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お父様との話を終えて、私は自室に戻って来ていた。
考えていることは、今後のことである。婚約破棄されたことで、私はそれなりに悪い立場になっただろう。
もちろん、あちらから婚約破棄されたという面があるため、最悪の印象という訳ではない。しかし、それでも、まともな婚約者は中々見つからないだろう。
もしかしたら、ブレギム様よりも悪い婚約者と婚約させられるかもしれない。それは、少し辛いことである。
だが、きっとそれでも我慢できるだろう。私は、そういう人間だ。
ブレギム様に対して、私は感情を露わにして怒っていた。
しかし、それは本来ならあってはならないことだ。今度は、ああいう風にしないようにしよう。
貴族として、個人の感情を出さず理論的に生きる。そういう風に生きる方が正しいし、楽なはずだ。
私は、堅実に生きたいと思っている。
そういうことに悩むことなく、普通の貴族として一生を過ごしていきたいのだ。
「アルネア姉さん? 入っていいかな?」
「え?」
そんなことを考えている私の耳に、戸を叩く音と声が聞こえてきた。
その声は、弟のウルグスの声である。どうやら、部屋を訪ねて来たようだ。
何故彼が来たのか、それは考えるまでもない。婚約破棄のことを聞いたのだろう。
「今開けるわ」
「あ、姉さん……」
戸を開けると、ウルグスがいた。
心配そうな顔をしているので、私の予想は当たっているだろう。
ウルグスは、とても優しい子だ。だから、私が悲しんでいないか、とても心配なのだろう。
「ウルグス? もしかして……」
「あ、うん……なんだか、大変なことになっているみたいだから、少し心配で……」
「やっぱり、そのことだったのね」
弟は少し気まずそうに、私の言葉に頷いた。予想通り、心配して来てくれたようである
そのことは、素直に嬉しかった。だが、別に私はそこまで心配してもらうような状態ではない。
もちろん、今後のことについては色々と不安はある。
だが、それは些細なことだ。少なくとも、ウルグスがそのような表情をする程、深刻なことではない。
「心配しないで、私は元気よ」
「そうなの?」
「ええ、婚約破棄については残念だったけど、それはもういいわ。少なくとも私にとっては、解決したことなのよ。しばらくは自由になれるし、久し振りにゆっくりと休ませてもらうわ」
「そっか……それなら、良かったよ」
私の言葉に、ウルグスは笑顔を見せてくれた。
この弟は、本当に可愛い弟である。背が高くなってきたが、その柔らかい笑顔はいつまでも変わらないものだ。
「それにしても、情報が早いわね。お父様から聞いたの?」
「うん、さっき兄さんと一緒に呼び出されて、話を聞かされたんだ」
「お兄様と一緒に?」
「うん、兄さんも心配していたよ」
「そうなのね」
お父様は、私と話してからすぐにウルグスやお兄様にも話したようである。
二人に隠す必要はないため、それは当然のことだ。
ただ、少し気になることはある。お兄様も、この事実を知ったということだ。
お兄様は、とても厳しい人である。そんな彼が、イルーアの行動をどう思ったかは考えるまでもない。
「お兄様は、どうしているの?」
「え? 部屋に戻ったよ」
「そう……お父様に、任せたということかしら」
お兄様なら、何か動くかもしれない。そう思った私だったが、そうでもないようだ。
恐らく、お父様が動くからいいと思ったのだろう。それなら、安心していいかもしれない。
「……私は、何を考えているのかしら」
「え?」
「あ、いや、なんでもないわ」
そこまで考えて、私は意味のわからないことを考えていたことを自覚した。
別に、イルーアが厳しいお兄様に説教されても、私は構わないはずなのだ。それなのに、私は彼女のことを心配してしまっていた。
貴族として軽率な行動をしたのだから、それを咎められるのは当然のことだ。それをわかっているはずなのに、私は何を考えているのだろうか。
考えていることは、今後のことである。婚約破棄されたことで、私はそれなりに悪い立場になっただろう。
もちろん、あちらから婚約破棄されたという面があるため、最悪の印象という訳ではない。しかし、それでも、まともな婚約者は中々見つからないだろう。
もしかしたら、ブレギム様よりも悪い婚約者と婚約させられるかもしれない。それは、少し辛いことである。
だが、きっとそれでも我慢できるだろう。私は、そういう人間だ。
ブレギム様に対して、私は感情を露わにして怒っていた。
しかし、それは本来ならあってはならないことだ。今度は、ああいう風にしないようにしよう。
貴族として、個人の感情を出さず理論的に生きる。そういう風に生きる方が正しいし、楽なはずだ。
私は、堅実に生きたいと思っている。
そういうことに悩むことなく、普通の貴族として一生を過ごしていきたいのだ。
「アルネア姉さん? 入っていいかな?」
「え?」
そんなことを考えている私の耳に、戸を叩く音と声が聞こえてきた。
その声は、弟のウルグスの声である。どうやら、部屋を訪ねて来たようだ。
何故彼が来たのか、それは考えるまでもない。婚約破棄のことを聞いたのだろう。
「今開けるわ」
「あ、姉さん……」
戸を開けると、ウルグスがいた。
心配そうな顔をしているので、私の予想は当たっているだろう。
ウルグスは、とても優しい子だ。だから、私が悲しんでいないか、とても心配なのだろう。
「ウルグス? もしかして……」
「あ、うん……なんだか、大変なことになっているみたいだから、少し心配で……」
「やっぱり、そのことだったのね」
弟は少し気まずそうに、私の言葉に頷いた。予想通り、心配して来てくれたようである
そのことは、素直に嬉しかった。だが、別に私はそこまで心配してもらうような状態ではない。
もちろん、今後のことについては色々と不安はある。
だが、それは些細なことだ。少なくとも、ウルグスがそのような表情をする程、深刻なことではない。
「心配しないで、私は元気よ」
「そうなの?」
「ええ、婚約破棄については残念だったけど、それはもういいわ。少なくとも私にとっては、解決したことなのよ。しばらくは自由になれるし、久し振りにゆっくりと休ませてもらうわ」
「そっか……それなら、良かったよ」
私の言葉に、ウルグスは笑顔を見せてくれた。
この弟は、本当に可愛い弟である。背が高くなってきたが、その柔らかい笑顔はいつまでも変わらないものだ。
「それにしても、情報が早いわね。お父様から聞いたの?」
「うん、さっき兄さんと一緒に呼び出されて、話を聞かされたんだ」
「お兄様と一緒に?」
「うん、兄さんも心配していたよ」
「そうなのね」
お父様は、私と話してからすぐにウルグスやお兄様にも話したようである。
二人に隠す必要はないため、それは当然のことだ。
ただ、少し気になることはある。お兄様も、この事実を知ったということだ。
お兄様は、とても厳しい人である。そんな彼が、イルーアの行動をどう思ったかは考えるまでもない。
「お兄様は、どうしているの?」
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「そう……お父様に、任せたということかしら」
お兄様なら、何か動くかもしれない。そう思った私だったが、そうでもないようだ。
恐らく、お父様が動くからいいと思ったのだろう。それなら、安心していいかもしれない。
「……私は、何を考えているのかしら」
「え?」
「あ、いや、なんでもないわ」
そこまで考えて、私は意味のわからないことを考えていたことを自覚した。
別に、イルーアが厳しいお兄様に説教されても、私は構わないはずなのだ。それなのに、私は彼女のことを心配してしまっていた。
貴族として軽率な行動をしたのだから、それを咎められるのは当然のことだ。それをわかっているはずなのに、私は何を考えているのだろうか。
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