19 / 24
19.王からの謝罪
しおりを挟む
正直言って、王都に再び足を踏む入れることはないと思っていた。
しかしながら、私は今王都にいる。いやそれ所か、王城の中の玉座の間にて、国王様を前にしている。
国王様と顔を合わせたことが、ないという訳ではない。だが、この国を統べる者と会うことに慣れる訳もなく、私はかなり緊張している。
「元聖女親衛隊アメリアよ、よく来てくれた」
「い、いえ……その、どうして私を?」
私の隣には、クラウス様もいる。彼がここまで、私を連れて来てくれたのだ。
彼がそうしてくれたのには、理由がある。今回の呼び出しの理由が、明かされていないからだ。
「ふむ、それには理由がある。ファルティアのことだ」
「ファルティア様の……」
国王様は、ファルティア様を止めるために動いていると聞いている。しかし、彼が今まで彼女を放っていたのも事実だ。
そのため彼が、ファルティア様の味方なのか敵なのかははっきりとわかってはいない。それによって、この呼び出しの意味はかなり変わってくるだろう。
「あれがお主に対してした仕打ち、まずはそれを謝罪しよう。娘が不当にお主を解雇して、本当にすまなかった」
「国王様……」
国王様は、私に対して謝罪の言葉をかけてきた。
その言葉に、私は少し安心する。どうやら国王様はナーゼルさんが言っていた通り、ファルティアの味方という訳ではなかったらしい。
「……国王様、その辺りの事情について詳しく聞かせてもらえないでしょうか」
「む……」
「アメリアは、今回の件で多大な迷惑を被りました。あなたがどうして聖女ファルティアの横暴を許していたのか、それらの事情を詳しく聞く権利があると思います」
「ああ、もちろん、その事情も説明するとしよう」
そこでクラウス様は、少し語気を強めながら言葉を発した。
彼はどこまでも真っ直ぐな人だ。例え相手が国王様であっても、誠意ある対応を望んでいるのだろう。
そんな彼の存在は、私にとってとても心強い。彼について来てもらって、本当によかったと思う。
「全ての始まりは、先の大戦だったといえるだろう。あの大戦によって、我が国は多大な被害を被った。悪魔と呼ばれる軍勢は人々に恐怖をばら撒き、偉大なる先代の聖女をも奪っていった」
「悪魔との大戦……」
国王様は、噛みしめるようにゆっくりと言葉を発していた。
それは彼も、また傷が癒えていないことを表している。
悪魔との大戦、王国を突如襲ったあの悲劇は、様々な人の人生を狂わせたといえるのかもしれない。
しかしながら、私は今王都にいる。いやそれ所か、王城の中の玉座の間にて、国王様を前にしている。
国王様と顔を合わせたことが、ないという訳ではない。だが、この国を統べる者と会うことに慣れる訳もなく、私はかなり緊張している。
「元聖女親衛隊アメリアよ、よく来てくれた」
「い、いえ……その、どうして私を?」
私の隣には、クラウス様もいる。彼がここまで、私を連れて来てくれたのだ。
彼がそうしてくれたのには、理由がある。今回の呼び出しの理由が、明かされていないからだ。
「ふむ、それには理由がある。ファルティアのことだ」
「ファルティア様の……」
国王様は、ファルティア様を止めるために動いていると聞いている。しかし、彼が今まで彼女を放っていたのも事実だ。
そのため彼が、ファルティア様の味方なのか敵なのかははっきりとわかってはいない。それによって、この呼び出しの意味はかなり変わってくるだろう。
「あれがお主に対してした仕打ち、まずはそれを謝罪しよう。娘が不当にお主を解雇して、本当にすまなかった」
「国王様……」
国王様は、私に対して謝罪の言葉をかけてきた。
その言葉に、私は少し安心する。どうやら国王様はナーゼルさんが言っていた通り、ファルティアの味方という訳ではなかったらしい。
「……国王様、その辺りの事情について詳しく聞かせてもらえないでしょうか」
「む……」
「アメリアは、今回の件で多大な迷惑を被りました。あなたがどうして聖女ファルティアの横暴を許していたのか、それらの事情を詳しく聞く権利があると思います」
「ああ、もちろん、その事情も説明するとしよう」
そこでクラウス様は、少し語気を強めながら言葉を発した。
彼はどこまでも真っ直ぐな人だ。例え相手が国王様であっても、誠意ある対応を望んでいるのだろう。
そんな彼の存在は、私にとってとても心強い。彼について来てもらって、本当によかったと思う。
「全ての始まりは、先の大戦だったといえるだろう。あの大戦によって、我が国は多大な被害を被った。悪魔と呼ばれる軍勢は人々に恐怖をばら撒き、偉大なる先代の聖女をも奪っていった」
「悪魔との大戦……」
国王様は、噛みしめるようにゆっくりと言葉を発していた。
それは彼も、また傷が癒えていないことを表している。
悪魔との大戦、王国を突如襲ったあの悲劇は、様々な人の人生を狂わせたといえるのかもしれない。
12
お気に入りに追加
836
あなたにおすすめの小説
王太子から愛することはないと言われた侯爵令嬢は、そんなことないわと強気で答える
綾森れん
恋愛
「オリヴィア、君を愛することはない」
結婚初夜、聖女の力を持つオリヴィア・デュレー侯爵令嬢は、カミーユ王太子からそう告げられた。
だがオリヴィアは、
「そんなことないわ」
と強気で答え、カミーユが愛さないと言った原因を調べることにした。
その結果、オリヴィアは思いもかけない事実と、カミーユの深い愛を知るのだった。
