグ兄さん、仮に姉さんが個人の感情を優先するとして、それで何か困るの?」
「何?」
「姉さんにとって、僕達は弟だよ。きっと平等にしか見ていないはずじゃないかな? それなら、姉さんが何によって判断するかは、当主としての素質になるはずだよ」
「なっ……」
そこで、エルディンがウルーグに物申した。
その意見に、私は納得してしまった。恐らく、ウルーグも納得しているのではないだろうか。
私にとって、三人は平等に弟だ。三人の中の誰が好きだとか、そういう風に優劣をつけることはできない。
そうなると、個人の素質を見ることになるのだろう。当主に相応しい人間性、能力、それで優劣をつけることになる可能性は高いのかもしれない。
「でも……姉貴の好みとかあるだろう」
「当主に対して、姉さんが何を求めるか変わるということかな? でも、それは父さんが決めるとしても同じだよ」
「それは……そうだが」
ウルーグは、何も言い返せなくなっていた。
意外なことに、彼はエルディンに口論で勝てなかったのだ。
元々、ウルーグは弟にだけは強く言えない所がある。それも、関係あるのだろうか。
「ふむ……とりあえず、アルムナが次の当主を決めることに異論はないということでいいか?」
「くそっ……仕方ないか」
ウルーグは、結局折れるしかなかった。
こうして、私が次の当主を決めることが確定するのだった。
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