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11.伯爵家からの手紙
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言うまでもなく、王家の力とは絶大なものである。
私達の抗議に沈黙を貫いていたムートン伯爵家も、王家からの鶴の一声によって、対応せざるを得なくなったようだ。それからすぐに、手紙が届いたのである。
「正式な謝罪の文が届いた。補償に関しても書いてあるようだな。正確な金額などは、まだ相談という段階ではあるが……」
「国王様の力は、絶大ですね……」
「そうだな。ただ、これに関しては事前に準備していたという可能性もある。婚約破棄に関しては、あちらも突然のことだっただろうからな。返信に関して時間がかかっていたとしても、納得できない訳ではない」
お父様はムートン伯爵家の動きについて、ある程度寛大に考えているようだった。
そういった点に関して、お父様はとても優しいのである。時折甘いとさえ思うことさえあるくらいだ。
とはいえ、私達の抗議からはそれ程時間が経っているという訳でもない。そう考えると、お父様の考えもおかしくはないのかもしれない。
「でもあなた、王家が味方についてくれたのですから、ここは遠慮なく補償を求めていくべきではありませんか?」
「母上の言う通りです。このような件において求められるぎりぎりの金額を狙うべきかと」
「もちろん、心得ているとも……しかし二人とも、容赦がないものだな」
お母様とお兄様の発言に、お父様は短くため息をついた。
婚約が成立したくらいなので当然のことではあるが、お父様はムートン伯爵家と懇意にしていた。それ故に遠慮などがあるのだろう。
だがここで容赦しても得にはならないことは、お父様もわかっているはずだ。それは他の貴族から舐められることにも繋がっていくし、ここは厳格な対応が必要だといえる。
「む……」
「お父様? どうかされましたか?」
手紙を読んでいるお父様が突如怪訝な顔をしたため、私達は少し驚くことになった。
何かおかしなことでも書いてあったのだろうか。これ以上厄介なことは起こって欲しくないというのが、正直な所なのだが。
「いや、少々気になることが書いてあっただけだ。どうやらマルギスは、伯爵家を継ぐ権利を剥奪されたらしい」
「マルギス様が、ですか?」
「ああ、今回の件の責任を取らされたということだろう。ムートン伯爵にとっても、婚約破棄は不本意だったようだな」
お父様の言葉に、私は苦笑いを浮かべることになった。
マルギス様とシェリーカ嬢は、早速一つ大事な立場を失ったようだ。
これからも二人には、そういったことが降りかかってくるだろう。本当にあの二人はなんとも、損をする選択をしたものである。
私達の抗議に沈黙を貫いていたムートン伯爵家も、王家からの鶴の一声によって、対応せざるを得なくなったようだ。それからすぐに、手紙が届いたのである。
「正式な謝罪の文が届いた。補償に関しても書いてあるようだな。正確な金額などは、まだ相談という段階ではあるが……」
「国王様の力は、絶大ですね……」
「そうだな。ただ、これに関しては事前に準備していたという可能性もある。婚約破棄に関しては、あちらも突然のことだっただろうからな。返信に関して時間がかかっていたとしても、納得できない訳ではない」
お父様はムートン伯爵家の動きについて、ある程度寛大に考えているようだった。
そういった点に関して、お父様はとても優しいのである。時折甘いとさえ思うことさえあるくらいだ。
とはいえ、私達の抗議からはそれ程時間が経っているという訳でもない。そう考えると、お父様の考えもおかしくはないのかもしれない。
「でもあなた、王家が味方についてくれたのですから、ここは遠慮なく補償を求めていくべきではありませんか?」
「母上の言う通りです。このような件において求められるぎりぎりの金額を狙うべきかと」
「もちろん、心得ているとも……しかし二人とも、容赦がないものだな」
お母様とお兄様の発言に、お父様は短くため息をついた。
婚約が成立したくらいなので当然のことではあるが、お父様はムートン伯爵家と懇意にしていた。それ故に遠慮などがあるのだろう。
だがここで容赦しても得にはならないことは、お父様もわかっているはずだ。それは他の貴族から舐められることにも繋がっていくし、ここは厳格な対応が必要だといえる。
「む……」
「お父様? どうかされましたか?」
手紙を読んでいるお父様が突如怪訝な顔をしたため、私達は少し驚くことになった。
何かおかしなことでも書いてあったのだろうか。これ以上厄介なことは起こって欲しくないというのが、正直な所なのだが。
「いや、少々気になることが書いてあっただけだ。どうやらマルギスは、伯爵家を継ぐ権利を剥奪されたらしい」
「マルギス様が、ですか?」
「ああ、今回の件の責任を取らされたということだろう。ムートン伯爵にとっても、婚約破棄は不本意だったようだな」
お父様の言葉に、私は苦笑いを浮かべることになった。
マルギス様とシェリーカ嬢は、早速一つ大事な立場を失ったようだ。
これからも二人には、そういったことが降りかかってくるだろう。本当にあの二人はなんとも、損をする選択をしたものである。
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