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23.王城に戻って

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「なんとも大胆な作戦ですね……はっきり言って、危険過ぎます」

 バルラット侯爵家を後にした私は、再び王城に来ていた。
 ナルギスとともに立てたお父様を打倒する作戦には、イムティア様に協力してもらう必要があるからだ。
 お父様を陥れることができる程に強固な証言者が欲しい。そう思ってここまで来た私に対して、イムティア様は少し不満そうな顔をしている。

「確かに、この作戦は危険を伴うものではあります。しかし、成功すればお父様の失脚は間違いありません。侯爵家の当主を打倒するためには、多少のリスクには目を瞑ります」
「多少のリスクとは思えませんね。命を賭けるなんて……これが、ラフェリア嬢が私から学んだ誇り高き意思であるというなら、私は少し後悔してしまいます」

 イムティア様も、ナルギスと同じように私のことを慮ってくれているらしい。
 その心遣いは、非常にありがたいものではある。ただ、私は今更計画をやめるつもりはない。
 それは恐らく、イムティア様だって理解しているはずだ。理解していても、つい一言言っておきたかったという所だろうか。

「ですが、そういうことなら適任者がいます」
「適任者、ですか? 一体誰です?」
「この国の騎士団長です」
「騎士団長……」

 イムティア様の口から出た言葉に、私は少し驚いてしまった。
 この国の秩序を司る騎士団は、大きな発言力を持つ者達だ。その長ともなれば、確かにお父様の権力を持ってしても抑えきれない存在であるだろう。

「ノルヴァ・バルガナスは、非常に厳格な人物です。彼は貴族であっても、容赦はしません。もしもエルバラス侯爵が本当にあなたを殺そうとしているなら、必ず罰を与えるでしょう」
「それは、非常にありがたい証人ですね。イムティア様、その方を紹介していただけますか?」
「もちろんです」

 私の言葉に、イムティア様は力強く頷いてくれた。
 まさか、ここまで強力な証人を紹介してもらえるとは思っていなかった。正直これは、嬉しい誤算である。

「しかし、エルバラス侯爵は本当にラフェリア嬢を手にかけようとするのでしょうか。その部分に関して、私は少々懐疑的です」
「その点に関してはご心配なく。彼は必ずそうします……そうだ。そういえば、イムティア様の方はどうなりましたか? メレティアについて、国王様はなんと?」
「そちらに関しても、計画は進めています。お父様も、一応形式的にメレティア嬢の能力を知る必要があると考えていたようですから」

 メレティアとアラヴェド様の件も、順調に進行しているようだ。
 そのことに、私は安心する。そちらの件も、とても重要なことだからだ。
 このまま順調にいけば、私もイムティア様も願いを叶えられるだろう。ただ、油断してはならない。私達は最後まで気を抜かず、戦わなければならないのだ。
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