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イルーアが去った後、私とウルグスはゼラーム様と話をしていた。
妹のせいで、彼を色々と困惑させてしまった。そのことについて、謝罪しているのだ。
「ゼラーム様、申し訳ありませんでした。お見苦しい所をお見せしてしまって……」
「いや、構わないさ。別に、気にしないでくれ」
ゼラーム様は、私の謝罪に対して笑顔で応えてくれた。
その態度を見て、私は少しだけ違和感を覚えていた。なんだか、先程までの彼とは少し違うのだ。
「あの……どうかしましたか?」
「うん? ああ、少し楽しくなってきたのさ」
「楽しく?」
ゼラーム様の態度は、明らかに変わっていた。
とても面倒くさそうにしていた彼は、とてもやる気に満ち溢れている。
しかし、どうしてそんな態度になっているのかまったくわからない。一体、彼に何があったのだろうか。
「ああ、先程も言ったが、俺は熱烈な恋というものに憧れている。そういうことができる奴は、別に嫌いではない」
「はあ……」
「だが、浮気をするような奴は許せない。そういう奴は大嫌いだ。だから、俺は今から色々としようと思っている」
「え?」
ゼラーム様の言葉は、よくわからないものだった。
恐らく、彼はブレギム様のことを許せないと言っているのだろう。確かに、浮気するようなろくでなしなので、そう思うことはおかしくない。
だが、それで何をしようというのだろう。そもそも関係ないに関わってくることもおかしいが、何かできることがあるだろうか。
「何をしようというのですか?」
「考えてもみろ、お前に対して浮気して、あの妹に対しても浮気していた人間だ。そういう人間は、叩けば埃が出るはずだろう」
「え? そうですか?」
「まあ、正確にはわからないが、調査してみる価値はあるだろう? 少なくとも、俺はそうするつもりだ」
「はあ……」
なんだかよくわからないが、彼はブレギム様がまだ浮気していると思っているようだ。
確かに、その可能性はある。私やイルーアに対して浮気していた人間だ。他に浮気していてもおかしくはない。
だが、正直どうでもよかった。私は婚約破棄されたし、妹ももう信用はしない。つまり、私達と彼との間に関わりはないのだ。
そのため、ブレギム様が他と浮気していようが、どうでもいい。できることなら、もう関わりたくないのである。
ただ、ゼラーム様が調査するというのを止める理由もない。
だから、私が出すべき結論は好きにしてくださいということでいいのだろう。
「素晴らしい考えですね」
「え?」
そんな私の考えを遮って来たのは、弟のウルグスだった。
どうやら、話はもう少し面倒なことになりそうである。
妹のせいで、彼を色々と困惑させてしまった。そのことについて、謝罪しているのだ。
「ゼラーム様、申し訳ありませんでした。お見苦しい所をお見せしてしまって……」
「いや、構わないさ。別に、気にしないでくれ」
ゼラーム様は、私の謝罪に対して笑顔で応えてくれた。
その態度を見て、私は少しだけ違和感を覚えていた。なんだか、先程までの彼とは少し違うのだ。
「あの……どうかしましたか?」
「うん? ああ、少し楽しくなってきたのさ」
「楽しく?」
ゼラーム様の態度は、明らかに変わっていた。
とても面倒くさそうにしていた彼は、とてもやる気に満ち溢れている。
しかし、どうしてそんな態度になっているのかまったくわからない。一体、彼に何があったのだろうか。
「ああ、先程も言ったが、俺は熱烈な恋というものに憧れている。そういうことができる奴は、別に嫌いではない」
「はあ……」
「だが、浮気をするような奴は許せない。そういう奴は大嫌いだ。だから、俺は今から色々としようと思っている」
「え?」
ゼラーム様の言葉は、よくわからないものだった。
恐らく、彼はブレギム様のことを許せないと言っているのだろう。確かに、浮気するようなろくでなしなので、そう思うことはおかしくない。
だが、それで何をしようというのだろう。そもそも関係ないに関わってくることもおかしいが、何かできることがあるだろうか。
「何をしようというのですか?」
「考えてもみろ、お前に対して浮気して、あの妹に対しても浮気していた人間だ。そういう人間は、叩けば埃が出るはずだろう」
「え? そうですか?」
「まあ、正確にはわからないが、調査してみる価値はあるだろう? 少なくとも、俺はそうするつもりだ」
「はあ……」
なんだかよくわからないが、彼はブレギム様がまだ浮気していると思っているようだ。
確かに、その可能性はある。私やイルーアに対して浮気していた人間だ。他に浮気していてもおかしくはない。
だが、正直どうでもよかった。私は婚約破棄されたし、妹ももう信用はしない。つまり、私達と彼との間に関わりはないのだ。
そのため、ブレギム様が他と浮気していようが、どうでもいい。できることなら、もう関わりたくないのである。
ただ、ゼラーム様が調査するというのを止める理由もない。
だから、私が出すべき結論は好きにしてくださいということでいいのだろう。
「素晴らしい考えですね」
「え?」
そんな私の考えを遮って来たのは、弟のウルグスだった。
どうやら、話はもう少し面倒なことになりそうである。
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