悪役令嬢と攻略対象(推し)の娘に転生しました。~前世の記憶で夫婦円満に導きたいと思います~

木山楽斗

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21.三人並んで

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 お風呂に入った後、私達はそのままの流れで寝ることになった。
 私を挟んで三人で一緒のベッドで眠る。これもまた憧れていたことの一つである。

「えっと……」
「ファルミル? どうかしたのかい?」
「あ、その……どちらを向こうか悩んでいて……」

 そこで私は、お父様の方を向くかお母様の方を向くかで悩んでいた。
 せっかくなので、お父様やお母様の顔を見ながら眠りたい。そう思っているのだが、それは私にとって選べない選択なのだ。

「今日は、お父さんの方を向くといいわ。私の方は、昨日一昨日と見ていたでしょう?」
「そうですね、それなら……」
「む……」

 お母様の言葉によって、私の向く方向が決まった。
 お父様は、少し困惑したような顔でこちらを見つめている。それは多分、お母様がこちらを向いているからなのだろう。

「……ふふ」

 そんなことを思っていると、お父様が突然噴き出した。
 笑っているということは、いいことがあったのだろう。それは嬉しいと思うが、理由がわからない。どうして、今そんな風に笑うのだろうか。

「お父様、どうかしたんですか?」
「いや、こうやって改めて二人の顔を間近で見ているとそっくりだと思ってね」
「そっくり?」
「それは、当たり前でしょう? 私とファルミルは、親子なんですから」
「ああ、いや、それはそうなのだが……なんというのだろうな、それがなんだか妙に嬉しいというか、愛おしいというか」

 私は、自分の後ろに熱を感じた。恐らく、お父様の言葉でお母様が照れているのだろう。
 そんな大胆なことを言った本人は、ただ笑っているだけだ。今のは何も意識せずに、無意識で言った言葉ということなのだろう。

「というか、似ているというならあなたとファルミルもよく似ていますよ?」
「まあ、それはそうなのだが、どちらかというと君に似ているだろう?」
「それはそうですけけど……」
「君に似てくれてよかったと思っているよ。美人だからね。いや、これは贔屓目が入っているだろうか」
「そ、そんな……」

 お父様は、尚も大胆な言葉を続けた。
 これはもしかして、意識して言っているのだろうか。段々とわからなくなってきた。
 ただ、別にそれは些細なことかもしれない。どちらにしても、お父様がお母様に対してそういうことを言っているという事実は変わらないのだから。

「あ、あなたに似ても美人にはなったと思いますよ」
「そうかな? そう言ってもらえると、ありがたいけれど……」

 お父様に釣られたのか、お母様も大胆なことを言い始めた。
 これは、いい傾向だといえるだろう。お互いに褒め合っているこの状況は、なんというかとても幸せだ。
 こんな時間がずっと続いて欲しい。私はそう思いながら、そっと目を瞑るのだった。
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