37 / 50
37.観光の結果
しおりを挟む
私とソルーガは、宿屋に戻って来ていた。
そして、二人で観光をしていたウォルリッドとオルメアとも合流した。せっかくなので、四人で食事を取ることにしたのだ。
「ほ、本当にいいのですか? 僕達が、一緒に食事なんて……」
「もちろん。今日は、使用人としてではなく、友人として楽しんでちょうだい」
「わ、わかりました……」
ウォルリッドとオルメアは、緊張しているようだった。
それは当たり前のことである。仕える対象である私達と一緒に食事をするなんて、平静ではいられないだろう。
しかし、それも最初の内だけであるはずだ。その内慣れてくれば、二人の緊張も解けるだろう。
「それで、二人は何をしていたの?」
「あ、はい。セリネア様に言われた通り、二人で町を観光していました」
私の質問に、ウォルリッドがそう答えてくれた。
なんというか、私の指示に従っただけであるように聞こえてしまい、少し申し訳なくなってくる。
とはいえ、二人にはディルギン氏の調査に付き合わせたくなかったし、偶には休んで欲しかったし、その指示は間違ってなかったはずだ。
「えっと……どんな所を回ったのか、聞かせてもらっていいかしら?」
「近くの町にある遺跡に行ってきました」
「遺跡?」
とりあえず内容を聞いてみると、オルメアが笑顔でそう答えてくれた。
それを見て、私は少し安心する。二人が観光を楽しめていたことが、わかっていからだ。
「遺跡といっても、観光地ですよ。周りは整備されていて、安全な所です」
「ああ、確かこの辺りにはそのような所があったわね」
「そうなんです」
ウォルリッドと比べて、オルメアのテンションが少し高いような気がした。
恐らく、その遺跡に行ったのは彼女の発案だったのだろう。
「オルメアは、そういったものに興味があるの?」
「はい。そうなんです。前に本で読んで、少しはまってしまって……」
「そうなのね……」
オルメアにそんな趣味があるということは、私も知らなかった。
いつもは大人しい彼女が、こんなにも楽しそうにしているのだから、本当に好きなのだろう。
なんだか、私は温かい気持ちになってきた。オルメアの様子が、微笑ましいのだ。
「遺跡か……そういえば、ディルギンとそんな所に行ったこともあったな」
「え? そうなのですか?」
「あ、ああ……」
ソルーガが誰に語りかける訳でもなく呟いた言葉に、オルメアはかなりの勢いで食いついた。
その勢いに、ソルーガは気圧されている。本当に、いつもの彼女ではないようだ。
そして、二人で観光をしていたウォルリッドとオルメアとも合流した。せっかくなので、四人で食事を取ることにしたのだ。
「ほ、本当にいいのですか? 僕達が、一緒に食事なんて……」
「もちろん。今日は、使用人としてではなく、友人として楽しんでちょうだい」
「わ、わかりました……」
ウォルリッドとオルメアは、緊張しているようだった。
それは当たり前のことである。仕える対象である私達と一緒に食事をするなんて、平静ではいられないだろう。
しかし、それも最初の内だけであるはずだ。その内慣れてくれば、二人の緊張も解けるだろう。
「それで、二人は何をしていたの?」
「あ、はい。セリネア様に言われた通り、二人で町を観光していました」
私の質問に、ウォルリッドがそう答えてくれた。
なんというか、私の指示に従っただけであるように聞こえてしまい、少し申し訳なくなってくる。
とはいえ、二人にはディルギン氏の調査に付き合わせたくなかったし、偶には休んで欲しかったし、その指示は間違ってなかったはずだ。
「えっと……どんな所を回ったのか、聞かせてもらっていいかしら?」
「近くの町にある遺跡に行ってきました」
「遺跡?」
とりあえず内容を聞いてみると、オルメアが笑顔でそう答えてくれた。
それを見て、私は少し安心する。二人が観光を楽しめていたことが、わかっていからだ。
「遺跡といっても、観光地ですよ。周りは整備されていて、安全な所です」
「ああ、確かこの辺りにはそのような所があったわね」
「そうなんです」
ウォルリッドと比べて、オルメアのテンションが少し高いような気がした。
恐らく、その遺跡に行ったのは彼女の発案だったのだろう。
「オルメアは、そういったものに興味があるの?」
「はい。そうなんです。前に本で読んで、少しはまってしまって……」
「そうなのね……」
オルメアにそんな趣味があるということは、私も知らなかった。
いつもは大人しい彼女が、こんなにも楽しそうにしているのだから、本当に好きなのだろう。
なんだか、私は温かい気持ちになってきた。オルメアの様子が、微笑ましいのだ。
「遺跡か……そういえば、ディルギンとそんな所に行ったこともあったな」
「え? そうなのですか?」
「あ、ああ……」
ソルーガが誰に語りかける訳でもなく呟いた言葉に、オルメアはかなりの勢いで食いついた。
その勢いに、ソルーガは気圧されている。本当に、いつもの彼女ではないようだ。
19
お気に入りに追加
1,743
あなたにおすすめの小説

