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44.彼らの狙いは

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 マグナード様の知人が彼に報告をするために離れた一瞬の間で、ヴォルダン伯爵令息とムドラス伯爵令息は姿を消したらしい。
 放課後であるため、寮に戻ったのではないか。そう質問した私達に、知人は首を横に振った。そちらについては、既に調べているそうだ。

 それなら、図書室とかそういった施設にいるかもしれない。そんな希望的な観測は、抱くべきではないだろう。
 彼らはこちらの動きをある程度理解しており、隙を伺っていたのだ。これから何か、仕掛けてくるかもしれない。

「え? いない?」
「ええ、教室から出て行ってから、帰って来ていませんね……」
「彼女の荷物は?」
「あそこに残したままです」

 とりあえず私とマグナード様は、ミレリア嬢の元を訪ねていた。
 しかし、彼女は教室にいなかった。荷物を残して、どこかに消え去ってしまったらしい。
 その事実に、私とマグナード様はまた顔を見合わることになった。なんというか、とても嫌な予感がする。

「二人は、こちらの動きをある程度理解していた。ということは、ミレリア嬢が何をしたのかも把握していたということになります」
「マグナード様、それって……」
「ええ、二人が彼女を狙ったとしても、おかしくはありません」

 マグナード様が語ったことに、私は固まってしまった。
 私は今朝、ミレリア嬢と友人になったばかりだ。そんな彼女に危機が迫っているなんて、考えてもいなかった。
 なんというか、猛烈に後悔の念が湧いてきた。どうして私は、もっと彼女のことを気にかけていなかったのだろうか。

「とにかく、ミレリア嬢を探さなければなりません。二人が関与していようがいまいが、今は彼女の所在が重要です」
「ええ、そうですね……」

 私は、マグナード様の言葉にぎこちなく頷いた。
 ミレリア嬢のことが、とにかく心配だ。どこにいるかはわからないが、早く見つけてあげたい。

「ただ、もちろん単独行動は厳禁です。僕とイルリア嬢は固まって動きましょう」
「わかりました」

 マグナード様は、こんな時でも冷静だった。
 そんな彼を見習わなければならない。焦っていても仕方ないのだから。
 私は、一度深呼吸をする。そのおかげで、少しだけ落ち着けた。そして、見えてくるものがあった。

「あ、そうだ……あの二人は、ナルネア嬢のことを信奉していました。ということは、人を連れて行くなら彼女と同じ場所なのではないでしょうか?」
「校舎裏ですか。その可能性はありますね。なんだかんだ言って、やはりあそこが一番人気が少ないですから……とりあえず、そこに行ってみましょうか」
「はい」

 私は、マグナード様の言葉に力強く頷いた。
 こうして私達は、ミレリア嬢の捜索を開始するのだった。
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