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84.幸せな婚約へ
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「おめでとうございます、ととりあえず言っておきましょうか。まだどうなるかはわからないということですが、お二人ならきっと大丈夫だと、私は思っていますよ」
「ありがとうございます、ミレリア嬢」
私とマグナード様は、とりあえずルヴィード子爵家に向かっていた。まずお父様とお母様に、今回の話を了承してもらう必要があるからだ。
その道中、私達はアークウィル伯爵家に立ち寄った。ミレリア嬢にも、今回のことを報告しておきかったからである。
そんな私達のことを、彼女は快く受け入れてくれた。その快闊な笑顔からは、私達のことを祝福してくれていることが伝わってくる。
「でも、私からすると、少々時間がかかり過ぎたような気もしますね。まあ、お二人も色々とありましたから、仕方ないことなのかもしれませんが……」
「それに関しては、僕の不徳の至る所ですね。父上との話は、随分と前についていた訳ですし」
「マグナード様は、思っていたよりも奥手だったのですね」
「ミレリア嬢は、僕にどのような印象を抱いていたのでしょうか?」
「てっきり、もっと肉食系なのかと」
「肉食系……?」
ミレリア嬢の言葉に、マグナード様は首を傾げていた。彼女の言っている言葉の意味が、よく理解できていないのだろう。
それにしても、ミレリア嬢はやけに生き生きとしている。以前も思ったことではあるが、彼女は恋愛的な話が好きなのかもしれない。
「でも、マグナード様のお兄様は、中々に厳しい方なのですね。いえ、お父様が寛大であると考えた方がいいのでしょうか?」
「ああいえ、兄上も普段はとても優しい方なのですが……まあ、今回の件は家に関わることですから、殊更厳しいのかもしれません」
「まあ、その辺りは中々に大変なものですからね……」
マグナード様の言葉に、ミレリア嬢はゆっくりと目をそらしていた。
もしかしたら、自分とヴォルダン伯爵令息の婚約を思い出しているのかもしれない。彼女はそれに、ひどく翻弄されていた訳だし。
彼女の気持ちは、わからないという訳ではない。私も、ロダルト様との婚約で色々と困らされたからだ。
「私からしてみれば、家同士のことなんて下らないことなのですけれどね。それで結局、家は大変なことになっている訳ですし、無理な婚約はいつか不和を招くことになる」
「ミレリア嬢……」
「ああ、すみません。暗いことを言う場ではありませんね」
ミレリア嬢は、そう言って苦笑いを浮かべていた。
いつか彼女にも、良き縁が訪れればいいのだが。その笑顔に、私はそんなことを思うのだった。
「ありがとうございます、ミレリア嬢」
私とマグナード様は、とりあえずルヴィード子爵家に向かっていた。まずお父様とお母様に、今回の話を了承してもらう必要があるからだ。
その道中、私達はアークウィル伯爵家に立ち寄った。ミレリア嬢にも、今回のことを報告しておきかったからである。
そんな私達のことを、彼女は快く受け入れてくれた。その快闊な笑顔からは、私達のことを祝福してくれていることが伝わってくる。
「でも、私からすると、少々時間がかかり過ぎたような気もしますね。まあ、お二人も色々とありましたから、仕方ないことなのかもしれませんが……」
「それに関しては、僕の不徳の至る所ですね。父上との話は、随分と前についていた訳ですし」
「マグナード様は、思っていたよりも奥手だったのですね」
「ミレリア嬢は、僕にどのような印象を抱いていたのでしょうか?」
「てっきり、もっと肉食系なのかと」
「肉食系……?」
ミレリア嬢の言葉に、マグナード様は首を傾げていた。彼女の言っている言葉の意味が、よく理解できていないのだろう。
それにしても、ミレリア嬢はやけに生き生きとしている。以前も思ったことではあるが、彼女は恋愛的な話が好きなのかもしれない。
「でも、マグナード様のお兄様は、中々に厳しい方なのですね。いえ、お父様が寛大であると考えた方がいいのでしょうか?」
「ああいえ、兄上も普段はとても優しい方なのですが……まあ、今回の件は家に関わることですから、殊更厳しいのかもしれません」
「まあ、その辺りは中々に大変なものですからね……」
マグナード様の言葉に、ミレリア嬢はゆっくりと目をそらしていた。
もしかしたら、自分とヴォルダン伯爵令息の婚約を思い出しているのかもしれない。彼女はそれに、ひどく翻弄されていた訳だし。
彼女の気持ちは、わからないという訳ではない。私も、ロダルト様との婚約で色々と困らされたからだ。
「私からしてみれば、家同士のことなんて下らないことなのですけれどね。それで結局、家は大変なことになっている訳ですし、無理な婚約はいつか不和を招くことになる」
「ミレリア嬢……」
「ああ、すみません。暗いことを言う場ではありませんね」
ミレリア嬢は、そう言って苦笑いを浮かべていた。
いつか彼女にも、良き縁が訪れればいいのだが。その笑顔に、私はそんなことを思うのだった。
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