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39.溜まった疲れ

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 私とソルーガは、今日も同じ宿屋の部屋で過ごしていた。
 正直、今日も色々とあったため疲れている。アルトアと再会して、ステイリオ男爵の屋敷に行って、思い返してみれば色々と大変な一日だった。
 こんなにも色々な所に行ったのは、初めてかもしれない。魔導列車というのは、便利なものではあるが、こんな風に使うものではないと思うのだが。

「流石に疲れているよな……」
「ええ、それはもちろん。そういうソルーガは、あまり疲れていないみたいね」
「別に疲れていない訳じゃないぜ。まあ、慣れているから、姉貴よりはましだろうが……」

 ソルーガは、ディルギン氏に振り回されている。
 その結果、耐性ができているようだ。
 しかし、こういう旅の疲れというのは簡単に慣れることができるようなものではないと思うのだが。

「あなたとディルギン氏だけで、この王国の国民全員の魔導列車の利用を上回っているのではないかしら?」
「いや、流石にそれはないと思うが……」
「でも、結構使っているのでしょう? あれ? そういえば、ディルギン氏のあの財力はどこから出るのかしら?」
「うん?」

 ソルーガと話しながら、私はとある疑問を覚えた。
 ディルギン氏は、魔導列車に何度も乗っているはずだ。
 ただ、魔導列車の運賃は結構する。それをディルギン氏は、どうやって賄っているのだろうか。

「まあ、あいつは貴族からの依頼も結構受けているからな……それなりに稼いでいるんだよ」
「でも、あんなにもあちこち回ってもいいのかしら? 赤字になったりしないの?」
「前にも言ったが、あいつの探偵業は道楽なんだ。他に資金源があるのさ」
「そうなのね……」

 ディルギン氏の経歴というものは、謎である。
 彼は、一体何者なのだろうか。今度、本人に聞いてみてもいいかもしれない。
 いや、彼のことだ。私が聞いても、決して答えてはくれないだろう。かといって、そういうことは他人から聞けるものではない。ディルギン氏の過去を知ることは、多分難しいことなのだろう。

「まあ、あいつのことは置いておいて、そろそろ休まないか? 多分、明日も大変なことになると思うぜ」
「そうよね……ディルギン氏は、何を考えているのかしら?」
「姉貴にアドバイスをしておく。そういったことは、考えても無駄だ」
「そうなのよね……それは、なんとなくわかっているわ」

 私とソルーガは、眠ることにした。
 明日も、色々とあるのだろう。願わくは、事件が無事に解決してもらいたいものである。
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