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21.数少ない友人

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「はあ……」

 ロダルト様との話し合いが終わってから、マグナード様はずっと浮かない顔をしていた。
 心優しき彼からすれば、やはり先程のようなことは避けたいものなのだろう。

「……マグナード様、本当に申し訳ありません。あなたの手を煩わせてしまうことになってしまって」
「ああ、いいえ、お気になさらないでください。何度も言っていると思いますが、あなたは何も悪くないのですから」
「でも、ロダルト様は私の婚約者だった訳で……それはつまり、婚約者を見極められなかったルヴィード子爵家の責任と言いますか……」
「イルリア嬢は、とても責任感が強い人なのですね。ご立派だと思います」

 マグナード様は、私からの謝罪を決して受け入れてくれなかった。
 あくまでもロダルト様の責任であると、考えているのだろう。こちらとしてはそう思ってもらえるのはありがたいのだけれど、それでいいのかと思ってしまうのが正直な所だ。
 とはいえ、よく考えてみると責任を求められるとまずいような気もする。ここは彼の善意に、甘えた方がいいのかもしれない。

「さてと、イルリア嬢はこれからどうされるつもりなのですか? 今後の身の振り方などは、決まっているのでしょうか?」
「それについては、実はまったく決まっていません。まあ、両親と相談してから、決めることになると思いますが……」
「なるほど、まあ当然のことですね」

 マグナード様は、私の言葉にゆっくりと頷いてくれた。
 正直な所、これからのことはあまり考えたいことという訳でもない。多分大変だろうし、少し億劫である。
 とはいえ、目をそらすこともできない。家の発展のためにも、婚約は必要であるだろう。

「まあ、また何か困ったことがあったら頼ってください。今回のようになれば話は別ですが、クラスメイトとして力をお貸ししますよ」
「そう言っていただけると、心強い限りです。マグナード様も、何かあったら相談してくださいね。私で力になれるのかはわかりませんが、できる限りのことはしたいと思います」
「それは僕にとっても心強いですね。以前も話した通り、僕は友人もいませんから、相談できる相手は貴重です」

 私の言葉に、マグナード様は笑顔を浮かべてくれた。
 彼は、本当に嬉しそうにしている。やはり高い身分であるため、友人は少ないのだろうか。
 それなら、これからも仲良くしていきたい所である。色々とあって、私も今は友達が少ない。信頼できる友人がいてくれるなんて、願ってもいないことだ。
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