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44.これからも平和を
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再び和平を結んでから、アルフェンド王国とドナテロ王国は平和になっていた。
ここ数年、特に大きな問題は起こっていない。このまま平和がずっと続いてくれるといいのだが。
「その平和を守っていくことが、僕達の使命なのでしょうね」
「そうですね。私達はそういう責任ある立場ですから」
私は、公爵となったウルギア様と結婚して公爵夫人になった。
私の存在は、一応二国間の和平の象徴になっている。アルフェンド王国の王の姉がドナテロ王国の王弟の妻。そこには大きな意味があるようだ。
もっとも、私はそれをそこまで気にしているという訳でもない。ただウルギア様と一緒に、平和に暮らしているだけである。
「まあ、何もないならないでそれが一番ですからね。今日もいい天気だ。日向ぼっこでもしたいくらいですが」
「そうですねぇ……」
「……あんたら、何を馬鹿みたいなことを言っているんだい」
「おや……」
「お祖母様……」
そんな平和を謳歌していた私達の元に、お祖母様が少し不機嫌そうな顔をしながらやって来た。
私がお願いしたこともあって、お祖母様もガムテット山に戻らずにこちらで一緒に暮らしてもらっている。アルフェンド王国にいた時から変わらず、私の心強い一番の味方だ。
「王城に出掛けるんだろう。こんな所でのんびりしている場合じゃないはずだ」
「それはそうなんですけど、今日はなんだかいい天気だったので……」
「クレメリア、あんたは最近ウルギアに似てきたね……」
「え? そうでしょうか?」
お祖母様は、苦笑いを浮かべていた。
言われてみれば、確かに最近ウルギア様と思考が一致することが多い。ともに暮らす中で、私は彼に似てきたのだろうか。それはなんというか、嬉しいような気もする。
「まあ、平和を謳歌するのはいいけど、魔法の鍛錬は欠かしていないだろうね?」
「それはもちろんです。努力は欠かしていませんよ」
「ふん、その言葉は嘘ではないようだね……また魔力を磨いたかい?」
「ええ、お祖母様を越えなければなりませんからね」
「はっ! アタシなんて、もう越えているさ。あんたがどこまでいくのか、楽しみだね」
お祖母様の言葉に、私は笑みを浮かべた。
そうやって楽しみにしてもらえると、こちらとしてもありがたい。お祖母様に成長した姿を見せる。それは、小さな頃から私が魔法を学ぶ上でのモチベーションの一つだ。
「さて、クレメリアさん、そろそろ行きましょうか?」
「ええ、ウルギア様」
そこでウルギア様は、私に手を伸ばしてきた。私はその手をゆっくりと取る。
これからも私は、この平和を守っていく。ウルギア様とともに、新たな未来を作り上げていくのだ。
ここ数年、特に大きな問題は起こっていない。このまま平和がずっと続いてくれるといいのだが。
「その平和を守っていくことが、僕達の使命なのでしょうね」
「そうですね。私達はそういう責任ある立場ですから」
私は、公爵となったウルギア様と結婚して公爵夫人になった。
私の存在は、一応二国間の和平の象徴になっている。アルフェンド王国の王の姉がドナテロ王国の王弟の妻。そこには大きな意味があるようだ。
もっとも、私はそれをそこまで気にしているという訳でもない。ただウルギア様と一緒に、平和に暮らしているだけである。
「まあ、何もないならないでそれが一番ですからね。今日もいい天気だ。日向ぼっこでもしたいくらいですが」
「そうですねぇ……」
「……あんたら、何を馬鹿みたいなことを言っているんだい」
「おや……」
「お祖母様……」
そんな平和を謳歌していた私達の元に、お祖母様が少し不機嫌そうな顔をしながらやって来た。
私がお願いしたこともあって、お祖母様もガムテット山に戻らずにこちらで一緒に暮らしてもらっている。アルフェンド王国にいた時から変わらず、私の心強い一番の味方だ。
「王城に出掛けるんだろう。こんな所でのんびりしている場合じゃないはずだ」
「それはそうなんですけど、今日はなんだかいい天気だったので……」
「クレメリア、あんたは最近ウルギアに似てきたね……」
「え? そうでしょうか?」
お祖母様は、苦笑いを浮かべていた。
言われてみれば、確かに最近ウルギア様と思考が一致することが多い。ともに暮らす中で、私は彼に似てきたのだろうか。それはなんというか、嬉しいような気もする。
「まあ、平和を謳歌するのはいいけど、魔法の鍛錬は欠かしていないだろうね?」
「それはもちろんです。努力は欠かしていませんよ」
「ふん、その言葉は嘘ではないようだね……また魔力を磨いたかい?」
「ええ、お祖母様を越えなければなりませんからね」
「はっ! アタシなんて、もう越えているさ。あんたがどこまでいくのか、楽しみだね」
お祖母様の言葉に、私は笑みを浮かべた。
そうやって楽しみにしてもらえると、こちらとしてもありがたい。お祖母様に成長した姿を見せる。それは、小さな頃から私が魔法を学ぶ上でのモチベーションの一つだ。
「さて、クレメリアさん、そろそろ行きましょうか?」
「ええ、ウルギア様」
そこでウルギア様は、私に手を伸ばしてきた。私はその手をゆっくりと取る。
これからも私は、この平和を守っていく。ウルギア様とともに、新たな未来を作り上げていくのだ。
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同様の理由で、あの男の血族が王族やってるこの国にも居られなかったのさ。
この話はクレメリアにはナイショだよ」
感想ありがとうございます。
母親に関しては、ご想像にお任せします。
>遠い妹
…てなんですか?
年の離れた妹…では?
エルベルト「まさか離したはずの妹が聖女として戻ってくるとは……」
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