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74.確かな温もり
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「大丈夫ですよ、クルレイド様……」
「レミアナ嬢……」
「私がついていますから……」
私は、クルレイド様の手を握りながら彼にゆっくりと言葉をかけた。
私は真っ直ぐに、クルレイド様の目を見る。その目は少しだけ、滲んでいるような気がする。
「アルペリオ侯爵令息に捕まった時、本当に怖かったんです。彼の狂気を私は受け止め切れませんでした。でも、クルレイド様がいてくれました。あなたの目を見た時、私は大丈夫だって思うことができたんです」
「そ、そうだったんですか?」
「だから今度は、私がクルレイド様をお支えします。私では力不足かもしれませんが……」
「いえ、そんなことはありません!」
先程まで落ち込んでいたクルレイド様は、そこで声を荒げた。
彼の視線には力がある。それは私が、思わず少し怯んでしまう程だ。
「あ、すみません。急に大声を出してしまって……」
「いいえ、お気になさらないでください……」
「でも、本当なんです。レミアナ嬢が支えてくれるなら、それは俺にとって百人力です。体の底から力が湧いて来るというか……」
「ふふ……そうですか」
「あ、えっと……」
クルレイド様の言葉に、私は笑みを浮かべていた。
すると彼は、少し悲しそうな表情をする。それがなんだか、私には少し可愛く思えた。
凛々しい所もあるが、子供の一面もある。今のクルレイド様は、そんな年齢だ。
そこまで年齢差はないので、私が大人であると自信を持っていえる訳でもない。だが、それでも年長者としてしっかりしなければならない。彼の様子に、私はそんなことを思っていた。
「私の存在がクルレイド様にとって力になるなら、嬉しいです。これから何かがあったら、私を頼ってくださいね?」
「ええ、そうさせてもらいます……しかしなんというか、俺はレミアナ嬢には敵わないような気がします」
「あら? それはどういう意味ですか?」
「ああいえ、悪い意味ではありません、よ?」
私の質問に対して、クルレイド様は苦笑いを浮かべていた。
本当に悪い意味ではないのだろうか。その笑顔を見ていると、なんだかそうではないような気もしてくるが。
「……クルレイド様、改めてこれからどうかよろしくお願いします」
「レミアナ嬢……こちらこそ、よろしくお願いします」
私とクルレイド様は、お互いにそう言い合った。
色々と大変なことはあったが、これからはきっと私は幸せになれるだろう。
その手に確かな温もりを感じながら、私はそんなことを思うのだった。
「レミアナ嬢……」
「私がついていますから……」
私は、クルレイド様の手を握りながら彼にゆっくりと言葉をかけた。
私は真っ直ぐに、クルレイド様の目を見る。その目は少しだけ、滲んでいるような気がする。
「アルペリオ侯爵令息に捕まった時、本当に怖かったんです。彼の狂気を私は受け止め切れませんでした。でも、クルレイド様がいてくれました。あなたの目を見た時、私は大丈夫だって思うことができたんです」
「そ、そうだったんですか?」
「だから今度は、私がクルレイド様をお支えします。私では力不足かもしれませんが……」
「いえ、そんなことはありません!」
先程まで落ち込んでいたクルレイド様は、そこで声を荒げた。
彼の視線には力がある。それは私が、思わず少し怯んでしまう程だ。
「あ、すみません。急に大声を出してしまって……」
「いいえ、お気になさらないでください……」
「でも、本当なんです。レミアナ嬢が支えてくれるなら、それは俺にとって百人力です。体の底から力が湧いて来るというか……」
「ふふ……そうですか」
「あ、えっと……」
クルレイド様の言葉に、私は笑みを浮かべていた。
すると彼は、少し悲しそうな表情をする。それがなんだか、私には少し可愛く思えた。
凛々しい所もあるが、子供の一面もある。今のクルレイド様は、そんな年齢だ。
そこまで年齢差はないので、私が大人であると自信を持っていえる訳でもない。だが、それでも年長者としてしっかりしなければならない。彼の様子に、私はそんなことを思っていた。
「私の存在がクルレイド様にとって力になるなら、嬉しいです。これから何かがあったら、私を頼ってくださいね?」
「ええ、そうさせてもらいます……しかしなんというか、俺はレミアナ嬢には敵わないような気がします」
「あら? それはどういう意味ですか?」
「ああいえ、悪い意味ではありません、よ?」
私の質問に対して、クルレイド様は苦笑いを浮かべていた。
本当に悪い意味ではないのだろうか。その笑顔を見ていると、なんだかそうではないような気もしてくるが。
「……クルレイド様、改めてこれからどうかよろしくお願いします」
「レミアナ嬢……こちらこそ、よろしくお願いします」
私とクルレイド様は、お互いにそう言い合った。
色々と大変なことはあったが、これからはきっと私は幸せになれるだろう。
その手に確かな温もりを感じながら、私はそんなことを思うのだった。
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