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30.責任の所在
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お父様とお母様の許しを得られたため、私は久し振りに庭で体を動かしていた。
体を自由に動かせるというのは素晴らしい。私は改めてそれを認識していた。
怪我をすると、このように体を動かせなくなる。これからは、階段を上る時は気を付けよう。皆に心配もかけるし、怪我はしたくない。
「まあ、怪我をしたいと思って怪我をする人はいないと思うけど……」
私は、庭をゆっくりと見渡した。周りには、整備された庭が広がっている。
その庭のベンチには、お母様がいる。なんというか、少し不安そうだ。私がまた怪我をしないか心配なのだろう。
私は適当な踊りを切り上げて、お母様の方に歩いていく。
「お母様、やっぱり心配ですか?」
「……ええ、まあ、あなたのことは心配だわ」
私の言葉に、お母様はゆっくりと頷いた。
ただ、なんというかそれだけではないような気がする。
「どうかされたんですか、お母様?」
「え?」
「何か他にも憂いがあるような気がします」
私は、お母様の目を真っ直ぐに見て問いかけた。
何かに悩んでいるなら話して欲しい。そう思ったからだ。
もちろんそれは、私に話せないことかもしれない。だが、それなら私はお父様に相談することを勧めるつもりだ。一人で悩んでいるのはよくない。
「あなたには敵わないわね……」
「そ、そうですか?」
「ええ、なんでもお見通しみたい……」
「それは……私は、お母様の娘ですから」
「そうね……」
お母様は、ゆっくりと私の頭を撫でてくれた。
優しい手つきが心地いい。お母様の愛が伝わってくる。
「……あなたが階段から落ちた時、私は事前に説教をしていたでしょう?」
「え? ああ、そういえばそうでしたね……」
「あれで傷ついたから、あなたは階段を落ちたのだと思ってね……もっとあの時あなたに寄り添っていれば、そう思っていたの」
「お母様……」
あの頃のお母様は、私に対する愛を出していなかった。説教も本当に冷たい感じがして、なんだかとても辛かったような気がする。
今もしも同じように私が廊下を走っても、お母様はあんな風な説教はしないだろう。あの冷たい感じは、今のお母様からは絶対に出ないと断言できる。
「……お母様のせいではありません。あれは、私の不注意です」
「そんなことは……」
「いえ、私の不注意というのも変ですね。あれは、色々と重なって起こってしまったことだと思います。誰も悪くありません。そういうものだと思います」
「ファルミル……」
お母様は責任感の強い人だ。だけど、これはお母様が背負うべきことではない。
そして同時に、私も背負うべきではないだろう。誰のせいでもない。そういう風にしておく方がいいはずだ。
「……そうね」
「お母様……」
お母様は、笑顔を見せてくれた。
もうきっと大丈夫だろう。お母様の表情はそう思わせてくれた。
体を自由に動かせるというのは素晴らしい。私は改めてそれを認識していた。
怪我をすると、このように体を動かせなくなる。これからは、階段を上る時は気を付けよう。皆に心配もかけるし、怪我はしたくない。
「まあ、怪我をしたいと思って怪我をする人はいないと思うけど……」
私は、庭をゆっくりと見渡した。周りには、整備された庭が広がっている。
その庭のベンチには、お母様がいる。なんというか、少し不安そうだ。私がまた怪我をしないか心配なのだろう。
私は適当な踊りを切り上げて、お母様の方に歩いていく。
「お母様、やっぱり心配ですか?」
「……ええ、まあ、あなたのことは心配だわ」
私の言葉に、お母様はゆっくりと頷いた。
ただ、なんというかそれだけではないような気がする。
「どうかされたんですか、お母様?」
「え?」
「何か他にも憂いがあるような気がします」
私は、お母様の目を真っ直ぐに見て問いかけた。
何かに悩んでいるなら話して欲しい。そう思ったからだ。
もちろんそれは、私に話せないことかもしれない。だが、それなら私はお父様に相談することを勧めるつもりだ。一人で悩んでいるのはよくない。
「あなたには敵わないわね……」
「そ、そうですか?」
「ええ、なんでもお見通しみたい……」
「それは……私は、お母様の娘ですから」
「そうね……」
お母様は、ゆっくりと私の頭を撫でてくれた。
優しい手つきが心地いい。お母様の愛が伝わってくる。
「……あなたが階段から落ちた時、私は事前に説教をしていたでしょう?」
「え? ああ、そういえばそうでしたね……」
「あれで傷ついたから、あなたは階段を落ちたのだと思ってね……もっとあの時あなたに寄り添っていれば、そう思っていたの」
「お母様……」
あの頃のお母様は、私に対する愛を出していなかった。説教も本当に冷たい感じがして、なんだかとても辛かったような気がする。
今もしも同じように私が廊下を走っても、お母様はあんな風な説教はしないだろう。あの冷たい感じは、今のお母様からは絶対に出ないと断言できる。
「……お母様のせいではありません。あれは、私の不注意です」
「そんなことは……」
「いえ、私の不注意というのも変ですね。あれは、色々と重なって起こってしまったことだと思います。誰も悪くありません。そういうものだと思います」
「ファルミル……」
お母様は責任感の強い人だ。だけど、これはお母様が背負うべきことではない。
そして同時に、私も背負うべきではないだろう。誰のせいでもない。そういう風にしておく方がいいはずだ。
「……そうね」
「お母様……」
お母様は、笑顔を見せてくれた。
もうきっと大丈夫だろう。お母様の表情はそう思わせてくれた。
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