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51.自室への招待
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最近、魔法学園からは人がよくいなくなる。
ヴォルダン伯爵令息とムドラス伯爵令息が退学したことによって、学園ではそのような噂が立ち始めた。
その全てに関わっている私は、やはり立場が悪い。人々から、噂されているというのが現状だ。
ただ、その状況にはもう慣れている。今更、何か思うものではない。
そんなことよりも重要なのは、マグナード様を始めとする友人ができたことであるだろう。
特に今回の件でできたミレリア嬢とは同性ということもあって、かなり親密にさせてもらっている。
ちなみに彼女は、特に問題なく復学することができた。
例の件で後遺症が残ることなどもなかったし、万々歳だ。
「ここが、イルリア嬢の部屋ですか?」
「ええ、なんだか少しお恥ずかしいんですけど」
「いえいえ、綺麗な部屋ではありませんか」
ある日の放課後、私はミレリア嬢を寮の自室に招いた。
友人を部屋に招くなんて、初めての経験である。それは考えてみると、エムリーが入学してくる前からからだ。
そう考えると、私には今まで親密な人はいなかったといえるのかもしれない。マグナード様やブライト殿下、ミレリア嬢とは色々と苦難を乗り越えた仲であるため、特別に仲良くできているということなのだろうか。
「当然といえば当然ですが、寮の部屋というものはどこも同じ造りなのですね?」
「そうなんですか? でも、身分によって違ったりするんじゃ……」
「いいえ、多分学園ではそういうことはないと思いますよ。あくまでも平等が、学園の原理なのですから」
「なるほど……」
ミレリア嬢は、私よりも身分が上の伯爵令嬢だ。
そんな彼女でも、私とまったく同じ大きさの部屋で暮らしているというのは、少し意外なことである。
別に私は気にならないのだが、不平や不満を述べる人などはいないのだろうか。例えばナルネア嬢とかは、文句を言ってそうだ。
「あまり広い部屋ではないので、私よりも身分が上の方々は窮屈だと思っていそうですね」
「イルリア嬢だって、そう思ったのではありませんか? ご実家の自室が、このくらいの大きさという訳ではないでしょう?」
「……確かに言われてみれば、そうかもしれません。入学した時はそんな風に思っていたような気がします。今はもう、居心地が良すぎるというか」
「住めば都、ということでしょうかね」
私は、ミレリア嬢とそんな会話で花を咲かせていた。
なんというか、今日はこれから楽しい時間が過ごせそうだ。そんなことを思いながら、私は笑顔を浮かべるのだった。
ヴォルダン伯爵令息とムドラス伯爵令息が退学したことによって、学園ではそのような噂が立ち始めた。
その全てに関わっている私は、やはり立場が悪い。人々から、噂されているというのが現状だ。
ただ、その状況にはもう慣れている。今更、何か思うものではない。
そんなことよりも重要なのは、マグナード様を始めとする友人ができたことであるだろう。
特に今回の件でできたミレリア嬢とは同性ということもあって、かなり親密にさせてもらっている。
ちなみに彼女は、特に問題なく復学することができた。
例の件で後遺症が残ることなどもなかったし、万々歳だ。
「ここが、イルリア嬢の部屋ですか?」
「ええ、なんだか少しお恥ずかしいんですけど」
「いえいえ、綺麗な部屋ではありませんか」
ある日の放課後、私はミレリア嬢を寮の自室に招いた。
友人を部屋に招くなんて、初めての経験である。それは考えてみると、エムリーが入学してくる前からからだ。
そう考えると、私には今まで親密な人はいなかったといえるのかもしれない。マグナード様やブライト殿下、ミレリア嬢とは色々と苦難を乗り越えた仲であるため、特別に仲良くできているということなのだろうか。
「当然といえば当然ですが、寮の部屋というものはどこも同じ造りなのですね?」
「そうなんですか? でも、身分によって違ったりするんじゃ……」
「いいえ、多分学園ではそういうことはないと思いますよ。あくまでも平等が、学園の原理なのですから」
「なるほど……」
ミレリア嬢は、私よりも身分が上の伯爵令嬢だ。
そんな彼女でも、私とまったく同じ大きさの部屋で暮らしているというのは、少し意外なことである。
別に私は気にならないのだが、不平や不満を述べる人などはいないのだろうか。例えばナルネア嬢とかは、文句を言ってそうだ。
「あまり広い部屋ではないので、私よりも身分が上の方々は窮屈だと思っていそうですね」
「イルリア嬢だって、そう思ったのではありませんか? ご実家の自室が、このくらいの大きさという訳ではないでしょう?」
「……確かに言われてみれば、そうかもしれません。入学した時はそんな風に思っていたような気がします。今はもう、居心地が良すぎるというか」
「住めば都、ということでしょうかね」
私は、ミレリア嬢とそんな会話で花を咲かせていた。
なんというか、今日はこれから楽しい時間が過ごせそうだ。そんなことを思いながら、私は笑顔を浮かべるのだった。
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