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18.大きな弱点
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「アラヴェド様に王位を継がせないためには、彼の本当の顔を国王様に知らせる必要がありますよね?」
「ええ、そうできるならいいのですが、お兄様はずる賢い人です。お父様の前では、決してボロは出さないでしょう。今までもそうやってやり過ごしてきましたし……」
「そういった面において、手強い相手ということですか……」
イムティア様の説明に、私は少し考えることになった。
アラヴェド様も、それなりにやり手ではある。一筋縄でいく相手ではない。それは私達にとって、厄介なことだ。
しかしそれなら、もう一人を攻める方法がある。メレティアを叩くのだ。
「国王様は、メレティアのことを次期王妃として認めそうなのですよね?」
「ええ、そうですよ。お兄様とメレティア嬢は、とても仲良さそうにしていますから」
「国王様は、それだけで王妃を決めるのでしょうか? その資質が問われることがあるのではありませんか?」
「まあ、それも考慮されるとは思いますが……」
私の質問に、イムティア様は目をそらした。
それはなんというか、あまりいい返答が得られそうにない反応だ。
しかしそれはある程度予想していたことである。彼女の返答が明るくないのは、ある種当たり前のことなのだ。
「王妃というのは重要な役割ではありますが、余程問題でもなければお父様が反対するということはないと思います。何か短所があったとしても、改善していけばいいとお父様は考える人ですから」
「なるほど……それなら安心できますね」
「……安心?」
イムティア様の表情は、大きく変わった。彼女は、訳がわからないというような表情をしている。
それも当然のことだろう。彼女は、メレティアのことを知らない。だから私の言葉が理解できないのだ。
「メレティアは両親に甘やかされて育ってきました。それによって、わがままな性格になりました。そんな彼女に、王妃は務まりません。彼女には王妃の資質がないのです」
「資質がない?」
「そうですね……イムティア様は、国王様を誘導していただけませんか。国王様が、メレティアが王妃に相応しいのかどうか試すように。その試練は、どのようなものでも構いません。とにかくメレティアに、ストレスを与えることが重要です」
「ストレスですか……わかりました。ラフェリア嬢がそこまで言うなら、そのように働きかけてみますが」
行動の指針は、大方定まった。
私達は、これからメレティアのことを追い詰める。彼女の気質こそが、あの二人の大きな弱点なのだ。
「ええ、そうできるならいいのですが、お兄様はずる賢い人です。お父様の前では、決してボロは出さないでしょう。今までもそうやってやり過ごしてきましたし……」
「そういった面において、手強い相手ということですか……」
イムティア様の説明に、私は少し考えることになった。
アラヴェド様も、それなりにやり手ではある。一筋縄でいく相手ではない。それは私達にとって、厄介なことだ。
しかしそれなら、もう一人を攻める方法がある。メレティアを叩くのだ。
「国王様は、メレティアのことを次期王妃として認めそうなのですよね?」
「ええ、そうですよ。お兄様とメレティア嬢は、とても仲良さそうにしていますから」
「国王様は、それだけで王妃を決めるのでしょうか? その資質が問われることがあるのではありませんか?」
「まあ、それも考慮されるとは思いますが……」
私の質問に、イムティア様は目をそらした。
それはなんというか、あまりいい返答が得られそうにない反応だ。
しかしそれはある程度予想していたことである。彼女の返答が明るくないのは、ある種当たり前のことなのだ。
「王妃というのは重要な役割ではありますが、余程問題でもなければお父様が反対するということはないと思います。何か短所があったとしても、改善していけばいいとお父様は考える人ですから」
「なるほど……それなら安心できますね」
「……安心?」
イムティア様の表情は、大きく変わった。彼女は、訳がわからないというような表情をしている。
それも当然のことだろう。彼女は、メレティアのことを知らない。だから私の言葉が理解できないのだ。
「メレティアは両親に甘やかされて育ってきました。それによって、わがままな性格になりました。そんな彼女に、王妃は務まりません。彼女には王妃の資質がないのです」
「資質がない?」
「そうですね……イムティア様は、国王様を誘導していただけませんか。国王様が、メレティアが王妃に相応しいのかどうか試すように。その試練は、どのようなものでも構いません。とにかくメレティアに、ストレスを与えることが重要です」
「ストレスですか……わかりました。ラフェリア嬢がそこまで言うなら、そのように働きかけてみますが」
行動の指針は、大方定まった。
私達は、これからメレティアのことを追い詰める。彼女の気質こそが、あの二人の大きな弱点なのだ。
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