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15.乗り込んだ先では

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 私は、ラウグス様の部屋の前まで来ていた。
 ここには、彼と浮気相手のアルトアがいる。そこに私は今から、乗り込むのだ。

「ふう……」

 流石に私も緊張したので、一度深呼吸をして息を整える。
 別に私は悪いことをしているという訳ではない。非があるのはラウグス様の方だ。そう自分に言い聞かせて、私は戸を叩く。

「ラウグス様、失礼します」
「……何?」

 私の声に驚いたのか、中のラウグス様は素っ頓狂な声をあげた。
 彼からの応答を待つ気は最初からなかったので、私はドアノブに手をかける。
 鍵はかかっていなかったらしく、戸はすんなりと開いてくれた。どうやら、こういう所まで彼らは迂闊だったようだ。

「さて……まあ、わかっていたことではありますが」
「くっ……」

 ラウグス様とアルトアは、ベッドの上で驚くような表情を浮かべていた。
 部屋の中で二人がどのような状況なのかは、事前にわかっていたことである。そのため、私に特に驚きはない。

 ただ、少し気になることがあった。
 明らかに動揺しているラウグス様に比べて、アルトアは結構落ち着いているのだ。

 しかし、それは私にとっては些細なことである。
 今回の件において、私が戦うのはラウグス様だ。アルトアのことよりも、彼との話に意識を集中させるべきだろう。

「ラウグス様、これがどういうことか、説明していただけますか?」
「ち、違う……これは」
「まあ、あなたがアルトア嬢と関係を持っていることは、既に知っていたことですから、説明したくないというなら、それでも構いませんが」
「……何?」

 私の言葉に、ラウグス様は目を丸くしている。やはり、私が浮気に気づいていることを、彼はまったく知らなかったようだ。
 わかっていたことではあるのだが、いざこういう反応をされると少し呆れてしまう。これでばれないと思っていたなんて、なんと愚かなことだろうか。

「それは、どういうことだ?」
「言った通りです。あなたの浮気にはある時から気づいていました。そして、私はその証拠を集めていたのです」
「証拠だと?」
「どうしてそんなことをするか。それは、わかっていますよね? あなたには、きちんと対価を払ってもらいます」
「なっ、それは……」

 ラウグス様は、まだ動揺しているようだった。
 私の言葉に、思考が追いついていないように見える。

「当然のことながら、あなたが浮気をしていたことは公表されることになるでしょうね。まあ、その後どうなるかは、私も正確には言えませんが……」
「……くっ」
 
 ラウグス様は、短く唸った。
 彼は今後、苦労することになるだろう。今までの罪が、彼の未来を曇らせるはずだ。
 それは、報いである。身勝手な浮気の罰を、彼は受けなければならないのだ。
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