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7.弟の友人

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 王都にやって来た私達は、少しの間歩き回った後王城に来ていた。
 ロンダーの友人であるクルレイド様は王族である。そんな彼と会うためには、ここに来なければならないのだ。
 しかし王城という場所はそう簡単に入れる場所ではない。特にアポもなしで訪問する場合は、会えない可能性もある。

「……クルレイド様に、確認が取れました。どうぞお入りください」
「あ、ありがとうございます」

 ただ今回は、無事に王城に入ることができた。
 どうやら、丁度クルレイド様が暇していたらしい。それはロンダーにとって、非常に幸運なことといえるだろう。

「……ロンダー!」
「クルレイドさん!」

 王城の敷地内に入ると、そこには一人の男性がいた。
 その人物こそが、クルレイドさんだ。この国の第二王子は、ロンダーに向けて嬉しそうな顔をしながら手を上げている。

「久し振りだな。少し背が伸びたか?」
「そうでしょうか? まあ、僕も日々成長していますからね」
「レミアナ嬢も、お久し振りですね」
「ええ、お久し振りです。クルレイド様」

 私も一応、クルレイド様とは面識がある。友人の姉、彼からすれば私はそのくらいの認識であるはずだ。
 一方私からすると、彼は第二王子である。目上の人間であるため、少し緊張してしまう。

「そのようにお堅くならなくて結構ですよ。俺はそういうのは苦手ですから」
「えっと……」
「まあ、そう言っても無理ですか。俺はこれでも一応、王族である訳ですしね」

 クルレイド様は、苦笑いを浮かべていた。
 彼とこうして実際に顔を合わせるのは、随分と久し振りのことである。かつて会った時はまだ少年の面影があった彼も、すっかり立派な青年だ。
 昔はもう少しやんちゃな印象があったのだが、それが今は鳴りを潜めている。それはいい変化といえるだろう。クルレイド様は、成長したのだ。

「しかし、ロンダー。まさか、お前が王都に来ているなんて思っていなかったぞ?」
「今回は姉上と旅行で……クルレイドさんと会えてよかったですよ。予定が空いていたんですか?」
「ああ、丁度いいタイミングだったな……よし、せっかくだし俺が王都を案内しようか」
「いいんですか?」
「もちろんだ」

 そこでクルレイド様は、そのようなことを言い出した。
 ロンダーは喜んでいるが、それは少々大変な提案だ。第二王子がいきなり王都を歩き回る。それは本当に大丈夫なのだろうか。周囲の人達もざわついている気がするのだが。
 やはりクルレイド様は、そんなに変わっていないのかもしれない。笑顔を浮かべる彼に、私はそんなことを思うのだった。
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