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39.怪しげな集団③
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「俺はこのアルバナスの駐在騎士アラーグだ。騎士の名において、お前達を拘束させてもらう」
「騎士か……」
兄貴の登場に、怪しげな集団は少しだけ驚いた。だが、すぐに平静を取り戻す。こんなことをする者達なので、騎士の登場はある程度予測していたのだろう。
もっとも、その登場は予想よりも早かったはずである。本来ならば、騎士が来る前に決着をつけたかっただろう。
「はっ! 騎士の登場など予想通り……たった一人で、この数を相手できるとでも?」
「あまり騎士を舐めないでもらいたい。この程度の数を相手できなければ、騎士の名折れというものだ」
「ふん……減らず口を叩きおって!」
兄貴に向かって、数名の男達が襲い掛かってきた。兄貴を舐めているのか、はたまた戦い慣れしていないのか、三人で正面からぶつかるつもりのようだ。
男達の武器は剣である。その間合いは、近距離だ。一方、兄貴の武器は槍。その間合いは、中距離。剣よりも広い。
つまり、兄貴の間合いに先に入る。それなのに、正面から向かって行くというのは愚行でしかないだろう。
男達が、数で押せば勝てると考えている可能性はある。しかし、騎士である兄貴には、そのような理論は通用しない。
「減らず口を叩いているのは、そちらのようだな?」
「何?」
「ふん!」
「あがっ!」
兄貴は、冷静に三人にそれぞれ突きを食らわせた。その場から一切動かず、向かってきた男達を捌いたのだ。
男達は、ゆっくりと地面に倒れた。兄貴は足を狙って槍を突いたようだ。恐らく、あの者達はしばらく立ち上がれないだろう。
「さて、次は誰かな?」
「ぬぐぅ……」
兄貴のおかげで、怪しげな集団の勢いは削がれていた。先程まではすぐにでもこちらに襲い掛かって来そうだったのに、まったく動かなくなったのだ。
迂闊に近づくことができない。兄貴の存在によって、向こうにはそのような思考が芽生えているのだろう。
「くっ……全員、かかれ! 騎士は何人かで相手すればいい! その隙に奴を捕らえるのだ!」
そこで、一人の男の怒号が響いた。その指示は、この場にいる全員での攻撃だった。
兄貴のおかげで、相手が何人いるかは数えられている。合計、十二人だ。
既に三人伸びているため、残っているのは九人。この数で一気に仕掛けられたら、流石に兄貴でもまずいかもしれない。
「ミルーシャ、いける?」
「ええ、いつでも大丈夫よ」
私は、ミルーシャに確認を取った。彼女の火の魔法は強力だ。私なんかよりも、余程戦力になる。
そんな彼女が準備できているなら、三人くらいは倒してくれるだろう。一人くらいは、私もなんとかできる。丁度、そこに武器もあることだし、頑張れば二人くらいは倒せるかもしれない。
「……兄貴、前の二人は私に任せて」
「……市民を危険な目に合わせる訳には行かない」
「向こうは玉砕覚悟で、この子を狙っている。多分、兄貴だけだと、この子を連れ去れてしまう」
「はあ、始末書ものだな……」
私達が戦うことを、兄貴は了承してくれた。市民が戦うことをあまり快く思わない兄貴だが、流石に状況が状況なだけに了承するしかなかったのだろう。
「騎士か……」
兄貴の登場に、怪しげな集団は少しだけ驚いた。だが、すぐに平静を取り戻す。こんなことをする者達なので、騎士の登場はある程度予測していたのだろう。
もっとも、その登場は予想よりも早かったはずである。本来ならば、騎士が来る前に決着をつけたかっただろう。
「はっ! 騎士の登場など予想通り……たった一人で、この数を相手できるとでも?」
「あまり騎士を舐めないでもらいたい。この程度の数を相手できなければ、騎士の名折れというものだ」
「ふん……減らず口を叩きおって!」
兄貴に向かって、数名の男達が襲い掛かってきた。兄貴を舐めているのか、はたまた戦い慣れしていないのか、三人で正面からぶつかるつもりのようだ。
男達の武器は剣である。その間合いは、近距離だ。一方、兄貴の武器は槍。その間合いは、中距離。剣よりも広い。
つまり、兄貴の間合いに先に入る。それなのに、正面から向かって行くというのは愚行でしかないだろう。
男達が、数で押せば勝てると考えている可能性はある。しかし、騎士である兄貴には、そのような理論は通用しない。
「減らず口を叩いているのは、そちらのようだな?」
「何?」
「ふん!」
「あがっ!」
兄貴は、冷静に三人にそれぞれ突きを食らわせた。その場から一切動かず、向かってきた男達を捌いたのだ。
男達は、ゆっくりと地面に倒れた。兄貴は足を狙って槍を突いたようだ。恐らく、あの者達はしばらく立ち上がれないだろう。
「さて、次は誰かな?」
「ぬぐぅ……」
兄貴のおかげで、怪しげな集団の勢いは削がれていた。先程まではすぐにでもこちらに襲い掛かって来そうだったのに、まったく動かなくなったのだ。
迂闊に近づくことができない。兄貴の存在によって、向こうにはそのような思考が芽生えているのだろう。
「くっ……全員、かかれ! 騎士は何人かで相手すればいい! その隙に奴を捕らえるのだ!」
そこで、一人の男の怒号が響いた。その指示は、この場にいる全員での攻撃だった。
兄貴のおかげで、相手が何人いるかは数えられている。合計、十二人だ。
既に三人伸びているため、残っているのは九人。この数で一気に仕掛けられたら、流石に兄貴でもまずいかもしれない。
「ミルーシャ、いける?」
「ええ、いつでも大丈夫よ」
私は、ミルーシャに確認を取った。彼女の火の魔法は強力だ。私なんかよりも、余程戦力になる。
そんな彼女が準備できているなら、三人くらいは倒してくれるだろう。一人くらいは、私もなんとかできる。丁度、そこに武器もあることだし、頑張れば二人くらいは倒せるかもしれない。
「……兄貴、前の二人は私に任せて」
「……市民を危険な目に合わせる訳には行かない」
「向こうは玉砕覚悟で、この子を狙っている。多分、兄貴だけだと、この子を連れ去れてしまう」
「はあ、始末書ものだな……」
私達が戦うことを、兄貴は了承してくれた。市民が戦うことをあまり快く思わない兄貴だが、流石に状況が状況なだけに了承するしかなかったのだろう。
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