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5.王子の訪問
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有事の際にも動けるように、親衛隊は基本的に王城で暮らしている。
王城というだけあって、私が暮らしている部屋もとても豪華だ。ただ、別にここでの暮らしに未練はない。王城での暮らしは、まったく心が安らぐものではなかったからだ。
「まあ、いくら豪華でも仕事場だもんね。心が落ち着くなんて、あるはずがない訳だし……」
クビを言い渡されたため、私は荷物をまとめていた。
これからどうするかは、考え中である。とりあえず故郷に帰ろうと思っているが、それからどうするかはまだ決めていない。
「……失礼します」
「え?」
「ブライトです」
私が色々と考えていると、部屋に訪ねて来る人がいた。
その人物の名前を聞いて、私は少し驚く。第二王子のブライト様だったからだ。
「今、よろしいでしょうか?」
「ええ、どうぞ入ってください。散らかっていますけれど……」
「それでは、失礼します」
私が許可を出すと、部屋に一人の男性が入ってきた。
その人物は、紛れもなくこの国の第二王子であるブライト様だ。
「ブライト様、どうされたのですか? こんな所に訪ねて来るなんて……」
「……あなたのクビに関する話を聞きました。ファルティアがまた身勝手なことをしたのですね?」
「……ええ、そういうことになりますね」
ブライト様の言葉に、私はゆっくりと頷いた。
彼と妹のファルティアの仲は悪い。真っ直ぐな性格をしている第二王子は、わがままな妹に手を焼いているのだ。
故に彼は、ここに来たのだろう。妹の失態の謝罪に来た。彼ならば、そうしてもおかしくないと思える。
「申し訳ありません。不出来な妹が……」
「……ブライト様の責任という訳ではありませんよ」
「いいえ、僕にも責任の一端はあります。ファルティアの好きにさせてしまっている訳ですからね」
ブライト様は、苦い顔をしていた。
第一王女でかつ聖女であるファルティア様の権力は、かなり大きなものだ。それは時に、第一王子や第二位王子をも凌駕する。
特に今回の件などは、聖女に関する人事だ。恐らく、ブライト様ではどうにもできないことなのだろう。
「……私の件に関しては、まだ良いですが、このままでいいかというと、そうではないでしょうね。ファルティア様を自由にさせていると、いつしかこの国は破綻しかねません」
「仰る通りですね。僕も兄上も、このままではいけないと思っています」
ファルティア様の気分次第で人事を動かせるというのは、健全な状態であるとは言い難い。それはこの国に暮らす国民の一人として、改善してもらいたいものだ。
それは、ブライト様やその兄であるフォーマン様に頑張ってもらうしかない。彼らがファルティア様を打ち倒してくれるといいのだが。
王城というだけあって、私が暮らしている部屋もとても豪華だ。ただ、別にここでの暮らしに未練はない。王城での暮らしは、まったく心が安らぐものではなかったからだ。
「まあ、いくら豪華でも仕事場だもんね。心が落ち着くなんて、あるはずがない訳だし……」
クビを言い渡されたため、私は荷物をまとめていた。
これからどうするかは、考え中である。とりあえず故郷に帰ろうと思っているが、それからどうするかはまだ決めていない。
「……失礼します」
「え?」
「ブライトです」
私が色々と考えていると、部屋に訪ねて来る人がいた。
その人物の名前を聞いて、私は少し驚く。第二王子のブライト様だったからだ。
「今、よろしいでしょうか?」
「ええ、どうぞ入ってください。散らかっていますけれど……」
「それでは、失礼します」
私が許可を出すと、部屋に一人の男性が入ってきた。
その人物は、紛れもなくこの国の第二王子であるブライト様だ。
「ブライト様、どうされたのですか? こんな所に訪ねて来るなんて……」
「……あなたのクビに関する話を聞きました。ファルティアがまた身勝手なことをしたのですね?」
「……ええ、そういうことになりますね」
ブライト様の言葉に、私はゆっくりと頷いた。
彼と妹のファルティアの仲は悪い。真っ直ぐな性格をしている第二王子は、わがままな妹に手を焼いているのだ。
故に彼は、ここに来たのだろう。妹の失態の謝罪に来た。彼ならば、そうしてもおかしくないと思える。
「申し訳ありません。不出来な妹が……」
「……ブライト様の責任という訳ではありませんよ」
「いいえ、僕にも責任の一端はあります。ファルティアの好きにさせてしまっている訳ですからね」
ブライト様は、苦い顔をしていた。
第一王女でかつ聖女であるファルティア様の権力は、かなり大きなものだ。それは時に、第一王子や第二位王子をも凌駕する。
特に今回の件などは、聖女に関する人事だ。恐らく、ブライト様ではどうにもできないことなのだろう。
「……私の件に関しては、まだ良いですが、このままでいいかというと、そうではないでしょうね。ファルティア様を自由にさせていると、いつしかこの国は破綻しかねません」
「仰る通りですね。僕も兄上も、このままではいけないと思っています」
ファルティア様の気分次第で人事を動かせるというのは、健全な状態であるとは言い難い。それはこの国に暮らす国民の一人として、改善してもらいたいものだ。
それは、ブライト様やその兄であるフォーマン様に頑張ってもらうしかない。彼らがファルティア様を打ち倒してくれるといいのだが。
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