没落寸前でしたが、先祖の遺産が見つかったおかげで持ち直すことができました。私を見捨てた皆さん、今更手のひらを返しても遅いのです。

両親が亡くなってすぐに兄が失踪した。
不幸が重なると思っていた私に、さらにさらなる不幸が降りかかってきた。兄が失踪したのは子爵家の財産のほとんどを手放さなければならい程の借金を抱えていたからだったのだ。

当然のことながら、使用人達は解雇しなければならなくなった。
多くの使用人が、私のことを罵倒してきた。子爵家の勝手のせいで、職を失うことになったからである。

しかし、中には私のことを心配してくれる者もいた。
その中の一人、フェリオスは私の元から決して離れようとしなかった。彼は、私のためにその人生を捧げる覚悟を決めていたのだ。

私は、そんな彼とともにとあるものを見つけた。
それは、先祖が密かに残していた遺産である。
驚くべきことに、それは子爵家の財産をも上回る程のものだった。おかげで、子爵家は存続することができたのである。

そんな中、私の元に帰ってくる者達がいた。
それは、かつて私を罵倒してきた使用人達である。
彼らは、私に媚を売ってきた。もう一度雇って欲しいとそう言ってきたのである。
しかし、流石に私もそんな彼らのことは受け入れられない。

「今更、掌を返しても遅い」

それが、私の素直な気持ちだった。


※2021/12/25 改題しました。(旧題:没落貴族一歩手前でしたが、先祖の遺産が見つかったおかげで持ち直すことができました。私を見捨てた皆さん、今更掌を返してももう遅いのです。)
24h.ポイント 21pt
172
小説 27,190 位 / 192,891件 恋愛 12,141 位 / 57,521件

あなたにおすすめの小説

玉の輿を狙う妹から「邪魔しないで!」と言われているので学業に没頭していたら、王子から求婚されました

歌龍吟伶
恋愛
王立学園四年生のリーリャには、一学年下の妹アーシャがいる。 昔から王子様との結婚を夢見ていたアーシャは自分磨きに余念がない可愛いらしい娘で、六年生である第一王子リュカリウスを狙っているらしい。 入学当時から、「私が王子と結婚するんだからね!お姉ちゃんは邪魔しないで!」と言われていたリーリャは学業に専念していた。 その甲斐あってか学年首位となったある日。 「君のことが好きだから」…まさかの告白!

妹を溺愛したい旦那様は婚約者の私に出ていってほしそうなので、本当に出ていってあげます

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族令嬢であったアリアに幸せにすると声をかけ、婚約関係を結んだグレゴリー第一王子。しかしその後、グレゴリーはアリアの妹との関係を深めていく…。ある日、彼はアリアに出ていってほしいと独り言をつぶやいてしまう。それを耳にしたアリアは、その言葉の通りに家出することを決意するのだった…。

私がいなくなっても、あなたは探しにも来ないのでしょうね

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族家の生まれではありながらも、父の素行の悪さによって貧しい立場にあったエリス。そんな彼女は気づいた時、周囲から強引に決められる形で婚約をすることとなった。その相手は大金持ちの御曹司、リーウェル。エリスの母は貧しい暮らしと別れを告げられることに喜び、エリスが内心では快く思っていない婚約を受け入れるよう、大いに圧力をかける。さらには相手からの圧力もあり、断ることなどできなくなったエリスは嫌々リーウェルとの婚約を受け入れることとしたが、リーウェルは非常にプライドが高く自分勝手な性格で、エリスは婚約を結んでしまったことを心から後悔する…。何一つ輝きのない婚約生活を送る中、次第に鬱の海に沈んでいくエリスは、ある日その身を屋敷の最上階から投げてしまうのだった…。

聖獣がなつくのは私だけですよ?

新野乃花(大舟)
恋愛
3姉妹の3女であるエリッサは、生まれた時から不吉な存在だというレッテルを張られ、家族はもちろん周囲の人々からも冷たい扱いを受けていた。そんなある日の事、エリッサが消えることが自分たちの幸せにつながると信じてやまない彼女の家族は、エリッサに強引に家出を強いる形で、自分たちの手を汚すことなく彼女を追い出すことに成功する。…行く当てのないエリッサは死さえ覚悟し、誰も立ち入らない荒れ果てた大地に足を踏み入れる。死神に出会うことを覚悟していたエリッサだったものの、そんな彼女の前に現れたのは、絶大な力をその身に宿す聖獣だった…!

仕事ができないと王宮を追放されましたが、実は豊穣の加護で王国の財政を回していた私。王国の破滅が残念でなりません

新野乃花(大舟)
恋愛
ミリアは王国の財政を一任されていたものの、国王の無茶な要求を叶えられないことを理由に無能の烙印を押され、挙句王宮を追放されてしまう。…しかし、彼女は豊穣の加護を有しており、その力でかろうじて王国は財政的破綻を免れていた。…しかし彼女が王宮を去った今、ついに王国崩壊の時が着々と訪れつつあった…。 ※カクヨムにも投稿しています! ※アルファポリスには以前、短いSSとして投稿していたものです!

役立たずの追放聖女は、可愛い神聖獣たちになつかれる唯一の存在でした

新野乃花(大舟)
恋愛
聖女の血を引くという特別な存在であることが示された少女、アリシラ。そんな彼女に目を付けたノラン第一王子は、その力を独り占めして自分のために利用してやろうと考え、アリシラの事を自身の婚約者として招き入れた。しかし彼女の力が自分の思い描いたものではなかったことに逆上したノランは、そのまま一方的にアリシラの事を婚約破棄の上で追放してしまう。すべてはアリシラの自業自得であるという事にし、深くは考えていなかったノランだったものの、この後判明するアリシラの特別な力を耳にしたとき、彼は心の底から自分の行いを後悔することとなるのであった…。

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

私がいなくなっても構わないと言ったのは、あなたの方ですよ?

新野乃花(大舟)
恋愛
ミーナとレイノーは婚約関係にあった。しかし、ミーナよりも他の女性に目移りしてしまったレイノーは、ためらうこともなくミーナの事を婚約破棄の上で追放してしまう。お前などいてもいなくても構わないと別れの言葉を告げたレイノーであったものの、後に全く同じ言葉をミーナから返されることとなることを、彼は知らないままであった…。

処理中です...