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18.破壊のあと

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「遠くから見ていましたが、何が起こったのか凡そ理解できませんでした……」
「近くで見ていても同じですよ。どうやらお祖母様は、思っていた以上に規格外であるようです」

 関所付近までやってきたウルギア様は、辺りの惨状を見てかなり困惑している様子だった。
 それは、当然のことである。これだけのことを起こせる魔法使いなんて、そういない。
 というか、困惑していないのはお祖母様くらいであるだろう。同じことができると言われた私でさえ、正直理解が追いついていない。

「大師匠が偉大なる魔法使いであるというのは知っていましたが、これ程までに強力であるとは思いませんでした。彼女の存在は、戦況を捻じ曲げるレベルです。父上がやけに余裕だった理由がよくわかりましたよ」
「私も、お祖母様が山に籠っていた理由がわかるような気がします。お祖母様程の魔法使いが表に出ていると、色々なことに巻き込まれそうですから」

 お祖母様は、山の奥で隠居生活を送っていた。
 それは表に出て行くと、その優秀さ故のことだったのだろう。
 それ程に、お祖母様は偉大なる魔法使いなのである。そんな彼女に、私は畏敬の念を抱いていた。

「彼女がこちら側についてくれてよかったと本当に思ってしまいます。あなたも含めて、心強い味方を得られました」
「お祖母様と比べると、私はそんなに頼りにはなりませんよ。実力も知識の量も違い過ぎます」
「いいえ、僕も魔法使いの端くれですから、あなたが優秀な魔法使いであるということはよくわかっています。未熟な僕の見立てなのであてになるかはわかりませんが、あなたの力は大師匠に勝るとも劣らない程ではないでしょうか?」
「そんなことはありません。私はまだまだです」

 ウルギア様は、私のことも高く評価してくれているらしい。
 しかしながら、それは流石に過大評価である。私はまだ、お祖母様の足元にも及ばない。

「何はともあれ、これで難関だと思っていた関所は突破できました。できることなら、取り戻したと言いたい所でしたが……」
「ここはもう使い物になりませんね……すみません。お祖母様が勝手なことをしてしまって」
「いえ、犠牲を出さずにここを攻略できたのは何よりも幸いなことです。向こうもこれ程の被害が出たとなれば、慎重になるでしょうしね……」

 ウルギア様は、真剣な顔でそのようなことを呟いた。
 普段は穏和であるが、やはり彼も厳格なる王族である。その顔を見て、私はそれを理解するのだった。
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