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22.冷たい夜風(アルティリア視点)
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ファルミルと一緒に眠りについた私は、夜中に目が覚めてベランダに出てきていた。
夜風は冷たいが、熱を帯びた体には丁度いいように思える。
「はあっ……」
なんというか、今日は色々なことがあった。
それは悪いことではない。だが、それでも少々疲れた。
「……こんな所にそんな格好でいたら、風邪を引いてしまうよ?」
「え?」
ぼんやりと考え込んでいた私は、自分の肩に何かがかけられたことで、隣にファルクス様が来たことに気付いた。
恐らく、目が覚めて私がいないことに気付いてここまで来てくれたのだろう。ランプを持ってきていたので、私がここにいるということはすぐにわかったはずだ。
「どうかしたのかい? こんな夜遅くに」
「……少し眠れなくて。今日は、色々なことがありましたから」
「うむ」
私の言葉に、ファルクス様はゆっくりと頷いた。ということは、彼が眠れなかった理由も私と同じなのだろう。
「だが、こんな時間にこんな所にいるというのはいただけないな」
「少し風に当たりたくて……」
「夜の風は冷たすぎる。体が冷えるのはよくない。わからない訳ではないだろう?」
「……はい」
ファルクス様は、少し怒っていた。それは、優しさからくる怒りだ。私のことを本気で心配してくれているのだろう。
少し前なら、彼はここには来なかったはずだ。彼は優しい人ではあるが、私と関わろうとしない人だったから。
もっとも、それは逆も同じだ。優しいかは微妙な所だが、私も彼と関わろうとしなかった。
「中に戻りましょうか?」
「そうだね。ただ、眠れないというなら、少し話をしないかい?」
「話、ですか?」
「ああ、僕の部屋に来てもらえないだろうか」
「それは構いませんけど、ファルミルを一人にするのは少し怖いです。もう良くなっているとは思いますが万が一ということもありますから……」
「もちろん、用心にこしたことはない。使用人の誰かを呼んで、見てもらっておこう」
ファルクス様の提案は、私にとっても望ましいことだった。
彼とは色々と話したいことがある。私達の関係が変わった今なら、きっと色々と話せることがあるはずだから。
それが今日でなければならない訳ではない。ファルミルが良くなってからでも問題はないように思える。
だが、きっと早い方がいいだろう。私と彼が話し合うことは、ファルミルのためにもなるはずだから。
「僕が事情を伝えてくるから、君はファルミルの傍にいてもらえるか?」
「はい、よろしくお願いします」
「いや、僕が言い出したことだからね」
恐らく、ファルクス様は何か重要な話をしようとしているのだろう。
そうでなければ、こんな提案はしてこないはずだ。彼だって、できればファルミルの傍を離れたくはないはずだから。
それでも話したいと言っているのだから、重要な話以外はあり得ない。だから、私は覚悟しておく。彼が何を言ってきてもいいように。
夜風は冷たいが、熱を帯びた体には丁度いいように思える。
「はあっ……」
なんというか、今日は色々なことがあった。
それは悪いことではない。だが、それでも少々疲れた。
「……こんな所にそんな格好でいたら、風邪を引いてしまうよ?」
「え?」
ぼんやりと考え込んでいた私は、自分の肩に何かがかけられたことで、隣にファルクス様が来たことに気付いた。
恐らく、目が覚めて私がいないことに気付いてここまで来てくれたのだろう。ランプを持ってきていたので、私がここにいるということはすぐにわかったはずだ。
「どうかしたのかい? こんな夜遅くに」
「……少し眠れなくて。今日は、色々なことがありましたから」
「うむ」
私の言葉に、ファルクス様はゆっくりと頷いた。ということは、彼が眠れなかった理由も私と同じなのだろう。
「だが、こんな時間にこんな所にいるというのはいただけないな」
「少し風に当たりたくて……」
「夜の風は冷たすぎる。体が冷えるのはよくない。わからない訳ではないだろう?」
「……はい」
ファルクス様は、少し怒っていた。それは、優しさからくる怒りだ。私のことを本気で心配してくれているのだろう。
少し前なら、彼はここには来なかったはずだ。彼は優しい人ではあるが、私と関わろうとしない人だったから。
もっとも、それは逆も同じだ。優しいかは微妙な所だが、私も彼と関わろうとしなかった。
「中に戻りましょうか?」
「そうだね。ただ、眠れないというなら、少し話をしないかい?」
「話、ですか?」
「ああ、僕の部屋に来てもらえないだろうか」
「それは構いませんけど、ファルミルを一人にするのは少し怖いです。もう良くなっているとは思いますが万が一ということもありますから……」
「もちろん、用心にこしたことはない。使用人の誰かを呼んで、見てもらっておこう」
ファルクス様の提案は、私にとっても望ましいことだった。
彼とは色々と話したいことがある。私達の関係が変わった今なら、きっと色々と話せることがあるはずだから。
それが今日でなければならない訳ではない。ファルミルが良くなってからでも問題はないように思える。
だが、きっと早い方がいいだろう。私と彼が話し合うことは、ファルミルのためにもなるはずだから。
「僕が事情を伝えてくるから、君はファルミルの傍にいてもらえるか?」
「はい、よろしくお願いします」
「いや、僕が言い出したことだからね」
恐らく、ファルクス様は何か重要な話をしようとしているのだろう。
そうでなければ、こんな提案はしてこないはずだ。彼だって、できればファルミルの傍を離れたくはないはずだから。
それでも話したいと言っているのだから、重要な話以外はあり得ない。だから、私は覚悟しておく。彼が何を言ってきてもいいように。
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