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64.戦いの終わり
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「……まさか、あなたからそのような要求をされるとは思っていませんでした。どうやら私のことをかなり高く評価していただいているようですね?」
「実際にあなたは、私の計画を読み切っていたではありませんか。私があなたを高く評価することは、何もおかしくないと思いますが」
「自分で言うのもなんですが、私のことを信用できますか?」
「あなたは、私を王に擁立しました。どのような理由があっても、それは紛れもない事実です。故にあなたは、私を支えてくれると思っています」
「なるほど……」
イムティア様の言葉に、エバリス様は笑っていた。
なんというか、彼はとても楽しそうだ。どうやらイムティア様の提案は、彼の心に刺さっているらしい。
「面白い。王女イムティア、私はあなたの胆力を評価しています。今回仕掛けた狂言も含めて、あなたは中々にクレバーだ」
「そうでしょうか?」
「私は、あなたに付きたいと思っている。その婚約を受け入れましょう」
エバリス様は、イムティア様の前でゆっくりと跪いた。それはつまり、彼女に従うということなのだろう。
エバリス様は、本当にイムティア様のことを評価していたようだ。もしかしたら、先程の言葉も本当だったのかもしれない。彼も彼なりに、この国の未来を考えているということだろうか。
ただ、それでもエバリス様が面倒な人であることは間違いない。これからイムティア様は苦労することになるだろう。もっとも、それ以上に彼を引き込めた利益の方が大きいかもしれないが。
「……ラフェリア嬢、ナルギス侯爵令息、長い間お世話になりました。どうやらこれで、私の戦いは終わったようです」
「……そのようですね」
「支えていただき、本当にありがとうございました」
「いえ、私は何も……」
そこでイムティア様は、私達にお礼を言ってきた。
しかしナルギスはともかく、私が何かをしたという訳ではない。イムティア様の策略にまんまと引っかかっていただけである。
とはいえ、そんな私の存在が彼女の支えになったというならよかったとも思う。彼女にはお世話になったし、その恩を少しは返せただろうか。
「また何かあったら、お二人を頼ってもいいですか?」
「ええ、それはもちろんです」
「俺はラフェリア嬢に従うまでです」
「ふふ、ありがとうございます。お二人もこれから頑張ってくださいね」
イムティア様の言葉に、私はふと隣のナルギスを見る。
王城でのごたごたは大方片付いた。故に今度は私と彼の関係に、決着をつけるべきだろう。
そう思って、私は決意を固めるのだった。
「実際にあなたは、私の計画を読み切っていたではありませんか。私があなたを高く評価することは、何もおかしくないと思いますが」
「自分で言うのもなんですが、私のことを信用できますか?」
「あなたは、私を王に擁立しました。どのような理由があっても、それは紛れもない事実です。故にあなたは、私を支えてくれると思っています」
「なるほど……」
イムティア様の言葉に、エバリス様は笑っていた。
なんというか、彼はとても楽しそうだ。どうやらイムティア様の提案は、彼の心に刺さっているらしい。
「面白い。王女イムティア、私はあなたの胆力を評価しています。今回仕掛けた狂言も含めて、あなたは中々にクレバーだ」
「そうでしょうか?」
「私は、あなたに付きたいと思っている。その婚約を受け入れましょう」
エバリス様は、イムティア様の前でゆっくりと跪いた。それはつまり、彼女に従うということなのだろう。
エバリス様は、本当にイムティア様のことを評価していたようだ。もしかしたら、先程の言葉も本当だったのかもしれない。彼も彼なりに、この国の未来を考えているということだろうか。
ただ、それでもエバリス様が面倒な人であることは間違いない。これからイムティア様は苦労することになるだろう。もっとも、それ以上に彼を引き込めた利益の方が大きいかもしれないが。
「……ラフェリア嬢、ナルギス侯爵令息、長い間お世話になりました。どうやらこれで、私の戦いは終わったようです」
「……そのようですね」
「支えていただき、本当にありがとうございました」
「いえ、私は何も……」
そこでイムティア様は、私達にお礼を言ってきた。
しかしナルギスはともかく、私が何かをしたという訳ではない。イムティア様の策略にまんまと引っかかっていただけである。
とはいえ、そんな私の存在が彼女の支えになったというならよかったとも思う。彼女にはお世話になったし、その恩を少しは返せただろうか。
「また何かあったら、お二人を頼ってもいいですか?」
「ええ、それはもちろんです」
「俺はラフェリア嬢に従うまでです」
「ふふ、ありがとうございます。お二人もこれから頑張ってくださいね」
イムティア様の言葉に、私はふと隣のナルギスを見る。
王城でのごたごたは大方片付いた。故に今度は私と彼の関係に、決着をつけるべきだろう。
そう思って、私は決意を固めるのだった。
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