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7.刷り込みで母親に?③
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「お邪魔しまーす!」
「え?」
「あら?」
「ピィ?」
話が一段落してから、私達の耳に声が聞こえてきた。その声を、私とエルッサさんは知っている。
「エルッサさん、フェリナはいる?」
「姉さん、お客さんが来ているのかもしれないから、そんなに大きな声は出さない方がいいよ」
「何よ、別に大きな声でもないでしょう?」
その場にやって来たのは、二人の人物だ。
一人は、ミルーシャ・ラナキンスという女の子である。このアルバナスという町を領地とする貴族、ラナキンス伯爵家の令嬢だ。
もう一人は、メルラム・ラナキンスという男の子である。彼は、ミルーシャの弟だ。つまり、ラナキンス伯爵家の令息ということである。
二人は、私の友人だ。孤児院に父親とともに来た二人と知り合い、そして友人関係になったのだ。
貴族と平民という身分の違いはあるが、二人と私は対等な関係を築いている。というのも、二人がそれを望んでいるのだ。
小さな頃は身分を気にすることはなかったが、少し年齢が経つにつれて、私もそういうものを意識するようになっていたった。
その時、態度を改めた方がいいと思い、そうしてみたのだが、二人はそれをとても嫌がった。
という訳で、私は今も二人にフランクに過ごしている。厳格な場では、流石にそういう訳にはいかないが、少なくとも平時はそうしているのだ。
「ねえ、フェリナ、あなたもそう思うわ……え?」
「姉さん? ……うん?」
「あはは、やっぱり驚くよね」
二人は、私の胸に抱かれている謎の生物を見て、目を丸くしていた。
その反応をされることはわかっていた。この子を見て、驚かない人物なんて、ほとんどいないだろう。
「フェリナ? 何よ? その子?」
「えっとね……森で拾ったんだ」
「いや、何という生物なの? 見たことがないんだけど……」
「それが、わからないんだよね」
「わからない? 新種の生物ということ?」
私の言葉に、ミルーシャはかなり混乱していた。エルッサさんと同じような反応である。
一方。メルラムは考えるような仕草をしていた。胸に抱かれるこの子を見ながら、何かを考えているようだ。
メルラムは、本をよく読んでおり、色々な知識を持っている。そんな彼なら、この子が何者なのかを知っているかもしれない。
「メルラム? もしかして、この子のことを知っているの?」
「え? ああ、うん……もしかしたら、というくらいだけど」
「本当? それなら、是非教えてもらいたいな」
「それは、もちろんいいけど……」
メルラムに聞いてみると、少し自信がなさそうな回答が返ってきた。でも、それはいつものことだ。彼は、自分の知識を発言する時、いつもそういう風な態度なのである。
大抵の場合、彼の発言は当たっている。そのため、まずは聞いてみることが重要なのだ。
もし外れていても、それはそれでいい。可能性が一つ潰れたというなら、それも大きな進歩である。
「え?」
「あら?」
「ピィ?」
話が一段落してから、私達の耳に声が聞こえてきた。その声を、私とエルッサさんは知っている。
「エルッサさん、フェリナはいる?」
「姉さん、お客さんが来ているのかもしれないから、そんなに大きな声は出さない方がいいよ」
「何よ、別に大きな声でもないでしょう?」
その場にやって来たのは、二人の人物だ。
一人は、ミルーシャ・ラナキンスという女の子である。このアルバナスという町を領地とする貴族、ラナキンス伯爵家の令嬢だ。
もう一人は、メルラム・ラナキンスという男の子である。彼は、ミルーシャの弟だ。つまり、ラナキンス伯爵家の令息ということである。
二人は、私の友人だ。孤児院に父親とともに来た二人と知り合い、そして友人関係になったのだ。
貴族と平民という身分の違いはあるが、二人と私は対等な関係を築いている。というのも、二人がそれを望んでいるのだ。
小さな頃は身分を気にすることはなかったが、少し年齢が経つにつれて、私もそういうものを意識するようになっていたった。
その時、態度を改めた方がいいと思い、そうしてみたのだが、二人はそれをとても嫌がった。
という訳で、私は今も二人にフランクに過ごしている。厳格な場では、流石にそういう訳にはいかないが、少なくとも平時はそうしているのだ。
「ねえ、フェリナ、あなたもそう思うわ……え?」
「姉さん? ……うん?」
「あはは、やっぱり驚くよね」
二人は、私の胸に抱かれている謎の生物を見て、目を丸くしていた。
その反応をされることはわかっていた。この子を見て、驚かない人物なんて、ほとんどいないだろう。
「フェリナ? 何よ? その子?」
「えっとね……森で拾ったんだ」
「いや、何という生物なの? 見たことがないんだけど……」
「それが、わからないんだよね」
「わからない? 新種の生物ということ?」
私の言葉に、ミルーシャはかなり混乱していた。エルッサさんと同じような反応である。
一方。メルラムは考えるような仕草をしていた。胸に抱かれるこの子を見ながら、何かを考えているようだ。
メルラムは、本をよく読んでおり、色々な知識を持っている。そんな彼なら、この子が何者なのかを知っているかもしれない。
「メルラム? もしかして、この子のことを知っているの?」
「え? ああ、うん……もしかしたら、というくらいだけど」
「本当? それなら、是非教えてもらいたいな」
「それは、もちろんいいけど……」
メルラムに聞いてみると、少し自信がなさそうな回答が返ってきた。でも、それはいつものことだ。彼は、自分の知識を発言する時、いつもそういう風な態度なのである。
大抵の場合、彼の発言は当たっている。そのため、まずは聞いてみることが重要なのだ。
もし外れていても、それはそれでいい。可能性が一つ潰れたというなら、それも大きな進歩である。
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