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80.話を聞いて
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「さて、どこから聞こうかしら? そうね……あなたが学園から去った時から、話してもらってもいいかしら?」
私は、ロダルト様にそのように問いかけた。
その辺りは、正直聞く必要があること、という訳ではない。ただ話のとっかかりとししては、そこが一番いいと思ったのだ。
「学園を退学してから、僕はひどい目にあったさ。そこにいるマグナードとかいう奴のせいでね」
「マグナード様のせい……ね」
「ビルドリム公爵家を敵に回した。その事実には父上もご立腹だった。家も追い詰められたし、その追い詰められた家に、僕の居場所はなかった」
ブライト殿下から、マグナード様が容赦ない人であるとは聞いていた。
その言葉に、嘘偽りはなかったようだ。きっとマグナード様は、公爵家の権力の諸々を使って、ラプトルト子爵家及びロダルト様を追い詰めたのだろう。
「しかし、そんな中でも君のことを忘れたことはなかった。あの頃は、君のことを恨んだりもしたよ。だが、これは惚れた弱みなのかもしれないが、君への想いがどんどんと高まっていった」
「そう……」
「そんな時に聞いたのは、学園で起こった新たな事件だ。ヴォルダン伯爵令息とムドラス伯爵令息、あの二人は君にひどいことをしたみたいじゃないか」
例の二人が起こした事件は、結構な話題になった。
その結果、ロダルト様の標的が決まったのだろう。学園の外まで話題になることがなかった、そもそもの発端であるナルネア嬢の事件などは伝わっていないのかもしれない。
「僕は、あの二人のことを調べて襲撃した。幸いにも、二人とも簡単に襲うことができた。軟禁されていたみたいだったが、二人が懇意にしているというナルネア嬢の名前を使ったら飛んできた。後は簡単だ。後ろから襲ってしまえばいい」
ロダルト様は、得意気に自分の犯行を語っていた。それを騎士達は、必死に書き留めている。
私はそれを見ながら、ため息をついていた。ロダルト様が、私に褒めてもらいたそうにしているからだ。
「……それで、どうして私のことを襲ったの?」
「こちらの世界は、僕にとって暮らしやすい世界ではないからね。君と一緒に、新しい世界に行こうと思ったんだ」
「無理心中、ということね……」
ロダルト様が私を襲った理由は、至極わかりやすいものだった。
どうやら、彼は本当にどうしようもない人である。私はそれを改めて認識していた。
「ロダルト様、あなたに一つ言っておきたいことがあります」
「ほう?」
「私は、あなたのことが嫌いです。大嫌いです。まあ、もう二度と会うことはないでしょうが……」
「なっ……!」
私は、ロダルト様にゆっくりと背を向けた。
これから彼は、犯した罪に対する罰を受けることになる。その過程において、彼が自分を省みてくれるといいのだが。
私は、ロダルト様にそのように問いかけた。
その辺りは、正直聞く必要があること、という訳ではない。ただ話のとっかかりとししては、そこが一番いいと思ったのだ。
「学園を退学してから、僕はひどい目にあったさ。そこにいるマグナードとかいう奴のせいでね」
「マグナード様のせい……ね」
「ビルドリム公爵家を敵に回した。その事実には父上もご立腹だった。家も追い詰められたし、その追い詰められた家に、僕の居場所はなかった」
ブライト殿下から、マグナード様が容赦ない人であるとは聞いていた。
その言葉に、嘘偽りはなかったようだ。きっとマグナード様は、公爵家の権力の諸々を使って、ラプトルト子爵家及びロダルト様を追い詰めたのだろう。
「しかし、そんな中でも君のことを忘れたことはなかった。あの頃は、君のことを恨んだりもしたよ。だが、これは惚れた弱みなのかもしれないが、君への想いがどんどんと高まっていった」
「そう……」
「そんな時に聞いたのは、学園で起こった新たな事件だ。ヴォルダン伯爵令息とムドラス伯爵令息、あの二人は君にひどいことをしたみたいじゃないか」
例の二人が起こした事件は、結構な話題になった。
その結果、ロダルト様の標的が決まったのだろう。学園の外まで話題になることがなかった、そもそもの発端であるナルネア嬢の事件などは伝わっていないのかもしれない。
「僕は、あの二人のことを調べて襲撃した。幸いにも、二人とも簡単に襲うことができた。軟禁されていたみたいだったが、二人が懇意にしているというナルネア嬢の名前を使ったら飛んできた。後は簡単だ。後ろから襲ってしまえばいい」
ロダルト様は、得意気に自分の犯行を語っていた。それを騎士達は、必死に書き留めている。
私はそれを見ながら、ため息をついていた。ロダルト様が、私に褒めてもらいたそうにしているからだ。
「……それで、どうして私のことを襲ったの?」
「こちらの世界は、僕にとって暮らしやすい世界ではないからね。君と一緒に、新しい世界に行こうと思ったんだ」
「無理心中、ということね……」
ロダルト様が私を襲った理由は、至極わかりやすいものだった。
どうやら、彼は本当にどうしようもない人である。私はそれを改めて認識していた。
「ロダルト様、あなたに一つ言っておきたいことがあります」
「ほう?」
「私は、あなたのことが嫌いです。大嫌いです。まあ、もう二度と会うことはないでしょうが……」
「なっ……!」
私は、ロダルト様にゆっくりと背を向けた。
これから彼は、犯した罪に対する罰を受けることになる。その過程において、彼が自分を省みてくれるといいのだが。
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