運命の番?棄てたのは貴方です
ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。
番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。
※自己設定満載ですので気を付けてください。
※性描写はないですが、一線を越える個所もあります
※多少の残酷表現あります。
以上2点からセルフレイティング
悪役令嬢と呼ばれて追放されましたが、先祖返りの精霊種だったので、神殿で崇められる立場になりました。母国は加護を失いましたが仕方ないですね。
蒼衣翼
恋愛
古くから続く名家の娘、アレリは、古い盟約に従って、王太子の妻となるさだめだった。
しかし、古臭い伝統に反発した王太子によって、ありもしない罪をでっち上げられた挙げ句、国外追放となってしまう。
自分の意思とは関係ないところで、運命を翻弄されたアレリは、憧れだった精霊信仰がさかんな国を目指すことに。
そこで、自然のエネルギーそのものである精霊と語り合うことの出来るアレリは、神殿で聖女と崇められ、優しい青年と巡り合った。
一方、古い盟約を破った故国は、精霊の加護を失い、衰退していくのだった。
※カクヨムさまにも掲載しています。
いなくなった幼馴染の身代わり婚約者となった私。でも今になってその幼馴染が見つかったそうです
新野乃花(大舟)
恋愛
シュノード第一王子が心から慕っていた婚約者エリスは、ある日突然その姿を消してしまう。打ちひしがれるシュノードであったものの、その時彼の目に一人の貴族令嬢の姿が映る。名をセレーナと言う彼女のその姿は、いなくなったエリスと完全に瓜二つであり、シュノードはエリスの身代わり婚約者として、セレーナにエリスを演じさせることを命令する。セレーナとしての自分を押し殺し、シュノードが理想とするエリスになるべく懸命に頑張るセレーナは、日に日に自分を失っていく。しかしそんなある日の事、それまで姿を消していたエリスが突然にシュノードのもとに帰ってくる。その時、シュノードは信じられない決断を下すのだった…。
結婚式前日に婚約破棄された公爵令嬢は、聖女であることを隠し幸せ探しの旅に出る
青の雀
恋愛
婚約破棄から聖女にUPしようとしたところ、長くなってしまいましたので独立したコンテンツにします。
卒業記念パーティで、その日もいつもと同じように婚約者の王太子殿下から、エスコートしていただいたのに、突然、婚約破棄されてしまうスカーレット。
実は、王太子は愛の言葉を囁けないヘタレであったのだ。
婚約破棄すれば、スカーレットが泣いて縋るとおもっての芝居だったのだが、スカーレットは悲しみのあまり家出して、自殺しようとします。
寂れた隣国の教会で、「神様は乗り越えられる試練しかお与えにならない。」司祭様の言葉を信じ、水晶玉判定をすると、聖女であることがわかり隣国の王太子殿下との縁談が持ち上がるが、この王太子、大変なブサメンで、転移魔法を使って公爵家に戻ってしまう。
その後も聖女であるからと言って、伝染病患者が押しかけてきたり、世界各地の王族から縁談が舞い込む。
聖女であることを隠し、司祭様とともに旅に出る。という話にする予定です。
七光りのわがまま聖女を支えるのは疲れました。私はやめさせていただきます。
木山楽斗
恋愛
幼少期から魔法使いとしての才覚を見せていたラムーナは、王国における魔法使い最高峰の役職である聖女に就任するはずだった。
しかし、王国が聖女に選んだのは第一王女であるロメリアであった。彼女は父親である国王から溺愛されており、親の七光りで聖女に就任したのである。
ラムーナは、そんなロメリアを支える聖女補佐を任せられた。それは実質的に聖女としての役割を彼女が担うということだった。ロメリアには魔法使いの才能などまったくなかったのである。
色々と腑に落ちないラムーナだったが、それでも好待遇ではあったためその話を受け入れた。補佐として聖女を支えていこう。彼女はそのように考えていたのだ。
だが、彼女はその考えをすぐに改めることになった。なぜなら、聖女となったアナリアはとてもわがままな女性だったからである。
彼女は、才覚がまったくないにも関わらず上から目線でラムーナに命令してきた。ラムーナに支えられなければ何もできないはずなのに、ロメリアはとても偉そうだったのだ。
そんな彼女の態度に辟易としたラムーナは、聖女補佐の役目を下りることにした。王国側は特に彼女を止めることもなかった。ラムーナの代わりはいくらでもいると考えていたからである。
しかし彼女が去ったことによって、王国は未曽有の危機に晒されることになった。聖女補佐としてのラムーナは、とても有能な人間だったのだ。
馬鹿王子にはもう我慢できません! 婚約破棄される前にこちらから婚約破棄を突きつけます
白桃
恋愛
子爵令嬢のメアリーの元に届けられた婚約者の第三王子ポールからの手紙。
そこには毎回毎回勝手に遊び回って自分一人が楽しんでいる報告と、メアリーを馬鹿にするような言葉が書きつられていた。
最初こそ我慢していた聖女のように優しいと誰もが口にする令嬢メアリーだったが、その堪忍袋の緒が遂に切れ、彼女は叫ぶのだった。
『あの馬鹿王子にこちらから婚約破棄を突きつけてさしあげますわ!!!』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる