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7.婚約者からの呼び出し
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マグナード様から話を聞いた私は、何かしらの対策を立てる必要があると思っていた。
エムリーが何かしらの陰謀を企てていることは明らかだ。私はどうにか、それを止めなければならない。
「ロダルト様、話とは一体なんですか?」
そんな私は、放課後に婚約者であるロダルト様に呼び出されていた。
婚約者であるため、そういうことは今までもあった。ただ今日は、いつものような穏やかな話し合いという訳ではなさそうである。
その根拠となるのは、ロダルト様の表情だ。その真剣な表情が物語っている。
「イルリア、実は君に伝えたいことがあるんだ」
「伝えたいこと……はい、なんですか?」
「君の妹のことだ」
ロダルト様の言葉に、私は少し驚いた。
私は朝にも同じような言葉を聞いていたからだ。
もしかして、彼もマグナード様と同じように状況に気付いてくれたということだろうか。それは私としてはありがたいことではある。
「婚約破棄されたらしいね。それも彼女に落ち度はなかったというのに」
「え、ええ……」
私はロダルト様に対してぎこちなく頷くことしかできなかった。
実際の所、エムリーに非は恐らくなかったはずだ。その面だけ考えると、アルバルト様はひどい人だ。
しかし逆に言えば、それでも彼は婚約破棄を選択したのである。非難されるリスクよりも、エムリーを妻と迎えることが不利益であると思った。思えばそれは、すごいことである。
「正直に言おう。僕はエムリー嬢のことが可哀想だと思っている」
「可哀想……まあ、そう思うのも当然だとは思います」
ロダルト様は、純粋な人だ。
エムリーのことを聞いて、本当に同情しているのだろう。マグナード様のように疑念を覚えた訳ではないのかもしれない。
まあ、それならそれでもいいだろう。善人にであることに文句をつけたりはしない。
「ただでさえ彼女は、ルヴィード子爵家でも立場が弱いというのに……」
「うん?」
ロダルト様が言っていることは、少しおかしい。
エムリーのことが可哀想だと思うのはいいのだが、その後の言葉は私にとって意味がわからないものである。
「ロダルト様、何を言っているのですか?」
「そんなエムリー嬢のためにも、僕はできることをしたいと思っている」
「ロダルト様?」
私は思わず、眉をひそめてしまった。
ロダルト様の向かっている方向が、なんだかおかしい。
「僕はエムリー嬢と婚約しようと思っている」
「な、なんですって?」
ロダルト様の言葉に、私は固まることになった。
彼は何を言っているのだろうか。正気であるとは思えない。まさかあのエムリーが、何かを仕掛けたということだろうか。
エムリーが何かしらの陰謀を企てていることは明らかだ。私はどうにか、それを止めなければならない。
「ロダルト様、話とは一体なんですか?」
そんな私は、放課後に婚約者であるロダルト様に呼び出されていた。
婚約者であるため、そういうことは今までもあった。ただ今日は、いつものような穏やかな話し合いという訳ではなさそうである。
その根拠となるのは、ロダルト様の表情だ。その真剣な表情が物語っている。
「イルリア、実は君に伝えたいことがあるんだ」
「伝えたいこと……はい、なんですか?」
「君の妹のことだ」
ロダルト様の言葉に、私は少し驚いた。
私は朝にも同じような言葉を聞いていたからだ。
もしかして、彼もマグナード様と同じように状況に気付いてくれたということだろうか。それは私としてはありがたいことではある。
「婚約破棄されたらしいね。それも彼女に落ち度はなかったというのに」
「え、ええ……」
私はロダルト様に対してぎこちなく頷くことしかできなかった。
実際の所、エムリーに非は恐らくなかったはずだ。その面だけ考えると、アルバルト様はひどい人だ。
しかし逆に言えば、それでも彼は婚約破棄を選択したのである。非難されるリスクよりも、エムリーを妻と迎えることが不利益であると思った。思えばそれは、すごいことである。
「正直に言おう。僕はエムリー嬢のことが可哀想だと思っている」
「可哀想……まあ、そう思うのも当然だとは思います」
ロダルト様は、純粋な人だ。
エムリーのことを聞いて、本当に同情しているのだろう。マグナード様のように疑念を覚えた訳ではないのかもしれない。
まあ、それならそれでもいいだろう。善人にであることに文句をつけたりはしない。
「ただでさえ彼女は、ルヴィード子爵家でも立場が弱いというのに……」
「うん?」
ロダルト様が言っていることは、少しおかしい。
エムリーのことが可哀想だと思うのはいいのだが、その後の言葉は私にとって意味がわからないものである。
「ロダルト様、何を言っているのですか?」
「そんなエムリー嬢のためにも、僕はできることをしたいと思っている」
「ロダルト様?」
私は思わず、眉をひそめてしまった。
ロダルト様の向かっている方向が、なんだかおかしい。
「僕はエムリー嬢と婚約しようと思っている」
「な、なんですって?」
ロダルト様の言葉に、私は固まることになった。
彼は何を言っているのだろうか。正気であるとは思えない。まさかあのエムリーが、何かを仕掛けたということだろうか。
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