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32.かつての友人(ファルクス視点)
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かつての友人ラムリアは、現在はディルフォンド侯爵夫人である。
級友であるエグリクスと結ばれた彼女は、平民から貴族の仲間入りを果たしたのだ。
そういった経歴であるため、彼女は色々と苦労していると聞いている。ただ、持ち前の気高さや前向きな心で、そういった悪評を覆したようだ。
「ラムリアから返信があったよ。彼女も是非君に会いたいそうだ」
「そうですか……」
手紙を出した所、ラムリアはすぐに返信を返してくれた。
そこには、自分もアルティリアと会いたいと思っていた旨が記されていた。それに対して、アルティリアは少し苦しそうな表情をする。
「どうかしたのかい?」
「いえ、彼女はどこまでも優しい女性であると思ったのです」
「まあ、確かにそれはそうだと思うけど……」
「彼女が私に会いたいなんて、そんなことはあり得ませんよ。これは社交辞令です。彼女の優しさから出た言葉だと思います」
アルティリアは、ラムリアの言葉を信じていないようだ。
かつて彼女は、ラムリアを敵対視していた。色々とひどいことも言ったらしい。だから、ラムリアが会いたいとは思っていないと、考えているようだ。
だが、僕はそうではないと考えている。ラムリアは、恐らく心からアルティリアに会いたいと思っているはずだ。
「こういうことは、あまり君には言いたくはないが、ラムリアはそんな人ではないと思う」
「……そうなのですか?」
「ああ、まあ、貴族となったから彼女も社交辞令は身に着けているだろうけど、こういった時にそういうことを言う人ではないはずだ。その根本的な部分は、変わっていないと思っている。そこが変わるような人ではないと僕は思う」
「なるほど……」
僕の言葉に、アルティリアはまた苦しそうな顔をした。
その理由は、なんとなくわかる。やはりこんなことは言うべきではなかったかもしれない。とはいえ、誤解したまま二人が会うことも良くないと思うし、色々と難しい所だ。
「アルティリア、僕は君のことを愛しているよ」
「え? ど、どうしたんですか? 急に……」
「いや、その……過去には、色々とあったかもしれない。だけど、今の僕は君を愛しているということをわかって欲しいんだ。だから安心してくれないか?」
「ファルクス様……」
僕はアルティリアの隣に座り、そのまま彼女と口づけを交わした。
それで、彼女は笑顔を見せてくれる。それが、どうしようもなく嬉しい。
「……別に、今のファルクス様を疑っている訳ではありません。ただ、やはり彼女と仲が良かったんだと思うと、少し胸が苦しくて」
「……ごめん。いや、謝るのは違うかな。えっと……愛している」
「ふふ、わかっていますよ」
こういう時に何を言えばいいのか、僕はわかっていなかった。
ただ、愛を囁き唇を重ねることしかできないのがもどかしい。心の中にある愛をどうやって伝えるべきなのか、僕はそれを考えるのだった。
級友であるエグリクスと結ばれた彼女は、平民から貴族の仲間入りを果たしたのだ。
そういった経歴であるため、彼女は色々と苦労していると聞いている。ただ、持ち前の気高さや前向きな心で、そういった悪評を覆したようだ。
「ラムリアから返信があったよ。彼女も是非君に会いたいそうだ」
「そうですか……」
手紙を出した所、ラムリアはすぐに返信を返してくれた。
そこには、自分もアルティリアと会いたいと思っていた旨が記されていた。それに対して、アルティリアは少し苦しそうな表情をする。
「どうかしたのかい?」
「いえ、彼女はどこまでも優しい女性であると思ったのです」
「まあ、確かにそれはそうだと思うけど……」
「彼女が私に会いたいなんて、そんなことはあり得ませんよ。これは社交辞令です。彼女の優しさから出た言葉だと思います」
アルティリアは、ラムリアの言葉を信じていないようだ。
かつて彼女は、ラムリアを敵対視していた。色々とひどいことも言ったらしい。だから、ラムリアが会いたいとは思っていないと、考えているようだ。
だが、僕はそうではないと考えている。ラムリアは、恐らく心からアルティリアに会いたいと思っているはずだ。
「こういうことは、あまり君には言いたくはないが、ラムリアはそんな人ではないと思う」
「……そうなのですか?」
「ああ、まあ、貴族となったから彼女も社交辞令は身に着けているだろうけど、こういった時にそういうことを言う人ではないはずだ。その根本的な部分は、変わっていないと思っている。そこが変わるような人ではないと僕は思う」
「なるほど……」
僕の言葉に、アルティリアはまた苦しそうな顔をした。
その理由は、なんとなくわかる。やはりこんなことは言うべきではなかったかもしれない。とはいえ、誤解したまま二人が会うことも良くないと思うし、色々と難しい所だ。
「アルティリア、僕は君のことを愛しているよ」
「え? ど、どうしたんですか? 急に……」
「いや、その……過去には、色々とあったかもしれない。だけど、今の僕は君を愛しているということをわかって欲しいんだ。だから安心してくれないか?」
「ファルクス様……」
僕はアルティリアの隣に座り、そのまま彼女と口づけを交わした。
それで、彼女は笑顔を見せてくれる。それが、どうしようもなく嬉しい。
「……別に、今のファルクス様を疑っている訳ではありません。ただ、やはり彼女と仲が良かったんだと思うと、少し胸が苦しくて」
「……ごめん。いや、謝るのは違うかな。えっと……愛している」
「ふふ、わかっていますよ」
こういう時に何を言えばいいのか、僕はわかっていなかった。
ただ、愛を囁き唇を重ねることしかできないのがもどかしい。心の中にある愛をどうやって伝えるべきなのか、僕はそれを考えるのだった。
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