そんなに聖女になりたいなら、譲ってあげますよ。私は疲れたので、やめさせてもらいます。

木山楽斗

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 私は、ラーファン家の屋敷で怠惰な生活を過ごしています。
 聖女の仕事で疲れているので、しばらくは休めます。朝十時に起きられる生活は、幸せですね。

「それで、お姉様はお兄様と最近どうなんですか?」
「え?」

 今日は、お姉様が部屋を訪ねて来てくれました。
 それは、聖女になる前はよくあることでした。暇になると、彼女は私の元に遊びに来てくれたのです。
 そのありふれた日常が戻ってきたことは、私にとって嬉しいことです。この生活の方が、私には性に合っているんですよね。

「どこまでいっているんですか?」
「ど、どこまで?」
「色々あるじゃないですか。好き合っている婚約者なんですから」

 私は、とても気になっていました。お兄様とお姉様の関係は、どこまで進展しているんでしょうか?
 この二人は、好き合って婚約しています。貴族としては稀有な例ですね。
 そんな二人ですから、色々と進展してもいいはずです。なのに、私が聖女になる前、この二人はキスすらしていませんでした。それがどうなったか、私はとても気になるのです。

「流石に、キスはしましたよね? それ以上は、進みましたか?」
「あ、えっと……」
「うん?」
「キスもしていないかな……」
「はあっ!?」

 お姉様の言葉に、私は思わず叫びました。
 まさか、まだキスすらしていないとは。流石の私も、驚きです。
 一つ屋根の下で、好き合っている婚約者同士で暮らしていて、キスしていない? どうして、そうなるんでしょうか? 私、まったく理解できません。

「キスくらい済ませておいてくださいよ」
「その……エルード様は、正式に結婚するまでは、何もしないと言っていて……」
「うげっ……」

 どうやら、お兄様の変な性格が影響しているらしいですね。
 あの人は、とても真面目で固い人です。そういう真面目な面から、結婚するまで手を出さないとかいう意味のわからない理論を展開しているのでしょう。
 でも、普通に考えて、もう手を出すべきです。こんなにうら若き乙女に手を出さないなんて、逆に失礼ですよ。
 それか、お兄様が枯れているかですね。大人びた人ですから、その可能性もあるでしょう。
 それなら仕方ありません。もう諦めるしかないですね。

「仕方ありません……とりあえず、お兄様に抗議してみましょう」
「え? 抗議なんて……」
「いえ、これは抗議するべきです。善は急げということで、すぐに行ってきます」
「あ、シャルリナ」

 とりあえず、私はお兄様に抗議することにしました。
 流石に、これは見逃せません。
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