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13.突然の訪問
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「……驚きました。突然、ナーゼルさんが訪ねて来るなんて」
「驚かせてしまったなら、申し訳ありません。ただ具体的な住所もわかりませんでしたから、手紙も出せず……というか、そのような暇もありませんでしたからね」
孤児院を訪ねて来たナーゼルさんの目的は、当然のことながら私だった。
彼と関わりがあるのは、私だけだ。故に、それはわかっていたことである。
問題となるのは、何故彼がやって来たのかということだ。それについても、ある程度予想はしているが、それはできれば外れていて欲しい予想である。
「ナーゼルさんは、どうしてこちらに?」
「端的に言ってしまえば、聖女の親衛隊をクビになったからですね」
「……やはり、そういうことでしたか」
私の嫌な予感は、当たっていた。ファルティア様は、私だけではなくナーゼルさんまでクビにしたのである。
いや、もしかしたら彼女はそれ以上に横暴を働いているかもしれない。私とナーゼルさんで被害が済んでいるなんて、考えるべきではないだろう。
「あなたをクビにしてから、ファルティア様は以前よりも増長しています。自らの権力によって、人を簡単に排除できると知って、たがが外れたのでしょう」
「私がきっかけで……」
「それについて、あなたには責任は何もありませんよ。とにかく、ファルティア様は何か気に入らないことがあると、人をすぐに追い出すようになりました。僕のことは、元々気に入っていなかったようですからね。クビになるのは時間の問題でしたよ」
飄々としているナーゼルさんのことを、ファルティア様は苦手にしていたような気がする。
そのため彼は、特にきっかけもなくクビになったのだろう。それはなんとなく、想像することができる。
そう考えると、私も同じだったのかもしれない。そのようなことは感じたことはなかったが、ファルティア様は私のことが苦手だったのだろう。
「というか、ナーゼルさんは大丈夫なんですか? 確か、お母様が……」
「ああ、それについては問題なくなりました。先日、旅立ちましたから」
「それは……お、お悔やみ申し上げます」
「いえいえ」
ナーゼル様にも、聖女の親衛隊をクビになりたくない理由があった。
その理由は決して明るい理由ではなく、なくなってしまったようである。
それはとても、悲しいことだ。なんと言ったらいいのかがわからない。
しかし、今のナーゼルさんは晴れやかな顔をしている。やはり少なからず、ファルティア様から解放されたいと思っていたのだろうか。
「驚かせてしまったなら、申し訳ありません。ただ具体的な住所もわかりませんでしたから、手紙も出せず……というか、そのような暇もありませんでしたからね」
孤児院を訪ねて来たナーゼルさんの目的は、当然のことながら私だった。
彼と関わりがあるのは、私だけだ。故に、それはわかっていたことである。
問題となるのは、何故彼がやって来たのかということだ。それについても、ある程度予想はしているが、それはできれば外れていて欲しい予想である。
「ナーゼルさんは、どうしてこちらに?」
「端的に言ってしまえば、聖女の親衛隊をクビになったからですね」
「……やはり、そういうことでしたか」
私の嫌な予感は、当たっていた。ファルティア様は、私だけではなくナーゼルさんまでクビにしたのである。
いや、もしかしたら彼女はそれ以上に横暴を働いているかもしれない。私とナーゼルさんで被害が済んでいるなんて、考えるべきではないだろう。
「あなたをクビにしてから、ファルティア様は以前よりも増長しています。自らの権力によって、人を簡単に排除できると知って、たがが外れたのでしょう」
「私がきっかけで……」
「それについて、あなたには責任は何もありませんよ。とにかく、ファルティア様は何か気に入らないことがあると、人をすぐに追い出すようになりました。僕のことは、元々気に入っていなかったようですからね。クビになるのは時間の問題でしたよ」
飄々としているナーゼルさんのことを、ファルティア様は苦手にしていたような気がする。
そのため彼は、特にきっかけもなくクビになったのだろう。それはなんとなく、想像することができる。
そう考えると、私も同じだったのかもしれない。そのようなことは感じたことはなかったが、ファルティア様は私のことが苦手だったのだろう。
「というか、ナーゼルさんは大丈夫なんですか? 確か、お母様が……」
「ああ、それについては問題なくなりました。先日、旅立ちましたから」
「それは……お、お悔やみ申し上げます」
「いえいえ」
ナーゼル様にも、聖女の親衛隊をクビになりたくない理由があった。
その理由は決して明るい理由ではなく、なくなってしまったようである。
それはとても、悲しいことだ。なんと言ったらいいのかがわからない。
しかし、今のナーゼルさんは晴れやかな顔をしている。やはり少なからず、ファルティア様から解放されたいと思っていたのだろうか。
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