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4.不穏な動き
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聖女をクビになってから、私はお祖母様と一緒に山奥の家で暮らしていた。
幸いなことに蓄えはあったし、そもそも以前はここでほぼ自給自足の生活を送っていたため、特に生活に不自由している訳ではない。
ただやりがいがあった聖女の仕事がなくなって、少し虚しいような気もする。しかし、それはきっと時間が解決してくれるだろう。
「まずいことになったね……」
「まずいこと、ですか?」
そんな風に考えていた私は、お祖母様の呟きに少しだけわくわくしていた。
不謹慎ではあるが、何かやるべきことがあるというのは嬉しい。そう思ってしまったのだ。
「クレメリア、あんたをクビにしたアズガルトはどうやら間抜け所の話ではないみたいだ」
「アズガルト様?」
しかし私は、躍っていた心をすぐに鎮めることになった。
国王の名前が出た時点で、それが日常の些細な問題ではないことがわかったからだ。
もしかしたら、これは何か大変なことが起こっているのかもしれない。少なくとも、わくわくなんてしていては駄目だろう。
「お祖母様、何があったのですか?」
「王国の兵士達が、近くの村まで来ているようだ。兵士達は、何か準備をしているらしい」
「準備、ですか?」
お祖母様の言葉に、私は少し考えることになった。
兵士達が、この近くの村で準備する。それは一体、どういう意味を持つのだろうか。
その答えは、すぐに思いついた。ただそれは、できれば外れていて欲しい予想だ。
「まさか、アズガルト様はドナテロ王国に侵攻しようとしているのですか?」
「その可能性はあるだろうね。国境付近の村に、兵士が多く集まる理由なんて、それくらいしか思いつかない」
「もしもそうだとしたら、大問題ではありませんか」
「ああ、由々しき事態だね。まあ、まだ可能性の段階ではあるが」
私達の予測が当たっていた場合、大変なことが起こってしまう。二つの国が争うなんてことは、絶対にあってはならないことだ。
これでは、先代の王様も浮かばれない。彼がどんな想いで隣国と和平を結んだのか、それくらいはアズガルト様も理解していると思っていたのだが。
「幸か不幸か、この山は恐らく戦火には襲われないだろうね。戦場として、ここまで不適切な場所はない。しかしクレメリア、あんたのことだ。この事態を放っておきたくはないだろう」
「それは、そうですが……」
「仕方ない。ドナテロ王国に行くとしよう。あっちの王にもアタシはある程度顔が利く。今回の件を相談するとしようじゃないか」
「お祖母様……」
お祖母様の提案に、私は少し驚いた。
今日に至るまで、お祖母様は隠居生活を送っていた。そんな彼女が、今回のことで行動を起こすということが、私にとっては意外なことだったのだ。
もしかしたら、お祖母様も亡き先代の国王の意思を汲んでいるのかもしれない。旅の準備を始めるお祖母様に、私はそのようなことを思うのだった。
幸いなことに蓄えはあったし、そもそも以前はここでほぼ自給自足の生活を送っていたため、特に生活に不自由している訳ではない。
ただやりがいがあった聖女の仕事がなくなって、少し虚しいような気もする。しかし、それはきっと時間が解決してくれるだろう。
「まずいことになったね……」
「まずいこと、ですか?」
そんな風に考えていた私は、お祖母様の呟きに少しだけわくわくしていた。
不謹慎ではあるが、何かやるべきことがあるというのは嬉しい。そう思ってしまったのだ。
「クレメリア、あんたをクビにしたアズガルトはどうやら間抜け所の話ではないみたいだ」
「アズガルト様?」
しかし私は、躍っていた心をすぐに鎮めることになった。
国王の名前が出た時点で、それが日常の些細な問題ではないことがわかったからだ。
もしかしたら、これは何か大変なことが起こっているのかもしれない。少なくとも、わくわくなんてしていては駄目だろう。
「お祖母様、何があったのですか?」
「王国の兵士達が、近くの村まで来ているようだ。兵士達は、何か準備をしているらしい」
「準備、ですか?」
お祖母様の言葉に、私は少し考えることになった。
兵士達が、この近くの村で準備する。それは一体、どういう意味を持つのだろうか。
その答えは、すぐに思いついた。ただそれは、できれば外れていて欲しい予想だ。
「まさか、アズガルト様はドナテロ王国に侵攻しようとしているのですか?」
「その可能性はあるだろうね。国境付近の村に、兵士が多く集まる理由なんて、それくらいしか思いつかない」
「もしもそうだとしたら、大問題ではありませんか」
「ああ、由々しき事態だね。まあ、まだ可能性の段階ではあるが」
私達の予測が当たっていた場合、大変なことが起こってしまう。二つの国が争うなんてことは、絶対にあってはならないことだ。
これでは、先代の王様も浮かばれない。彼がどんな想いで隣国と和平を結んだのか、それくらいはアズガルト様も理解していると思っていたのだが。
「幸か不幸か、この山は恐らく戦火には襲われないだろうね。戦場として、ここまで不適切な場所はない。しかしクレメリア、あんたのことだ。この事態を放っておきたくはないだろう」
「それは、そうですが……」
「仕方ない。ドナテロ王国に行くとしよう。あっちの王にもアタシはある程度顔が利く。今回の件を相談するとしようじゃないか」
「お祖母様……」
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もしかしたら、お祖母様も亡き先代の国王の意思を汲んでいるのかもしれない。旅の準備を始めるお祖母様に、私はそのようなことを思うのだった。
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