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77.責任を感じて

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 私とマグナード様は、ミレリア嬢の元を訪ねていた。
 アークウィル伯爵家は、私達のことをそれ程歓迎はしていないような気がする。
 しかし、それは仕方ないことなのかもしれない。私はムドラス伯爵との間に色々とあったし、今回の事件の原因の一端は、私にもある訳だし。

「事情はわかりましが、それはイルリア嬢に原因があるという訳ではないと思います。例えば仮に、ストーカーがストーキングしている人のために何かしたからといって、ストーキングされた人が悪くなるなんてことはないでしょうし……」
「でも、一応元婚約者である訳だし……」
「今婚約していないというなら、それこそ関係がないことです」

 ミレリア嬢は、私に責任がないと何度も言ってくれた。
 それはとても、ありがたいことである。ただ、私はどちらかというと責任を感じている。
 ロダルト様とのことは、もう終わったことだと思っていた。もう少し彼に気を払っていれば、これは防げたことである。

「まあ、そういうことなら僕にも責任の一端があります。ロダルト子爵令息を追い詰めたのは、他ならぬ僕ですからね」
「マグナード様……」
「とはいえ、彼に関して僕は対応を間違ったとは思っていません。彼の狂気を見抜けなかったことは、もちろん未熟だったとは思いますが……」

 私の側に立ちロダルト様と敵対したマグナード様も、気持ちは同じだったようだ。
 予想できるようなことだったかは微妙な所ではあるが、気にしないなんてことはできない。それが私やマグナード様の結論ということになるだろう。

「お二人は責任感が強いですからね。仕方ないことなのかもしれませんが……あまり気にしてはいけませんよ。大体、ムドラスやヴォルダン様なんて、こんな目に合って当然の人達ですからね」
「ミレリア嬢……」

 ミレリア嬢は、嫌らしい笑みを浮かべていた。
 あの二人に散々煮え湯を飲まされた彼女からしてみれば、今回の件もすっきりしたくらいにしか思っていないのかもしれない。
 もちろん、あの二人には私も思う所はある。しかし、それとこれとは話が別だと考えている。

「ああ、それで、そのムドラス伯爵令息はどうなんですか?」
「まあ、意識は取り戻しました。ずっと文句を言っているみたいです。お世話してくれている使用人の人達が可哀想で仕方ありません」
「元気そうで何よりです……」

 ムドラス伯爵令息のことを聞くと、ミレリア嬢は不快そうな顔をした。
 なんというか、私も彼に対する同情する気持ちが薄れてくる。やはりムドラス伯爵令息は、どうしようもない人かもしれない。
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