40 / 70
第40話 待ち構えていた者達
しおりを挟む
私とイルディンは、害獣被害が出ている村に向かうことにした。
幸いにも、今日は私が仕事を手伝ったため、イルディンの仕事は午前中には片付いた。
そのため、午後から出かけることにしたのだ。
「結局、やることは増えてしまったね……」
「これに関しては、仕方ないことよ。迅速に対処しようとするあなたの姿勢は、至極全うなものだわ」
仕事が少なくなって喜ぶはずだったが、結局仕事は増えていた。
だが、これに関しては仕方ないことである。困っている人を放っておく訳にはいかないので、仕事が増えようが関係ないのだ。
「さて、それじゃあ、そろそろ行かないとね」
「ええ」
私とイルディンは、外に出て行った。
これから、馬車で害獣被害があった村に向かう。
そこで状況を確かめて、色々と判断するのだ。
「お待ちください、二人とも」
「え?」
「あなた達は……」
そんな私達を、引き止めてくる者がいた。
それは、昨日私達を訪ねて来た感じの悪い騎士達だ。
ラーガン・ウォーハイとその部下のメデッセル・ジャルミー。悪徳騎士二人が、何故か私達の屋敷の前で待ち構えていたのである。
「どちらにお出かけですか?」
「領地の村で少し問題が起きましてね。状況を確認するために、出かけようと思っているのです」
ラーガンの質問に、イルディンははっきりと答えた。
別に、私達がどこに出かけるかは隠すべきことではない。冷静な弟は、相手の態度が悪くても、そう判断したのだろう。
「ご自身の状況を理解していらっしゃらないのですか?」
「というと?」
「あなた達は、事件の容疑者です。無闇に出かけることが許される立場ではないでしょう?」
ラーガンの言い分は、滅茶苦茶な言い分だった。
事件の容疑者だからといって、どこかに出かけることを制限されることはない。だが、この悪徳騎士にとってはそうではないのだろう。
そんな愚かな騎士に対して、弟は一切表情を変えない。心の底では色々と思っているはずだが、それをおくびにも出さないその精神力は流石のものである。
「事件の容疑者であろうとも、あなた達に僕達の行動を制限することはできません」
「こちらの心証というものがあるでしょう?」
「おやおや、心証ですか……どうやら、本当にあなた達の捜査は杜撰なようですね」
「え?」
弟に対して放たれたラーガンの言葉に返されたのは、弟の言葉ではなかった。
その場に、もう一人騎士が現れたのだ。ダルケン・ウォーファム。比較的まともな騎士が、悪徳騎士の行動を批判したのである。
幸いにも、今日は私が仕事を手伝ったため、イルディンの仕事は午前中には片付いた。
そのため、午後から出かけることにしたのだ。
「結局、やることは増えてしまったね……」
「これに関しては、仕方ないことよ。迅速に対処しようとするあなたの姿勢は、至極全うなものだわ」
仕事が少なくなって喜ぶはずだったが、結局仕事は増えていた。
だが、これに関しては仕方ないことである。困っている人を放っておく訳にはいかないので、仕事が増えようが関係ないのだ。
「さて、それじゃあ、そろそろ行かないとね」
「ええ」
私とイルディンは、外に出て行った。
これから、馬車で害獣被害があった村に向かう。
そこで状況を確かめて、色々と判断するのだ。
「お待ちください、二人とも」
「え?」
「あなた達は……」
そんな私達を、引き止めてくる者がいた。
それは、昨日私達を訪ねて来た感じの悪い騎士達だ。
ラーガン・ウォーハイとその部下のメデッセル・ジャルミー。悪徳騎士二人が、何故か私達の屋敷の前で待ち構えていたのである。
「どちらにお出かけですか?」
「領地の村で少し問題が起きましてね。状況を確認するために、出かけようと思っているのです」
ラーガンの質問に、イルディンははっきりと答えた。
別に、私達がどこに出かけるかは隠すべきことではない。冷静な弟は、相手の態度が悪くても、そう判断したのだろう。
「ご自身の状況を理解していらっしゃらないのですか?」
「というと?」
「あなた達は、事件の容疑者です。無闇に出かけることが許される立場ではないでしょう?」
ラーガンの言い分は、滅茶苦茶な言い分だった。
事件の容疑者だからといって、どこかに出かけることを制限されることはない。だが、この悪徳騎士にとってはそうではないのだろう。
そんな愚かな騎士に対して、弟は一切表情を変えない。心の底では色々と思っているはずだが、それをおくびにも出さないその精神力は流石のものである。
「事件の容疑者であろうとも、あなた達に僕達の行動を制限することはできません」
