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18.二人揃って傍に
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お母様が戻って来てからしばらくして、お父様が部屋にやって来た。
もちろん、部屋に入ってもらったのだが、少しぎこちない。ちなみにそれは、お母様も一緒だ。
「……」
「……」
私が寝転んでいるベッドを挟んで、二人は座っている。お互いに目は合わせない。ただ、二人ともお互いの様子は窺っている。
多分、話したくないという訳ではないのだろう。話すきっかけを探している。そんな所だろうか。
「……そういえば、私が倒れた時にはお父様もお母様も傍にいてくれましたね」
「え? ええ、それはそうね……」
「ああ……いや、それは当たり前のことさ。娘があんなことになったんだ。傍にいるのは当然のことさ」
とりあえず、私は二人に話を振ってみた。
ただ、これは話題がよくなかったかもしれない。私が倒れた時のことなんて、二人は思い出したくないはずである。
どうやら、私も少し空回りしてしまっているようだ。二人が揃っているのはもちろん嬉しいのだが、この雰囲気をどうにかしようと必死になり過ぎているのかもしれない。
「あ、お父様、そういえば、昨日お母様と一緒にお風呂に入ったんです」
「う、うむ?」
そこで、私は話しを変えることにした。お母様との間にあった嬉しいこと、それをお父様に振ってみることにしたのだ。
すると、お父様は目を丸めた。自分だけに話が振られたことに驚いているのかもしれない。
「今よりもっと小さい頃は一緒に入ったこともあったみたいですけど、私はそれを覚えていなかったので、とても嬉しかったんです」
「そ、そうかい……」
なんだか、お父様の反応が少し悪いような気がする。やはり、お母様の前で話すといつも通りではいられないのだろうか。
そういえば、お父様は先程からお母様の方をちらちら見ている。お母様も微妙な笑顔を浮かべているし、中々上手くはいかないらしい。
「家のお風呂って広いんですけど、やっぱり普段は少し寂しいんですよね。一人であの広さは手に余るというか……」
「……まあ、それはそうかもしれないね。とはいえ、そういう所は公爵家の見栄というものだよ。屋敷が広いのも、権威を示すためというかなんというか……」
「そうなんですね……」
少し落ち着いたのか、お父様は私の質問にすらすらと答えてくれた。
公爵家の権威、それは確かに示しておくべきなのだろう。もしも他の貴族や平民に侮られたりしたら、大変なことになる。
「でも、やっぱり私には広すぎるような気がします。昨日なんて、お母様とずっと一緒にくっついていましたし」
「なるほど……」
しかし、お父様はまた勢いを失ってしまった。
よくわからないが、お母様と一緒にお風呂に入ったという話は、お父様にとってはあまり聞きたい話ではないらしい。お風呂の広さを嘆いた時はしっかりと答えてくれたので、お母様が関係していると考えるべきだろう。
そこまで考えて、私は理解した。前世の記憶がそれを教えてくれる。お父様は、恥ずかしがっているのだ。
もちろん、部屋に入ってもらったのだが、少しぎこちない。ちなみにそれは、お母様も一緒だ。
「……」
「……」
私が寝転んでいるベッドを挟んで、二人は座っている。お互いに目は合わせない。ただ、二人ともお互いの様子は窺っている。
多分、話したくないという訳ではないのだろう。話すきっかけを探している。そんな所だろうか。
「……そういえば、私が倒れた時にはお父様もお母様も傍にいてくれましたね」
「え? ええ、それはそうね……」
「ああ……いや、それは当たり前のことさ。娘があんなことになったんだ。傍にいるのは当然のことさ」
とりあえず、私は二人に話を振ってみた。
ただ、これは話題がよくなかったかもしれない。私が倒れた時のことなんて、二人は思い出したくないはずである。
どうやら、私も少し空回りしてしまっているようだ。二人が揃っているのはもちろん嬉しいのだが、この雰囲気をどうにかしようと必死になり過ぎているのかもしれない。
「あ、お父様、そういえば、昨日お母様と一緒にお風呂に入ったんです」
「う、うむ?」
そこで、私は話しを変えることにした。お母様との間にあった嬉しいこと、それをお父様に振ってみることにしたのだ。
すると、お父様は目を丸めた。自分だけに話が振られたことに驚いているのかもしれない。
「今よりもっと小さい頃は一緒に入ったこともあったみたいですけど、私はそれを覚えていなかったので、とても嬉しかったんです」
「そ、そうかい……」
なんだか、お父様の反応が少し悪いような気がする。やはり、お母様の前で話すといつも通りではいられないのだろうか。
そういえば、お父様は先程からお母様の方をちらちら見ている。お母様も微妙な笑顔を浮かべているし、中々上手くはいかないらしい。
「家のお風呂って広いんですけど、やっぱり普段は少し寂しいんですよね。一人であの広さは手に余るというか……」
「……まあ、それはそうかもしれないね。とはいえ、そういう所は公爵家の見栄というものだよ。屋敷が広いのも、権威を示すためというかなんというか……」
「そうなんですね……」
少し落ち着いたのか、お父様は私の質問にすらすらと答えてくれた。
公爵家の権威、それは確かに示しておくべきなのだろう。もしも他の貴族や平民に侮られたりしたら、大変なことになる。
「でも、やっぱり私には広すぎるような気がします。昨日なんて、お母様とずっと一緒にくっついていましたし」
「なるほど……」
しかし、お父様はまた勢いを失ってしまった。
よくわからないが、お母様と一緒にお風呂に入ったという話は、お父様にとってはあまり聞きたい話ではないらしい。お風呂の広さを嘆いた時はしっかりと答えてくれたので、お母様が関係していると考えるべきだろう。
そこまで考えて、私は理解した。前世の記憶がそれを教えてくれる。お父様は、恥ずかしがっているのだ。
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