公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。

木山楽斗

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時々思うこと

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 私は、ゆっくりと目を覚ました。どうやら、朝が来たようである。
 私は、ふと横を確認した。すると、そこにはオルティナお姉様がいる。
 彼女は、最近よく私と一緒に寝ている。最初に一緒に寝た時から、頻繁に私の部屋に来るようになったのだ。

「オルティナお姉様は、本当に……」

 オルティナお姉様は、私のことを好いてくれている。それは、ありがたいことだ。
 その明るさに、私は救われた。お母さんが亡くなった後、落ち込んでいた私を元気にしてくれたのは彼女だ。
 もちろん、他の家族の助けもあった。ただ、最初に私に手を差し伸べてくれたのは、彼女なのである。

「でも……」

 しかし、時々思うことがあるのだ。彼女は、どうして私をここまで好いてくれるのだろうかと。
 思えば、それは不思議なことである。私と彼女には、血の繋がりはあるが、この公爵家に来るまで関りはなかった。
 それなのに、彼女は最初から私に積極的に話しかけてきた。それは、どういうことなのだろうか。
 また、その後、私をこんなにも好いてくれているのは、何故なのだろう。そんな風な疑問を時々私は抱くことがあるのだ。

「……」

 そして、時々思うのである。彼女は、本当に私を好いてくれているのだろうかと。



◇◇◇



「私ね、妹が欲しかったんだ」
「そうなんですか?」

 いつだったか、私はオルティナお姉様からそんなことを言われた。
 妹が欲しかった。その言葉を聞いた時には、特に何も思っていなかったような気がする。
 一人っ子だった私も、その気持ちは少しだけわかったからだ。兄弟というものに憧れがあるのと同じように末っ子のお姉様は、下の子が欲しかったのだろう。そのように考えていた気がする。

「まあ、弟でも良かったんだけど……とにかく、お姉様になりたかったんだ」
「お姉様になりたかった……」
「なんていうのかな……うーん、よくわからないけど、私は一番下だったからだと思うんだ。ルネリアも、そう思ったりする?」
「そうですね……私も、妹や弟が欲しいと思ったことはあります」
「やっぱり、そういうものなのかな?」

 ただ、お姉様になりたかったというオルティナお姉様の言葉に、私の中には疑問が生まれたのだ。
 もしかしたら、オルティナお姉様は妹というものを好いているのではないかと。
 それが、あまり良くない考えだということはわかっている。だけど、オルティナお姉様が見ているのは妹という概念そのものなのではないかとそう思ってしまうのだ。
 そのことは、普段考えないようにしている。くだらないことだと、自分でもわかっているからだ。
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