「こちらの心証というものがあるでしょう?」
「おやおや、心証ですか……どうやら、本当にあなた達の捜査は杜撰なようですね」
「え?」
弟に対して放たれたラーガンの言葉に返されたのは、弟の言葉ではなかった。
その場に、もう一人騎士が現れたのだ。ダルケン・ウォーファム。比較的まともな騎士が、悪徳騎士の行動を批判したのである。
0
お気に入りに追加
1,833
あなたにおすすめの小説
【完結】私、四女なんですけど…?〜四女ってもう少しお気楽だと思ったのに〜
まりぃべる
恋愛
ルジェナ=カフリークは、上に三人の姉と、弟がいる十六歳の女の子。
ルジェナが小さな頃は、三人の姉に囲まれて好きな事を好きな時に好きなだけ学んでいた。
父ヘルベルト伯爵も母アレンカ伯爵夫人も、そんな好奇心旺盛なルジェナに甘く好きな事を好きなようにさせ、良く言えば自主性を尊重させていた。
それが、成長し、上の姉達が思わぬ結婚などで家から出て行くと、ルジェナはだんだんとこの家の行く末が心配となってくる。
両親は、貴族ではあるが貴族らしくなく領地で育てているブドウの事しか考えていないように見える為、ルジェナはこのカフリーク家の未来をどうにかしなければ、と思い立ち年頃の男女の交流会に出席する事を決める。
そして、そこで皆のルジェナを想う気持ちも相まって、無事に幸せを見つける。
そんなお話。
☆まりぃべるの世界観です。現実とは似ていても違う世界です。
☆現実世界と似たような名前、土地などありますが現実世界とは関係ありません。
☆現実世界でも使うような単語や言葉を使っていますが、現実世界とは違う場合もあります。
楽しんでいただけると幸いです。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
出て行けと言って、本当に私が出ていくなんて思ってもいなかった??
新野乃花(大舟)
恋愛
ガランとセシリアは婚約関係にあったものの、ガランはセシリアに対して最初から冷遇的な態度をとり続けていた。ある日の事、ガランは自身の機嫌を損ねたからか、セシリアに対していなくなっても困らないといった言葉を発する。…それをきっかけにしてセシリアはガランの前から失踪してしまうこととなるのだが、ガランはその事をあまり気にしてはいなかった。しかし後に貴族会はセシリアの味方をすると表明、じわじわとガランの立場は苦しいものとなっていくこととなり…。
【完結】お前とは結婚しない!そう言ったあなた。私はいいのですよ。むしろ感謝いたしますわ。
まりぃべる
恋愛
「お前とは結婚しない!オレにはお前みたいな奴は相応しくないからな!」
そう私の婚約者であった、この国の第一王子が言った。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
貴方が選んだのは全てを捧げて貴方を愛した私ではありませんでした
ましゅぺちーの
恋愛
王国の名門公爵家の出身であるエレンは幼い頃から婚約者候補である第一王子殿下に全てを捧げて生きてきた。
彼を数々の悪意から守り、彼の敵を排除した。それも全ては愛する彼のため。
しかし、王太子となった彼が最終的には選んだのはエレンではない平民の女だった。
悲しみに暮れたエレンだったが、家族や幼馴染の公爵令息に支えられて元気を取り戻していく。
その一方エレンを捨てた王太子は着々と破滅への道を進んでいた・・・
【完結】美しい人。
❄️冬は つとめて
恋愛
「あなたが、ウイリアム兄様の婚約者? 」
「わたくし、カミーユと言いますの。ねえ、あなたがウイリアム兄様の婚約者で、間違いないかしら。」
「ねえ、返事は。」
「はい。私、ウイリアム様と婚約しています ナンシー。ナンシー・ヘルシンキ伯爵令嬢です。」
彼女の前に現れたのは、とても美しい人でした。
侯爵令嬢リリアンは(自称)悪役令嬢である事に気付いていないw
さこの
恋愛
「喜べリリアン! 第一王子の婚約者候補におまえが挙がったぞ!」
ある日お兄様とサロンでお茶をしていたらお父様が突撃して来た。
「良かったな! お前はフレデリック殿下のことを慕っていただろう?」
いえ! 慕っていません!
このままでは父親と意見の相違があるまま婚約者にされてしまう。
どうしようと考えて出した答えが【悪役令嬢に私はなる!】だった。
しかしリリアンは【悪役令嬢】と言う存在の解釈の仕方が……
*設定は緩いです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる