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17.王城にて

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 私とロンダーは、クルレイド様に連れられて王城まで来ていた。
 紅茶を振る舞ってもらったため、今は気持ちは落ち着いている。色々とあって動揺していたが、今は幾分か冷静だ。
 ただ、一つだけ気になっているのは私達に紅茶を振る舞ってくれた人だ。その人物は、クルレイド様の隣で目を瞑っている。眠っている訳ではなさそうだが、何か考えているのだろうか。

「あの、ギルドルア様……」
「うん?」
「その……何を考えているのですか?」

 私が呼びかけてみると、その人物はゆっくりと目を開けた。
 彼の名前は、ギルドルア。この国の第一王子である。
 クルレイド様と王城に着いた時に偶々いた彼は、特に事情も聞くことなく私達に紅茶を振る舞うと言ってきた。少し落ち着いた方がいいということを、彼は見抜いていたようだ。

「君達に何があったのかを考えていたのさ。三人ともひどく動揺している様子だったからね。狐にでも摘ままれたのかと思ったのだが……」
「ある意味ではそうかもしれません。俺達は先程中々に手強い相手と戦ってきましたから」
「ほう?」
「ランカーソン伯爵夫人です。彼女とレミアナ嬢は少し因縁があって……」
「なるほど、そういうことか」

 クルレイド様の言葉に、ギルドルア様はゆっくりと頷いた。
 彼も彼で、なんだか不思議な雰囲気を纏っている。ランカーソン伯爵夫人とは違うが、掴み所がない人だ。

「アルペリオ・ランペシー侯爵令息は、愚かな選択をしたようだね」
「え?」
「ランカーソン伯爵夫人との因縁というと、そういうことだろう? 彼女がどういう人物なのかは、僕も知っているからね」

 ギルドルア様は、そう言って笑っていた。
 その全てを見透かしたかのような笑みに、私は少し驚いてしまう。
 ただ、考えてみれば当然なのかもしれない。私の婚約破棄を知っていて、夫人のことを知っていれば答えは結構簡単に出るような気もする。

「彼女に魅入られたというなら、アルペリオ侯爵令息の不可解な行動にも納得がいく。婚約破棄などという大それたことをしたのはそれが原因か」
「ええ、そうみたいです。それも、かなり入れ込んでいるようで……」
「そうか。またあれの犠牲者が出るとは……色々と噂になっている人物であるというのに、どうしてその危険性がわからないのか少々理解し難いか、災難だったなレミアナ嬢」
「あ、はい。お気遣い痛み入ります」

 ギルドルア様は、ランカーソン伯爵夫人のことをよく知っているようだ。
 それなら彼に、少し話を聞いておいた方がいいかもしれない。今後も何が起こるかわからないし、彼女のことを知っておくことは必要だろう。
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