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8.この世界は

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 この世界がゲームの世界かどうかを確かめるために、私は行動を開始した。
 私が話を聞こうと思ったのは、目覚めた時に色々と聞かせてくれたメイドさんだった。
 彼女の名前は、ファルシア。ウォルマー侯爵家に最近雇われたメイドで、ペトラの身の周りの世話を主に担当しているらしい。

「えっと、それでお話とは何でしょうか?」
「あなたに、色々と聞きたいことがあって……この屋敷のこと、この世界のこと、私は知らないことが多すぎるもの」
「ああ、そうですよね……」

 ファルシアは私の言葉に、ゆっくりと頷いていた。
 目覚めた時に話した時から思っていたことだが、彼女はまったく物怖じしない性格であるらしい。推定それ程性格が良くないペトラと気軽に話していることからも、それがわかる。
 身の周りのお世話を任されたのも、それが関係しているのかもしれない。他に誰もやりたがらなかった、とかだろうか。

「えっと、まずはこの国のことから教えてもらえるかしら? ここは……王政なのかしら?」
「あ、はい。そうですよ。アルシード王国という国ですよ」
「アルシード王国……」

 ファルシアから聞いた国の名前は、ゲームで出てきた名前そのものだった。
 ここまで一致しているとなると、ここがゲームの世界であることは間違いないだろう。
 そうなると、様々なことが気になってくる。まずは、魔法の存在だ。

「魔法というものが、私達は確か使えたはずよね?」
「魔法の使い方も、忘れてしまったのですか?」
「ええ、思い出せなくて……よかったら、教えてくれないかしら?」
「それはなんというか……難しいですね。魔法というものは、物心ついた頃には使えるようになっていましたし」

 私の質問に、ファルシアはその表情を険しくした。
 魔法の使い方がわからない。もしかしたらそれは、かなり深刻な話なのだろうか。使えて当たり前であるというなら、その可能性はある。

「こう、体の内側からパァァみたいな感じで……」
「そう……よくわからないわね」
「ですよね……」

 ファルシアの説明は、非常に抽象的なものだった。
 なんとかそれに従おうとしたが、やはり無理だ。私には魔法は使えそうにない。

「まあ記憶を取り戻すことができたら、また使えるようになるのかもしれないし、それはそんなに気にしなくてもいいことだと思うわ」
「そ、そうでしょうか? とりあえず、皆さんにはお伝えしておきますね」
「ええ、お願いするわね」

 魔法が使えるかどうかは、この際どうでもいいことである。
 重要なのは、ここがゲームの世界であるということだ。その情報は、私のこれからの行動をある程度定めてくれるものである。
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