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19.これからの方針

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 関所を取り戻した私達は、アルフェンド王国側の動きを偵察することにした。
 これからの方針は、敵の動きによって決めるべきものだ。向こうが休戦を申し出てくるならそれでいい。ただ相手がまだ戦うつもりであるならば、こちらも色々と考えなければならない。

「ふむ、向こうの方から十数人程の一団が来ているね」
「十数人、ですか? 少ないですね……」
「向こうも偵察かもしれないね」

 その偵察の指揮を執ったのは、お祖母様だった。
 そういえば最初にアルフェンド王国の動きを察知して、私に教えてくれたのもお祖母様である。もしかしたらそういうことも、得意分野ということなのかもしれない。

「休戦の申し立て、という可能性もあるのではありませんか?」
「確かに関所は取り戻したけれど、それくらいで争いを止めないだろう。アズガルトはかなりの愚か者だからね。そういう奴がこれくらいでは止まらないことを、アタシはよく知っているよ」

 私の希望的観測に対して、お祖母様は忌々しそうにそう呟いた。
 その言葉には、実感がこもっている。過去にも何かあったのだろうか。

「クレメリアさんの言うように和平の申し出である可能性もありますから、こちらから攻撃するのはやめておきましょう。ただ、その可能性が低いということも充分わかっていますから、その一団をいつでも叩けるように監視をする方がいいでしょうね」
「まどろっこしいやり方だね。アタシが吹き飛ばす方が早いんじゃないかい?」
「お祖母様は、少し暴力的過ぎます」
「ご助力いただけるのは大変ありがたいですが、しかし僕はできることなら争いは避けたいと思っています。その選択肢を捨てたくはありません」

 最近わかったことだが、お祖母様はかなり血の気が多い。老人であるというのに、その気質だけは血気盛んな若者のようだ。
 ただウルギア様は温厚な人であるようなので、一先ず安心である。恐らく彼は、余程のことがない限りお祖母様の案に賛成はしないだろう。
 私も、できる限り血が流れるのは避けたいと思っている。故にウルギア様が総合的な指揮官であるのはありがたい限りだ。

「あんたらは甘いね。まあ、そういう世代ということか」
「世代、ですか?」
「ああ、あんたの父親なんてもっとアタシよりの性格だったからね……まあ、平和な方がいいに決まっているから、あんたらの気質がアタシは嫌いではないが」

 私達を見ながら、お祖母様は少し嬉しそうに笑みを浮かべていた。
 和平が結ばれてから生まれた世代、それはお祖母様にとって嬉しい世代であるようだ。
 そんな平和を、アズガルト様は壊そうとしている。それは、許されない暴挙なのだ。
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