第一王子様は、妹だけいれば婚約者の事なんてどうでもいいそうです
新野乃花(大舟)
恋愛
エディン第一王子はエミリアとの婚約関係を有していながら、何をするにも自身の妹であるユリアの事ばかりを優先していた。ある日の事、ユリアによってそそのかされたエディンはユリアの頼みを聞くがままにエミリアの事を婚約破棄、追放してしまう。しかし実はユリアはエディンの事は何とも思っておらず、王宮騎士であるノドレーの事が好きで、彼に近づくために婚約破棄を演出したに過ぎなかった。しかし当のノドレーが好きなのはユリアではなくエミリアの方であり…。

私がいなくなって幸せですか?
新野乃花(大舟)
恋愛
カサル男爵はエレーナと婚約関係を持っていながら、自身の妹であるセレスの事を優先的に溺愛していた。そんなある日、カサルはあるきっかけから、エレーナに自分の元を出ていってほしいという言葉をつぶやく。それが巡り巡ってエレーナ本人の耳に入ることとなり、エレーナはそのまま家出してしまう。最初こそ喜んでいたカサルだったものの、彼女がいなくなったことによる代償を後々知って大きく後悔することとなり…。

第一王子様は妹の事しか見えていないようなので、婚約破棄でも構いませんよ?
新野乃花(大舟)
恋愛
ルメル第一王子は貴族令嬢のサテラとの婚約を果たしていたが、彼は自身の妹であるシンシアの事を盲目的に溺愛していた。それゆえに、シンシアがサテラからいじめられたという話をでっちあげてはルメルに泣きつき、ルメルはサテラの事を叱責するという日々が続いていた。そんなある日、ついにルメルはサテラの事を婚約破棄の上で追放することを決意する。それが自分の王国を崩壊させる第一歩になるとも知らず…。

私が出て行った後、旦那様から後悔の手紙がもたらされました
新野乃花(大舟)
恋愛
ルナとルーク伯爵は婚約関係にあったが、その関係は伯爵の妹であるリリアによって壊される。伯爵はルナの事よりもリリアの事ばかりを優先するためだ。そんな日々が繰り返される中で、ルナは伯爵の元から姿を消す。最初こそ何とも思っていなかった伯爵であったが、その後あるきっかけをもとに、ルナの元に後悔の手紙を送ることとなるのだった…。

いらない婚約者と言われたので、そのまま家出してあげます
新野乃花(大舟)
恋愛
カレンの事を婚約者として迎え入れていた、第一王子ノルド。しかし彼は隣国の王族令嬢であるセレーナに目移りしてしまい、その結果カレンの事を婚約破棄してしまう。これでセレーナとの関係を築けると息巻いていたノルドだったものの、セレーナの兄であるデスペラード王はかねてからカレンの事を気に入っており、婚約破棄をきっかけにしてその感情を怒りで満たしてしまう。その結果、ノルドの周りの空気は一変していくこととなり…。

選ばれるのは自分だと確信している妹。しかし第一王子様が選んだ相手は…
新野乃花(大舟)
恋愛
姉妹であるエミリアとリリナ、しかしその仲は決していいと言えるものではなかった。妹のリリナはずる賢く、姉のエミリアの事を悪者に仕立て上げて自分を可愛く見せる事に必死になっており、二人の両親もまたそんなリリナに味方をし、エミリアの事を冷遇していた。そんなある日の事、二人のもとにルノー第一王子からの招待状が届けられる。これは自分に対する好意に違いないと確信したリリナは有頂天になり、それまで以上にエミリアの事を攻撃し始める。…しかし、ルノー第一王子がその心に決めていたのはリリナではなく、エミリアなのだった…!

幼馴染が好きなら幼馴染だけ愛せば?
新野乃花(大舟)
恋愛
フーレン伯爵はエレナとの婚約関係を結んでいながら、仕事だと言って屋敷をあけ、その度に自身の幼馴染であるレベッカとの関係を深めていた。その関係は次第に熱いものとなっていき、ついにフーレン伯爵はエレナに婚約破棄を告げてしまう。しかしその言葉こそ、伯爵が奈落の底に転落していく最初の第一歩となるのであった。

本当に私がいなくなって今どんなお気持ちですか、元旦那様?
新野乃花(大舟)
恋愛
「お前を捨てたところで、お前よりも上の女性と僕はいつでも婚約できる」そう豪語するノークはその自信のままにアルシアとの婚約関係を破棄し、彼女に対する当てつけのように位の高い貴族令嬢との婚約を狙いにかかる。…しかし、その行動はかえってノークの存在価値を大きく落とし、アリシアから鼻で笑われる結末に向かっていくこととなるのだった…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる