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7.思わぬ再会
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私とお祖母様は、宿を取った町の中を歩いていた。
この町は、ナルベルムという町であるらしい。お祖母様曰く、この町自体は昔からあったようである。
「といっても、この町のことはよく知らないね。来たことはあるはずなんだが、記憶はほとんどない。正直、知らない町といっても差し支えないね」
「まあ、ガムテット山を越えたりしなければ、この町には来ませんか。国境を普通に越えれば、言い訳ですからね」
「ああ、そういうことさ」
お祖母様が覚えていないということは、ドナテロ王国に何か変化があったのかはこの町からは読み取れなさそうだ。
町の様子は、アルフェンド王国と変わらない。国の発展具合としては、あちらの国と変わらないと考えられる。
「アルフェンド王国は、四十年でどれくらい発展したんですか?」
「ふむ、まあ色々なことが変わったね。そう考えると、あんたが言う通りドナテロ王国も変わっているのかもしれない。大抵の場合発展していることを考えると、王都に行くのも以前より簡単になっている可能性はあるね」
「それを確かめるためにも、ここまで来た訳ですからね」
そんなことを話している間に、私達は雑貨屋まで辿り着いていた。
ここで地図などを買って、私達は今後の旅路を決めるのだ。
「失礼します」
私とお祖母様は、ゆっくりと雑貨屋の中に入った。
私の言葉に対して、店内からは返答がない。もしかして留守だろうか。いやそれなら、店が開いていることがおかしいことになる。
もしかしたら、店の奥になどにいるのかもしれない。そう思って、私は地図を探す。
「あ、お祖母様、あそこに地図がありますよ」
「ふむ、これで予定が立てられそうだね……うん?」
「お祖母様、どうかしましたか?」
そこでお祖母様は、驚いたような顔をした。
その視線の先には、一人の初老の男性がいる。私は知らないが、お祖母様の知り合いだろうか。
「……おや」
その男性も、お祖母様と同じように驚いたような反応をした。
その後彼は、こちらに近づいて来る。柔和な笑顔を浮かべたその男性は、少し胡散臭いような気もしてしまう。
「ペリーナ様、お久し振りですね。まさかあなたとこんな所で出会うとは……」
「ダルトナス、二十年振りくらいか、あんたも老けたもんだねぇ」
「そういうペリーナ様は、相変わらずのようで」
「はっ! そういう所は変わっていないようだね」
ダルトナスと呼ばれている男性は、お祖母様と親しそうに会話をしていた。
しかし二人は、かなりの間会っていないらしい。私が生まれるよりも前ぶりというと、かなり大昔になるだろう。
そして私は、二人の話に少し違和感のようなものを覚えていた。なんというか、何かが変な気がするのだ。
この町は、ナルベルムという町であるらしい。お祖母様曰く、この町自体は昔からあったようである。
「といっても、この町のことはよく知らないね。来たことはあるはずなんだが、記憶はほとんどない。正直、知らない町といっても差し支えないね」
「まあ、ガムテット山を越えたりしなければ、この町には来ませんか。国境を普通に越えれば、言い訳ですからね」
「ああ、そういうことさ」
お祖母様が覚えていないということは、ドナテロ王国に何か変化があったのかはこの町からは読み取れなさそうだ。
町の様子は、アルフェンド王国と変わらない。国の発展具合としては、あちらの国と変わらないと考えられる。
「アルフェンド王国は、四十年でどれくらい発展したんですか?」
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「それを確かめるためにも、ここまで来た訳ですからね」
そんなことを話している間に、私達は雑貨屋まで辿り着いていた。
ここで地図などを買って、私達は今後の旅路を決めるのだ。
「失礼します」
私とお祖母様は、ゆっくりと雑貨屋の中に入った。
私の言葉に対して、店内からは返答がない。もしかして留守だろうか。いやそれなら、店が開いていることがおかしいことになる。
もしかしたら、店の奥になどにいるのかもしれない。そう思って、私は地図を探す。
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「ふむ、これで予定が立てられそうだね……うん?」
「お祖母様、どうかしましたか?」
そこでお祖母様は、驚いたような顔をした。
その視線の先には、一人の初老の男性がいる。私は知らないが、お祖母様の知り合いだろうか。
「……おや」
その男性も、お祖母様と同じように驚いたような反応をした。
その後彼は、こちらに近づいて来る。柔和な笑顔を浮かべたその男性は、少し胡散臭いような気もしてしまう。
「ペリーナ様、お久し振りですね。まさかあなたとこんな所で出会うとは……」
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「そういうペリーナ様は、相変わらずのようで」
「はっ! そういう所は変わっていないようだね」
ダルトナスと呼ばれている男性は、お祖母様と親しそうに会話をしていた。
しかし二人は、かなりの間会っていないらしい。私が生まれるよりも前ぶりというと、かなり大昔になるだろう。
そして私は、二人の話に少し違和感のようなものを覚えていた。なんというか、何かが変な気がするのだ。
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