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49.保健室にて
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「皆さんには、色々とご迷惑をおかけしてしまいましたね……」
「いいえ、お気になさらないでください。そんなことよりも、ミレリア嬢は大丈夫なんですか?」
「ええ、もう問題ありません。まあ、念のため後日、病院には行くことになりそうですが……」
保健室にて、ミレリア嬢は私にはきはきと返答を返してくれた。
彼女の顔色は、すこぶるいい。本人が言っている通り、大丈夫そうだ。お医者様にも診てもらったようだし、多分問題はないだろう。
それによって、私はやっと本当の意味で安心することができた。マグナード様も罰を受けなかったし、ミレリア嬢も無事であるならば、少しは気を緩められるというものだ。
「さてと、病み上がりのあなたに色々と聞くというのは酷なのかもしれないが、大まかでもいいから事情を聞かせてくれないか。あの二人との間に、何があったんだ?」
「特別なことがあったという訳ではありません。廊下を歩いていたら、あの二人が現れて、そのまま校舎裏まで連れて行かれました」
「わかっていたことではあるが、暴漢だな……」
ヴォルダン伯爵令息とムドラス伯爵令息の両名は、凡そまともな感性をしている人達ではない。それはわかっていたことだ。
彼らが心酔していたナルネア嬢は、悪辣な人間であった訳だが、あの二人程に狂気的な人間ではなかった。
彼らを抑えつけていたということに関してだけは、ナルネア嬢のことを称賛せざるを得ない。
「その後、彼らは私のことを非難してきました。私のせいで、報復ができなくなったと」
「やっていることも言っていることも滅茶苦茶ですね。やはり、あの二人はとんでもない人達です。ミレリア嬢の警告がなければ、私もどうなっていたことか……」
ミレリア嬢のことは、私にとって決して他人事ではない。
彼女からの警告がなかった場合、こうなっていたのは私だっただろう。
いやそれ所か、もっとひどいことになっていたかもしれない。本当にありがたい警告だったといえる。
「あの、所でマグナード様はどちらに?」
「え? ああ、彼は少し頭を冷やしたいみたいで……」
「頭を冷やす?」
「あなたは意識が朦朧としていて、気付かなかったか。あいつは、ヴォルダンに対して結構苛烈なことをしたんだ。今はそれを反省している」
「ああそういえば、彼の顎が大変なことになっているとは聞きました。そうですか、マグナード様が……」
マグナード様のことを聞いて、ミレリア嬢は少しだけ笑みを浮かべていた。
その笑みは一体、どういうことなのだろうか。少し気になる。
「私からしてみれば、いい気味でしかないですからね。マグナード様には、良かったらお礼を伝えておいてください。お願いしますよ、イルリア嬢」
「え? ええ、それはもちろん」
「まあ、そういうことならイルリア嬢、あいつの様子を見に行ってくれないか。こういう時には、俺よりあなたの方がいいだろうからな」
「あ、はい。それも構いませんが……」
ミレリア嬢とブライト殿下は、なんだか温かい笑みを浮かべていた。
それを疑問に思いながらも、私はマグナード様の元へと向かうのだった。
「いいえ、お気になさらないでください。そんなことよりも、ミレリア嬢は大丈夫なんですか?」
「ええ、もう問題ありません。まあ、念のため後日、病院には行くことになりそうですが……」
保健室にて、ミレリア嬢は私にはきはきと返答を返してくれた。
彼女の顔色は、すこぶるいい。本人が言っている通り、大丈夫そうだ。お医者様にも診てもらったようだし、多分問題はないだろう。
それによって、私はやっと本当の意味で安心することができた。マグナード様も罰を受けなかったし、ミレリア嬢も無事であるならば、少しは気を緩められるというものだ。
「さてと、病み上がりのあなたに色々と聞くというのは酷なのかもしれないが、大まかでもいいから事情を聞かせてくれないか。あの二人との間に、何があったんだ?」
「特別なことがあったという訳ではありません。廊下を歩いていたら、あの二人が現れて、そのまま校舎裏まで連れて行かれました」
「わかっていたことではあるが、暴漢だな……」
ヴォルダン伯爵令息とムドラス伯爵令息の両名は、凡そまともな感性をしている人達ではない。それはわかっていたことだ。
彼らが心酔していたナルネア嬢は、悪辣な人間であった訳だが、あの二人程に狂気的な人間ではなかった。
彼らを抑えつけていたということに関してだけは、ナルネア嬢のことを称賛せざるを得ない。
「その後、彼らは私のことを非難してきました。私のせいで、報復ができなくなったと」
「やっていることも言っていることも滅茶苦茶ですね。やはり、あの二人はとんでもない人達です。ミレリア嬢の警告がなければ、私もどうなっていたことか……」
ミレリア嬢のことは、私にとって決して他人事ではない。
彼女からの警告がなかった場合、こうなっていたのは私だっただろう。
いやそれ所か、もっとひどいことになっていたかもしれない。本当にありがたい警告だったといえる。
「あの、所でマグナード様はどちらに?」
「え? ああ、彼は少し頭を冷やしたいみたいで……」
「頭を冷やす?」
「あなたは意識が朦朧としていて、気付かなかったか。あいつは、ヴォルダンに対して結構苛烈なことをしたんだ。今はそれを反省している」
「ああそういえば、彼の顎が大変なことになっているとは聞きました。そうですか、マグナード様が……」
マグナード様のことを聞いて、ミレリア嬢は少しだけ笑みを浮かべていた。
その笑みは一体、どういうことなのだろうか。少し気になる。
「私からしてみれば、いい気味でしかないですからね。マグナード様には、良かったらお礼を伝えておいてください。お願いしますよ、イルリア嬢」
「え? ええ、それはもちろん」
「まあ、そういうことならイルリア嬢、あいつの様子を見に行ってくれないか。こういう時には、俺よりあなたの方がいいだろうからな」
「あ、はい。それも構いませんが……」
ミレリア嬢とブライト殿下は、なんだか温かい笑みを浮かべていた。
それを疑問に思いながらも、私はマグナード様の元へと向かうのだった。
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