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14.情け容赦なく
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「マルギス様、あなたは一体何を言っているのですか?」
「言葉の通りだ。僕は理解したのさ。君こそが僕に相応しい存在であるということを……」
マルギス様は、私に対して笑みを向けてきた。
しかし今の言葉は、まったく笑えない。私としては、何も理解できないものだ。
そこで私は、気付くことになった。そういえばシェリーカ嬢は、どうしたのだろうか。
彼女はとても、マルギス様に執着していた。セヴェルク男爵家が没落したからといって、その愛がなくなるとは思えないのだが。
「フィリア嬢? どうかしたのか?」
「……マルギス様、シェリーカ嬢はどうしているのですか? お二人は愛し合っていたと、私は記憶していますが」
「……あんな奴のことは、どうでもいいことだろう。取るに足らない存在だ」
「取るに足らない存在?」
「セヴェルク男爵が没落したんだ。あいつに価値なんてものはないさ」
マルギス様の言葉に、私は思わず頭を抱えていた。
どうやら彼は、シェリーカ嬢のことを見限ったらしい。私と婚約破棄してまで、彼女と結ばれようとしたというのに。
「マルギス様、あなたは私に打算的な愛しか感じないと言って婚約破棄したではありませんか」
「それがなんだというのだ」
「ご自分の発言には、責任を持つべきです。あなたはシェリーカ嬢に無償の愛を貫きください。私に言えるのはそれだけです。もうここから出て行ってください」
マルギス様の身勝手さに、私は怒りを覚えていた。
シェリーカ嬢には色々と思う所はあるが、それでも彼の非道は看過できない。多少の情けも彼には不要だ。私は容赦のない対応をすることにした。
「出て行けだと? 君は僕を助けてくれるんじゃなかったのか! お人好しが聞いて呆れるな! 君が僕にしたことを言いふらすぞ? それでもいいのか?」
「どうぞご自由になさってください。あなたなんかに手を差し伸べたりしたら、それこそ恥です」
「な、なんだと……」
マルギス様は、口では強がりながらもどんどんとその勢いを弱めていっていた。
それは恐らく、私に突き放されたらいよいよ行き場がなくなるからだろう。私は社交界でも有数のお人好しなのだから。
「このままでは僕は……どうなることか。それがわからない訳ではないだろう」
「それがなんだというのですか?」
「う、うぐっ……」
しかしながら、私の心にマルギス様を助けようなんて気持ちは、もう二度と湧いてこないだろう。そんな気持ちになったのは、生まれて初めてだ。そう思いながら、私はマルギス様を淡々と屋敷から追い出すのだった。
「言葉の通りだ。僕は理解したのさ。君こそが僕に相応しい存在であるということを……」
マルギス様は、私に対して笑みを向けてきた。
しかし今の言葉は、まったく笑えない。私としては、何も理解できないものだ。
そこで私は、気付くことになった。そういえばシェリーカ嬢は、どうしたのだろうか。
彼女はとても、マルギス様に執着していた。セヴェルク男爵家が没落したからといって、その愛がなくなるとは思えないのだが。
「フィリア嬢? どうかしたのか?」
「……マルギス様、シェリーカ嬢はどうしているのですか? お二人は愛し合っていたと、私は記憶していますが」
「……あんな奴のことは、どうでもいいことだろう。取るに足らない存在だ」
「取るに足らない存在?」
「セヴェルク男爵が没落したんだ。あいつに価値なんてものはないさ」
マルギス様の言葉に、私は思わず頭を抱えていた。
どうやら彼は、シェリーカ嬢のことを見限ったらしい。私と婚約破棄してまで、彼女と結ばれようとしたというのに。
「マルギス様、あなたは私に打算的な愛しか感じないと言って婚約破棄したではありませんか」
「それがなんだというのだ」
「ご自分の発言には、責任を持つべきです。あなたはシェリーカ嬢に無償の愛を貫きください。私に言えるのはそれだけです。もうここから出て行ってください」
マルギス様の身勝手さに、私は怒りを覚えていた。
シェリーカ嬢には色々と思う所はあるが、それでも彼の非道は看過できない。多少の情けも彼には不要だ。私は容赦のない対応をすることにした。
「出て行けだと? 君は僕を助けてくれるんじゃなかったのか! お人好しが聞いて呆れるな! 君が僕にしたことを言いふらすぞ? それでもいいのか?」
「どうぞご自由になさってください。あなたなんかに手を差し伸べたりしたら、それこそ恥です」
「な、なんだと……」
マルギス様は、口では強がりながらもどんどんとその勢いを弱めていっていた。
それは恐らく、私に突き放されたらいよいよ行き場がなくなるからだろう。私は社交界でも有数のお人好しなのだから。
「このままでは僕は……どうなることか。それがわからない訳ではないだろう」
「それがなんだというのですか?」
「う、うぐっ……」
しかしながら、私の心にマルギス様を助けようなんて気持ちは、もう二度と湧いてこないだろう。そんな気持ちになったのは、生まれて初めてだ。そう思いながら、私はマルギス様を淡々と屋敷から追い出すのだった。
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