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33.これからの努力で

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「驚きました。まさか妖術にあのような代償があったなんて……」
「ああ、使うべきではない理由がよくわかっただろう?」
「そうですね……」

 ラナルナ嬢の元から去った後、私はお祖母様に妖術についての話を振った。
 妖術の代償は、かなり大きなものだった。あれを聞いて、使おうとは思えない。

「人間が妖術を使うということは、元気の前借りのようなものなのさ。未来を潰してまで使うようなものではないだろうね。強力といっても、たかが知れているし」
「そうなのですか?」
「ああ、ラナルナが得た力は、今のあんたよりも少し強いくらいのものだろうさ。そうだね。あんたの場合なら、後三年か四年くらいすれば、妖術よりも強力な力を得られるだろう。努力さえすれば、魔法使いは妖術使いよりも強くなれる」

 お祖母様は、少し誇らしげにそんなことを言ってきた。
 魔法使いとしてのプライドを、お祖母様からひしひしと感じられる。それが私は、同じ魔法使いとしてとても嬉しかった。

「簡単に得られる力に頼ってはならないということですね……」
「そんな所さ。まあ、あんたに関してそういう心配をしたことはないけどね」

 妖術などという力に頼ってはならない。私はそれを改めて胸に刻みつけた。
 同時に、これから鍛錬を欠かしてはならないと思った。これからも私は、自らを高めていかなければならないのだ。

「さて、次はアズガルトの所に行くとしようかね」
「アズガルト様の元へ? しかし彼は、妖術に関係ないのでは?」
「いや、そういう訳ではないさ。ラナルナが力を失った後、アズガルトも体調を崩したと言っていただろう? あいつも影響を受けているのさ」
「そうなのですか……」
「それに積もる話もある。あいつには色々と言いたいことがあるのさ」

 お祖母様は、少し怒っている様子だった。ラナルナ嬢にもそれなりに怒っていたような気がするが、それ以上だ。
 それは恐らく、亡き先代の王であるエルベルト様が関係しているのだろう。彼の意思を無下にしたアズガルト様が、お祖母様は許せないのかもしれない。

「あんただって、そうじゃないかい? あいつにはひどい仕打ちをされただろう」
「まあ、そうですね……エルベルト様にお世話になっていましたし、彼がやったことには色々と思う所があります」
「ふん、あんたも義理堅いね。あの男もあの世で喜んでいるだろうさ」

 お祖母様は、少し嬉しそうに笑みを浮かべていた。
 やはりお祖母様にとって、エルベルト様は良き友達であったのだろう。その笑顔に、私はそんなことを思うのだった。
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