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20.対立する意見
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「……賛同できないな」
私の作戦に対して、ナルギスはとても端的な返答をしてきた。
その言葉からは、彼の怒りに近い感情が伝わってくる。彼が何故起こっているのか、それは明白だ。
「あなたの作戦は危険過ぎる。俺はそれを受け入れられない」
「確かに、この作戦は私の身を危険に晒すものではあるわ。でも、有効な手であるはずよ」
「有効であるからといって、全てが許容できる訳ではない。あなたを守ることが、俺の最優先事項だ」
ナルギスは、とても頑なだった。
それが私を心配してくれてのことだということは、もちろんわかっている。
しかしそれでも、私は譲るつもりはなかった。現状において、この作戦以上に有効な手はないと思っているからだ。
「ナルギス、お父様を倒すことは容易ではないわ。こちらもある程度のリスクは背負わなければならないの。それは当然のことでしょう?」
「あなたの言っていることは理解しているつもりだ。しかしリスクを背負うのがあなたである必要はない。もしも命を賭けるというなら、俺の命を賭けてくれ」
「それが一番有効な手段であるというなら、私はそうしたかもしれないわね。でも、今最も有効な作戦は私の命を賭けなければ成立しないものよ。だから私は、自分の命を賭ける。ただそれだけのことなのよ」
私も別に、自分の命を賭けたいなどとは思っていない。今回の作戦を実行するのは、怖いと思っている。
だが、お父様はそうしなければならない相手なのだ。だから勇気を振り絞って、ナルギスの制止を跳ね除けなければならない。
「そもそも、成功させればいいだけのことよ。あなたは、この作戦が失敗すると思っているの?」
「そういう訳ではない、が……」
「あなたに自信がないというなら、私は一人でもこの作戦を実行するわ。あなたの協力があった方が嬉しいけれど、これは一人でも成し遂げられない訳ではないもの」
「ラフェリア嬢、あなたという人は……」
ナルギスは拳を握り締めて、少し悔しそうな表情をしていた。
私が一人でも勝手にやると言っている以上、彼は協力せざるを得ない。故にそのような表情をしているのだろう。
「……仕方ない。あなたに協力するしかないようだな。協力する以上、俺は必ずあなたを守ると約束しよう。どの道俺は、かなり重要な役割だしな」
「心強いわ、ナルギス。ありがとう。それから、ごめんなさい」
「まったく、どこまでも勇気ある女性だ。これだから憧れる」
紆余曲折あったが、ナルギスは私の作戦に乗ってくれた。
こうして私達は、お父様に対するとある作戦を実行に移すことにするのだった。
私の作戦に対して、ナルギスはとても端的な返答をしてきた。
その言葉からは、彼の怒りに近い感情が伝わってくる。彼が何故起こっているのか、それは明白だ。
「あなたの作戦は危険過ぎる。俺はそれを受け入れられない」
「確かに、この作戦は私の身を危険に晒すものではあるわ。でも、有効な手であるはずよ」
「有効であるからといって、全てが許容できる訳ではない。あなたを守ることが、俺の最優先事項だ」
ナルギスは、とても頑なだった。
それが私を心配してくれてのことだということは、もちろんわかっている。
しかしそれでも、私は譲るつもりはなかった。現状において、この作戦以上に有効な手はないと思っているからだ。
「ナルギス、お父様を倒すことは容易ではないわ。こちらもある程度のリスクは背負わなければならないの。それは当然のことでしょう?」
「あなたの言っていることは理解しているつもりだ。しかしリスクを背負うのがあなたである必要はない。もしも命を賭けるというなら、俺の命を賭けてくれ」
「それが一番有効な手段であるというなら、私はそうしたかもしれないわね。でも、今最も有効な作戦は私の命を賭けなければ成立しないものよ。だから私は、自分の命を賭ける。ただそれだけのことなのよ」
私も別に、自分の命を賭けたいなどとは思っていない。今回の作戦を実行するのは、怖いと思っている。
だが、お父様はそうしなければならない相手なのだ。だから勇気を振り絞って、ナルギスの制止を跳ね除けなければならない。
「そもそも、成功させればいいだけのことよ。あなたは、この作戦が失敗すると思っているの?」
「そういう訳ではない、が……」
「あなたに自信がないというなら、私は一人でもこの作戦を実行するわ。あなたの協力があった方が嬉しいけれど、これは一人でも成し遂げられない訳ではないもの」
「ラフェリア嬢、あなたという人は……」
ナルギスは拳を握り締めて、少し悔しそうな表情をしていた。
私が一人でも勝手にやると言っている以上、彼は協力せざるを得ない。故にそのような表情をしているのだろう。
「……仕方ない。あなたに協力するしかないようだな。協力する以上、俺は必ずあなたを守ると約束しよう。どの道俺は、かなり重要な役割だしな」
「心強いわ、ナルギス。ありがとう。それから、ごめんなさい」
「まったく、どこまでも勇気ある女性だ。これだから憧れる」
紆余曲折あったが、ナルギスは私の作戦に乗ってくれた。
こうして私達は、お父様に対するとある作戦を実行に移すことにするのだった。
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